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読者に「考える」きっかけを提供する社内報(株式会社長谷工コーポレーション)

長谷工コーポレーション社内報編集部の皆さん
左から広報部 チーフ 庄司明子さん 担当部長 池村弘之さん 岡田糸恵さん

2018年10月18日に開催した「社内報アワード2018 表彰&ナレッジ共有イベント」では、上位入賞を果たした優秀企業8社にプレゼンターとなっていただき、「社内報制作の事例発表」を行いました。「社内報ナビ」では、各社の発表内容をご紹介していきます。

第5回は、成功した異業種とのコラボレーション事例を掘り下げた企画で、[社内報部門]特集・単発企画(8ページ以上)のゴールド賞に輝いた株式会社長谷工コーポレーション。社会に新しい価値を生み出すために、自身ができることは何か。読者に「考える」機会を与える社内報作りを目指す同社の編集方針と併せてご紹介します。

会社の方向性を示すため、社内報を復刊

 当社のグループ報『SHIN』は、長谷工グループ全体の社員を対象に、2008年に創刊しました。それ以前にも社内報を発行していましたが、バブル後の経営危機の際に休刊したため、13年ぶりに復刊した形です。

SHINの表紙
2008年に復刊した新生『SHIN』。今も進化を続けています

 

 復刊の理由は、「会社が向かっている方向性が分からず不安だ」との声が多く寄せられたことが挙げられます。社員やご家族に安心してもらうためにも、やはり社内報は欠かせないと判断したのです。

 新生『SHIN』が目指しているもの。それは、“羅針盤”として役立つ「考える社内報」です。その背景には、年々事業内容が広がっていることに加え、M&Aによりさまざまなルーツを持つグループ会社が増えていることがあります。そのような状況下でグループの総合力を上げるためには、一人ひとりが何をすべきか自ら考えることが重要になってくると考えたのです。

アンケートで社員の生の声に耳を傾ける

 編集方針は、次の2点です。

『SHIN』の編集方針

  • さまざまな会社や部門で働く社員たちの生の声や元気な顔をできるだけ多く掲載する
  • グループの一体感の醸成と価値観の共有を目指す

 当社の社内報で特徴的なことは、アンケートに力を入れていること。これは、社員の生の声を拾うためで、3種類実施しています。

3種類のアンケート

  1. 特集内アンケート
    特集に合わせてその都度イントラで実施する特集内アンケート。対象者約1万人に対し、回答数は1,700ほど(回答率17%)。数は集まるものの、これだけでは面白い意見や個性のある意見が集まりにくいため、より深掘りした回答が欲しい場合は、各社・各部門に置いた編集委員を経由して、直接答えてもらうこともあります。
  2. 編集委員アンケート
    編集委員を対象として、毎号発行後に行っているアンケート。所属部署の意見をとりまとめ、編集会議で発表してもらったあと、社内のイントラに掲載しています。
  3. 読者アンケート
    全社員を対象に、イントラで年に1度実施しています。結果は、抜粋版をグループ報で報告するほか、イントラにも掲載しています。

 アンケートにも多大な貢献をしてもらっている編集委員は、約40人。主な役割として、年4回行う編集会議に参加して、誌面や次号の企画について意見を述べてもらうこと。また、企画内容に合った社員の選抜や推薦、自社・自部門に関する情報提供などもお願いしています。

 編集は広報部3人で担当していますが、全員が兼任のため、編集委員の存在には大いに助けられています。

パートナーと連携する大切さを訴求

 今回、ゴールド賞をいただいた特集「長谷工コラボレーション 長谷工×︎○○○――『世の中に新しい価値を』」も、そんな編集委員の力に支えられて完成した作品で、当社の主事業である分譲マンションを中心に、賃貸マンション、高齢者住宅における他企業とのコラボレーション事例を紹介しています。

ゴールド賞企画の扉ページ
ゴールド賞受賞特集の扉ページ。ビジュアルダイジェストで関心を喚起し、本文へと力強く誘引します(クリックで拡大)

 長谷工はこれまでも多くの企業とコラボレーションし、世の中に新しい価値を提供してきました。今後、いっそう多様化するお客様のニーズに対応するためにも、また事業の幅を広げるためにも、自社にない視点や技術を持ったパートナーとの連携は不可欠と考え、企画しました。

 狙ったのは、社内の価値観だけにとらわれず、「社会における長谷工」がどうあるべきかを、より広い視野で考えてもらうこと。さらには身近な業務の中にあるはずのコラボレーションのアイデアに気づいてもらうことも目的でした。

 取り上げた事例は、12ページで7事例。変化を持たせるために、座談会、対談、担当者への取材と作り方を変え、コラボに至った経緯、その過程における試行錯誤、苦労を乗り越えて成功した理由などを聞いています。一例を挙げると、野村不動産様、ブリヂストン様とコラボした新技術「サイホン排水システム」。これは、間取りの自由度を高めることができる画期的なシステムで、グッドデザイン賞や建材設備大賞などさまざまな賞を受賞しています。開発まで10年以上もかかりましたが、それだけに、新技術開発に当たってのエピソードや、行政の承認を得るための苦労話など、大変興味深いお話を伺うことができました。

長谷工コーポレーション事例誌面
開発まで10年以上かかった「サイホン排水システム」。具体的エピソードを数多く引き出し、興味の尽きない内容に(クリックで拡大)

 

 また特集の最後には、「あったらいいな! こんなコラボ」と題し、社員から募ったアイデアを掲載。新年号ということで現実性よりも夢のある回答を選び、イラストに起こして紹介しています。

ゴールド賞受賞企画の誌面/最後のコーナー
社員から募ったアイデアをイラストで掲載。社員とのコラボも大切に(クリックで拡大)

取材調整やスケジュールは予想外の連続

 苦労した点はいくつかありますが、一番難航したのはネタ集めでした。編集委員や会議資料を主な情報源としてネタを集めましたが、誌面で掲載できる状況のものはなかなか現れず、大半のネタが採用に至りません。結果としてエリアに偏りが出てしまい、紹介できなかったエリアの方から「うちも紹介してほしかった」との声も上がりました。

 また、他社様にご協力をいただく企画ということで、取材調整も大変でした。社外取材の依頼は、日ごろからお付き合いのある各プロジェクトの担当者を通じて行いましたが、通常の取材に比べて事前の手続きが多く、時間を要した上に、皆さんご多忙でなかなかスケジュールが合いません。プロジェクトの定例会議後に時間を取っていただいたことも…。

 その後の工程でも予想外に時間を取られました。社外の方々には、社内修正を反映した状態にてご確認いただきたかったので、再校を初校として提出。その分、制作会社との出し・戻しが増え、通常よりスケジュールを詰めて原稿確認を行う事態に。さらには、情報開示や表現について、当社と社外では異なる考え方もあったため、その調整にも追われました。

「コラボレーションしたい」と思ってもらえる企業に

 このように、通常より何倍も骨折った企画ですが、掲載後に実施したアンケートでは、「新事業や社会貢献につながる、とても貴重で夢のある内容だった」「異業種との技術提携は普段知り得ない内容のため勉強になった」など、好意的な意見がほとんどで、苦労が報われた思いがしました。

 現在、当社は、オープンイノベーションによってICT活用を進めていこうとしていますが、それ以外にもさまざまな技術・アイデアを持つ企業とのコラボレーションが予定されています。

 ただ、そのためには、長谷工が「コラボレーションしたい」と思っていただけるような魅力ある企業、かつ社会に価値を提供できる企業であり続けなければなりません。こうした企業としてのありように貢献するために、今後も引き続き、社員一人ひとりがしっかり考えることのできるグループ報を作っていきたいと思っています。

長谷工コーポレーション事例発表の様子
「社内報アワード2018」イベント当日の発表の様子

 

  • 株式会社長谷工コーポレーション 『SHIN』
    創刊年:2008年
    発行サイクル:季刊
    発行部数:8,700部
    仕様: A4判、4色、32~48ページ

  • 会社情報
    URL:https://www.haseko.co.jp/hc/

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