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会社の「今」を伝えるツールである社内報に、熱い思いを込めて(三井住友建設株式会社)

「社内報アワード2022」の「紙社内報部門/特集・単発企画(8ページ以上)」で、2021年から2年連続でゴールド賞を獲得した三井住友建設株式会社様。2022年の受賞企画は「TUNNEL トンネルがつなぐ情熱」。壮大なスケール感や困難な挑戦への思い、進化する技術などを丁寧に取材した編集担当者が事例発表を行い、制作過程をお話しくださいました。インタビュアーによる質問を交えて編集制作のヒントを探ります。

「社内報アワード2022」ゴールド賞受賞

紙社内報部門/特集・単発企画(8ページ以上) 
「TUNNEL トンネルがつなぐ情熱」(社内報『SMILE』)

【プレゼンテーター】
三井住友建設株式会社 経営企画本部 広報室
太田 紗央里さん

 

ウィズワークス株式会社(制作会社)
社内報事業部 小嶋 則之

 

【インタビュアー】

ウィズワークス株式会社 
社内報事業部 マネジャー
橋詰 知明

社員同士が互いを知ることからモチベーションアップに

——まず、簡単に会社概要を教えてください。

太田:三井グループ、住友グループの建設会社として歩んできた歴史ある2社が、培った技術やノウハウを融合し2003年に合併して誕生した総合建設会社です。事業所は国内13支店、子会社・関連会社は海外含めて計28社、売上高3,043億円、社員数2,954人です。事業分野は大きく4つに分かれています。

事業は4つの大きな柱から成っている
橋梁やトンネルなど社会インフラを支える「国内土木事業」、集合住宅やオフィスなどの設計・施工を手がける「国内建築事業」、発展する国際社会の基盤づくりに貢献する「海外事業」、水上太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーなどの「新規・建設周辺事業」が事業の柱

 社内報『SMILE』の制作は、一部デザインを外注する以外は、撮影、取材・原稿執筆は広報室メンバーでほぼ内製しています。また、全国に約50人いる広報委員が情報提供はもちろん、写真撮影や原稿執筆も担当。毎年「広報委員全国会議」を開催し、情報交換やスキルアップのための勉強会、ワークショップを実施しています。

2019年度開催の勉強会。テーマは「SDGs」。これをもとに社内報の特集に
2019年度に開催した勉強会ではSDGsをテーマにし、学んだ内容をもとに社内報の特集に。翌年の「社内報アワード」で見事ブロンズ賞を受賞

 『SMILE』の編集方針は、①社員一人一人が主役になれる社内報 ②伝える側の顔が見え、読み手が「自分ごと化」できる記事づくり、この2つです。社内報を通して社員同士がお互いを知り、各人のモチベーションアップにつながる情報源となることを目指しています。

 『SMILE』のほかにも、社内のニュースや話題をタイムリーに紹介するイントラネット「News&Topics」を週に2~3回更新し、2021年1月からはグループ報『SMILE g』を年2回発行しています。

24時間工事のトンネル現場へ

——ゴールド賞を獲得した「TUNNEL トンネルがつなぐ情熱」の企画背景を教えてください。

太田:過去にトンネル工事の現場を取材することがあり、自然を相手に1日わずか数メートルしか掘り進められない地道な作業であることを知りました。加えて、貫通に向けて取り組む皆さんの一体感に感動して、いつか社内報で取り上げたいと思っていました。

——貴社はトンネル分野においても歴史をお持ちですよね。

太田:土木分野というと橋梁が第一の柱として登場しますが、企画の実現に向けて事前調査を進めてみると、実はトンネルも100年以上の歴史があることを知りました。また、山中での作業は過酷という先入観が取り除かれ、長年蓄積された経験と最新技術を駆使しながら、ICT化により生産性が向上している事実を知りました。知れば知るほど、「社内報で伝えたい」という気持ちが強くなっていきました。

——実際に記事を見ながら、太田さんの思いやこだわり、構成を伺っていきましょう。まず扉があり、最初の見開きで「トンネル24時 難工事への挑戦」です。

企画の扉ページ。撮影カメラマンは、制作会社ウィズワークスの小嶋 則之
企画の扉ページ。撮影カメラマンは、制作会社ウィズワークスの小嶋 則之
訴求力ある見出しと、迫力ある写真が読者の心をつかむ
企画内「トンネル24時 難工事への挑戦」ページ。訴求力ある見出しと、迫力ある写真が読者の心をつかむ

太田最前線で掘り進めている現場に行き、社員が挑んでいる姿をドキュメンタリーチックに紹介しました。

——次の見開きは「意外と知らないトンネルの世界」。イラストを中心に上部がトンネルに関するトリビア的情報記事「かつて女性は入れなかった?!」など。下部にはトンネルを掘り進めていく作業を視覚的に提示していて、読者の興味をそそる工夫が感じられました。

天井を取り払ったトンネル内部を俯瞰したイラストで描いた
天井を取り払ったトンネル内部を俯瞰したイラストで描いた

太田:ありがとうございます。イラストでは坑口から掘削の先端である切羽まで、作業工程を詳細に描いていただき、掘削作業の重機やドリルの向きまでリアルに伝えることを心掛けました。

 続く3見開き目は「リーダーに聞く トンネル工事の魅力」です。全国各地にトンネルの現場があるので、そこで活躍している所長たちに登場いただき、大変な作業を乗り越えたからこその達成感や、トンネル工事でしか味わえない仕事の魅力を語っていただきました。

全国各地の現場を取り仕切る所長たちによる寄稿文
全国各地の現場を取り仕切る所長たちによる寄稿文。「地球の古代地層地質に直接触れる世界」など、トンネル工事の壮大なスケール感が伝わる見出しが秀逸

 そして最後の見開きは、工事現場でもICT化が進み生産性も向上している現状を、技術開発や導入を担当した社員、その技術を導入した現場所員の生の声として紹介しました。

企画内「トンネルの未来を変えていく」ページ
企画内「トンネルの未来を変えていく」ページ。現場を支える最先端技術を「未来」という切り口で6人の社員が解説

制作会社の上手な使い方

——9ページに及ぶ特集ながら、情報の整理が見事です。非常に多岐にわたる情報をどのように処理したのですか?

太田収集した情報を事務職や専門知識を持たない社員に興味を持って最後まで読んでもらう工夫に苦労しました。例えば、現場で使用している重機は特殊で、防具さえも名称が分からず初めて見聞きすることばかりでした。それを整理してわかりやすく伝える、というような点です。大切にしているのは、私自身が現場に行き、読者と同じ目線で伝えることです。そのためにも私自身が理解していないと伝わらないので、取材前も後も、緻密な情報整理は必須でした。

——膨大な情報を1本のストーリーに落とし込むにあたり、制作ディレクターとして参画する小嶋と編集者の太田さんは、どのような過程を経て形にしていったのでしょうか?

太田:扉ページは片ページなのですが、この企画内容を表現する1枚写真を置くことで、強烈なインパクトを残すことをねらいました。通常、写真撮影は自分たちで行いますが、このような力強い写真はさすがにハードルが高いため、カメラマンとしても実績のある小嶋さんにお願いしました。

小嶋:「トンネルをテーマにした特集を」という話をいただき、24時間工事のトンネル現場へ取材に行ったわけですが、その時点ではまだざっくりとしたイメージで臨みました。そして現場に入り、そこで働く方々の熱い思いを全身に浴びたことで、伝えるべき内容が具体化してきて、「工事の様子をどう表現をしようか」「トンネルのイラストがよりリアルに表現できそうだ」など太田さんと話し合い、じっくりと詳細を練り上げていきました。今振り返ってみても、「トンネル工事の現場で何が行われているかを社員にしっかり伝えたい」という広報室の強い思いは、終始一貫していました。

扉ページ こぼれ話

 

すでに台割は決定していたのですが、集合写真撮影後に扉1ページの追加を決めました。現場の皆さんの表情や思いを読者に強く伝えたいと、議論を繰り返した結果「導入部に配置して読者の興味をひく」として急遽、台割を調整しました。

 

24時間の稼働現場だったので交代のタイミングに合わせて全員集合で撮影。奥に見えるオレンジ色の重機は、写真撮影前にはここにないものです。理解深耕のためにと、労をいとわず写真撮影のためだけに移動してくださった現場スタッフの積極的な協力のおかげで、一体感を持って誌面を作り上げることができました。

扉の集合写真を撮るカメラマンの小嶋。その様子を太田さんが左手前から撮影
扉写真となった集合写真を撮るカメラマンの小嶋。その様子を太田さんが左手前から撮影

太田:小嶋さんには他にも多くの重機を撮影してもらいました。山を掘り進める重機や、コンクリートを吹き付ける重機などは、トンネル工事でしか見られない特殊な車両です。

小嶋:実際にイラストを描き起こすための資料として撮影しました。事前に写真や動画も見せていただいてはいたのですが、イラストレーターに的確に発注するために、私自身が実物をきちんと理解する必要があったので。

太田:イラストではトンネル工事で行われている作業が一目でわかるよう、各作業工程を描いています。実際の現場ではこれら全ての作業を同時で行うことはないのですが、現場でどんな作業が行われているのかを理解しやすくするために、こうした表現を選択しました。

イラストレーターへの発注資料一覧
イラストレーターへの発注資料一覧。写真、動画、PDF、現場で取ってきたメモなど13フォルダーに及ぶ

太田:現場もこだわりを持っているので、微細にわたり何度も修正依頼がありました。大変ではありましたが、完成したときは「いいものができた」と達成感が大きかったです。

小嶋:イラストレーターは重機の専門家ではありませんが、内容をよく理解してくれ、積極的に着色などの提案もしてくれました。

着色前のラフ。イラストレーターによる、色味を確認するための書き込みがびっしり
着色前のラフ。イラストレーターによる、仕上げの色味を確認するための書き込みがびっしり

現場と制作会社を動かした編集者の熱意

——取材現場の皆さんだけでなく、寄稿文を執筆された全国の所長様や技術職の皆さんも協力的だったそうですね。特に所長様の文章は自身の思いがこもっていると感じました。

太田:はい。熱い思いがにじみ出ていました。原稿依頼時には、過去に掲載した類似記事を添付して、参考にしていただいていますが、それが功を奏したのかもしれません(笑)。

小嶋:熱量の高さから、最初に拝読したときは広報室による取材原稿かと思いました。各々の所長様が書いたものと知った時は、本当に驚きました。

——広報室の「伝えたい」気持ちと、現場社員の仕事への真摯な思いが相乗効果を生み出し、それが誌面にあふれています。全社一丸となって『SMILE』を良い媒体にしようという熱意が、ここからも感じられます。

太田:「こんなことがしたい」という思いを具体的な形にしていくときに、他社事例なども参考にご提案してくれるウィズワークスさんにはとても助けられました。

小嶋:弊社の「社内報ギャラリー」は、「社内報アワード」で受賞した多くの企業様のご協力のもと、厳重なセキュリティ対策を講じたうえで、作品を実際にご覧いただくことができます。ここで事例を参考にしながら、企画を進めることができます。しかし、本企画の一番素晴らしい点は、何と言っても、ご担当者の企画にかける熱意です。「トンネルの中で何が行われているかを社員に知らせたい」「現場で活躍する姿をきちんと伝えたい」という、太田さんの強い思いは終始ぶれることはありませんでした。われわれはそれをしっかりくみ取り、最善のお手伝いをしただけです。

太田:多くの皆さんのおかげで読者からの反応もよく「未知の世界で感心することばかり」「毎日、何気なく通っているトンネルにドラマがある」「現場で同じように働く社員として勇気をもらった」などの声を聞き、うれしかったです。

小嶋:ご家族から「お父さんはこういう仕事をしているんだ、すごいね。と言われ、うれしかった」というコメントを拝見した時は、私自身も子どもがいるのでグッときてしまいました。

——最後に『SMILE』の意義や会社への貢献、ご自身のやりがいを教えてください。

太田:社内にはいろいろな部署があり、そこでどんな仕事が行われ、どんな人が従事しているのか、という「会社の今」を知る手段が社内報だと思っています。当然、経営理念やビジョンを共有する目的はありますが、一方通行の情報発信にならないように、多くの社員に登場してもらい、その人たちのモチベーションアップや、読んだ人が「自分ごと化」できるツールとして『SMILE』が会社に貢献できたらと思います。

 やりがいは——、登場した社員が喜んでくれて、同じような立場の社員に共感してもらえること、そして「あの企画よかったよ」の声をいただくことです。担当する企画が増えると新しい発見や気づきも増え、自分の成長につながると実感しています。

 社内外の方々へ感謝の気持ちを常に忘れずに、可能な限り現場を取材し社員と話し、当社のものづくりを支える皆さんの頑張りを「伝えたい」という強い意志と熱意をもって、引き続き社内報の仕事に取り組んでいきます。

 

社内報『SMILE』
創刊:2003年
閲覧対象者:正社員、契約・派遣社員、OB・OG、家族、内定者
発行部数:約5,000部
仕様:A4判、4色、28ページ
(新入社員紹介などにより加増)
発行頻度:季刊
会社情報:https://www.smcon.co.jp/


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