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読み手が「自分ごと化」できる記事づくり(三井住友建設株式会社)

三井住友建設は「はしも、まちも、ひとも。」というコーポレートメッセージのもと、大規模な橋梁や超高層集合住宅などをはじめとする豊富な施工実績を持ち、海外でも積極的な事業展開を行う総合建設会社です。さらにCO2削減や新たな免制震技術の開発などにも取り組みながら、安全で快適な社会の実現を目指しています。現在は建設生産プロセスの変革を目指して、生産技術のデジタル化やICTを活用した業務効率化などにも注力。そんな三井住友建設の社内報『SMILE』を制作する広報室の皆さんに、「自分ごと」として読まれる社内報づくりについてうかがいました。

※今回の取材は、新型コロナウイルス感染対策をした上で行いました。撮影時のみ、マスクを外していただき、取材中は取材スタッフも含めてマスク着用、ソーシャルディスタンスを確保しています。

誕生当初からインナーブランディングのツールとして

 三井住友建設は社名の通り、2003年に三井建設と住友建設の2社が経営統合して発足した企業です。

 「社内報は両社とも昔から内部制作していました。合併当時はそれぞれに3名いた広報担当者が、合併後の建設業冬の時代で最後には2名になりました」

 と当時を振り返るのは、広報室長の平田 豊彦さん。

広報室長の平田 豊彦さん
広報室長の平田 豊彦さん

 合併後の社内報創刊号は、新たなコーポレートカラーとなったブルーで表紙を彩り、生まれ変わった企業であることを強くアピール。新誌名募集とともに「100日作戦」と名付けた特集記事で、「お互いの技術力や強みをどう結集して、新たな会社の強みにしていくか。両社の業務や事業の違いを乗り越えていくか」について、座談会や状況報告などをまとめて紹介する記事を掲載しました。

 広報室次長の河村 英生さんは、創刊号を鮮明に覚えていると言います。

 「当時は支店の総務担当でしたが、経営統合した会社が今後どの様になっていくのか見えないことが多く、不安もあったなかで、『100日作戦』というワードが会社のこれからを前向きに捉え、力強さを感じて強く印象に残っていました

広報室次長の河村 英生さん
広報室次長の河村 英生さん

 会社の大きな転機に発行を開始した社内報は、まさに創刊当初から、会社が進むべき方向性を伝えながら、インナーブランディング・ツールとしての機能を果たしていたことがうかがえます。

コンセプトは、「自分ごととして読める社内報」

 現在は社内報担当歴7年の堺 友季奈さんがメイン担当者として、制作実務のほとんどを担っています。企画立案や社内外との調整を平田さんと河村さんにサポートしてもらいながら、社内報制作に奮闘する堺さんに、編集方針として大事にしていることをうかがいました。

 「社員同士がお互いを知り、それぞれのモチベーションアップにつながる情報源になることが、社内報の一番大切な役割だと考えています。知っている社員、同僚、上司が出ているとうれしいという声が多く、メインターゲットとなる読者と立場が同じ、身近な社員にたくさん登場してもらい、本音で語ってもらうことで、読者に親近感や当事者意識を抱いてもらえるように意識しています」

メイン担当は、社内報担当歴7年の堺 友季奈さん
メイン担当は、社内報担当歴7年の堺 友季奈さん

 実際に、毎号登場する社員は100名超とかなりの人数。

 「一方的な情報発信では他人ごとだと思われ、読んでもらえません。身近な人が語っているからこそ『自分ごと』として読んでもらえるし、当事者意識を持ってこそ、その後の共感や行動に結びついていくのです」

 と、堺さん。

 編集方針を反映して、表紙を飾るのはそれぞれの企画に登場する社員です。その結果、「身近な人が登場していて、つい読んでしまった」「あの人を載せてくれて良かった」という読者からの声が増えてきました。

規模の小さな現場にもしっかりと目を向ける

 『SMILE』では旬のテーマを採り上げる特集記事の他に、現場紹介、人物紹介などの常設企画もあります。三井住友建設の事業は大きく「土木」「建築」「海外」に分かれているため、各事業の社員に関心を持ってもらえるように、登場する人物や現場は、事業部間や支店間のバランスを考慮して決定し、表を作って管理しています。しかし、取材に出向くと魅力的な社員や特徴のある現場に偶然出会うことも多く、急遽掲載となるケースも少なくありません。

 「現場の紹介記事は、どうしても大がかりな現場に目が向きがちですが、実際には少人数の現場もあります。そこにもスポットライトを当てなければ、『自分ごと』の目線にはなりません。その点は常に意識して、普段みんなの目が向かないような現場を、できる限り紹介していきたいと考えています」(河村さん)

 制作者が面白いと思ったものを採り上げるのは編集の醍醐味。事業部間のバランスも重要。さらには、なかなか注目されない現場にスポットを当てたい――。社内報づくりを楽しみながら、組織としてのバランスをとりつつ、一人ひとりへの目配りを忘れない細やかな配慮。これが、『SMILE』を「自分ごととして読まれる社内報」にしているようです。

毎号、たくさんの社員を登場させ、「自分ごと」としてもらう
毎号、たくさんの社員を登場させ、読者に「自分ごと」としてもらう

大型M&Aを機にグループ報の発行にも挑戦

 2020年10月の大型M&Aにより、新たに2社がグループに加わったことを受けて、グループ報『SMILE g』の発行にもチャレンジしました。

 「それまでの『SMILE』でもグループ会社の特集企画は実施していますが、さらに各社の事業への理解を深めて共感やつながりを強くするために、グループ報を創刊することになりました」(堺さん)

 内容はグループ各社の役員と社員の紹介、新たに加わった2社の紹介、そして各社の座談会。編集作業を進める上で苦心したのは、企画意図を正確に伝えること。コロナ禍で各社の皆さんと対面での打ち合わせが難しかったため、誌面の内容や掲載する写真のイメージを表す資料を作成してメールや電話でやりとりし、会ったことがない相手から理解が得られるように時間をかけて丁寧に進めたそうです。

 「グループ会社の方々に手にとってもらえるよう、表紙にも注力しました。一つの街の中でグループ全12社がどのような事業を行っているのかを、親しみのあるイラストで表現し、堅苦しさを払拭しました。新加入した会社の方々からは、『自分たちが仲間入りしたと実感した』という声をいただきました」(堺さん)

 今後このグループ報は年1~2回のペースで発行していく考えとのことです。

街の中で行われているグループ全12社の事業をイラストで表現
『SMILE g』。一つの街の中でグループ全12社がどのような事業を行っているのかをイラストで表現し、表1・表4に掲載

SDGsを身近な事柄として捉えてもらうためには?

 ユニークな企画が2019年10月号に掲載されたSDGs特集です。

 「SDGsへの取り組みが企業への評価にもつながる傾向があります。当社としてもSDGs達成に向けての取り組みが進んできたタイミングでもあったので、SDGs特集を企画しました」(堺さん)

SDGs特集

 

 

 

SDGs達成に向けての取り組みが進んできたタイミングで実施したSDGs企画

 この企画がユニークなのは、一般社員の視線で制作した点。年1回開催している広報委員全体会議の場を活用して、SDGsに関する社員参加型のワークショップを実施し、その様子を紹介したのです。ワークショップでは「未来へ向けた新規プロジェクトを考える」という課題が出され、チームに分かれてアイデアを出し合いました。

 「SDGsについてあまり考えたことのない参加者が、日頃の仕事と全然関係のない事柄について、自分なら何をするかを自由に考えてもらった点がポイントです。読者に『自分と似たような考えなんだ』と身近に感じてもらえるのが大事です」(平田さん)

 誌面を飾る写真も、グループ内でお互いに撮影し合った結果、自然で楽しい雰囲気がにじみ出て、それが記事への親近感を高めています。

 「掲載後に、社内からたくさんの反響をいただきました。『SDGsは会社として取り組むべきもので、個人には関係ないと思っていたけれど、その意識が変わった』とか、『ちょっとしたことでも一人ひとりが取り組んでいけば貢献につながることが分かった』という意見が多く、身近に感じてもらうという目標が達成できたと手応えを感じています」(堺さん)

 SDGsやCO2削減などのテーマを社内報で企画化する企業は増えていますが、既存の社内行事と上手に連動させるアイデアがユニークで、良いヒントになりそうです。

 「建設会社は、環境、社会、経済面においてサステナビリティを意識した活動が強く求められます。CO2を削減し、地球温暖化を防ぐことはまさに私たちの責務ですが、個々の社員が自分ごととして意識するのは、なかなか難しい部分です。それをいかに社内報で表現し、読者に自分ごととして捉えてもらうのかが、今後の課題です」(平田さん)

自社の最新技術を知り、誇りを持つきっかけに

 昨年度実施した企画の中で、堺さんの思い入れが強いのは、2020年10月号の『Bridge特集』。橋づくりの分野で卓越した技術と多くの実績を持つ三井住友建設。その橋梁技術を、改めて正面から採り上げた8ページの特集です。

2020年10月号の『Bridge特集』。堺さんの思い入れが強い企画
2020年10月号の『Bridge特集』。堺さんの思い入れが強い企画だ

 「当社の新しい技術を紹介する企画が少なかったという反省から、この企画を進めました。最初のページでは橋梁建設のこれまでの歩みを紹介、さらに非鉄製橋梁という、鉄筋・鉄骨を使わない技術を用いた橋の実用化までの軌跡や、現場での生産性向上を実現するシステムなど、最新技術の紹介をしています」(堺さん)

 取材から原稿執筆まですべてを担当。技術的な知識は事前に猛勉強、専門的な内容を文章化するのに四苦八苦、と普段以上に苦労したぶん、特集が完成したときの達成感は大きかった、と笑顔で教えてくれました。

 「特に西日本高速道路(NEXCO西日本)さんのとの座談会は、社外の方に社内報に登場していただいた貴重な記事だったので、大きな反響がありました。新しい視点で自社を見ることができたのが大きな収穫でした。『改めて当社の技術の高さを知って誇らしい気持ちになった』という声も多く、それが制作側としては一番うれしかったです。会社の技術や動向を紹介するというのも、社内報の基本的な役割の一つ。会社の強みが技術力や現場力だというのを、改めて認識させられた企画でした」(堺さん)

Web社内報をはじめ、新しいことにも挑戦

 4月からは全社的なDXやサステナビリティの推進体制づくりに力を入れ始めて、会社も新たな節目を迎えています。

 「新社長が就任したので、社長の日々の業務や人柄を紹介する企画を掲載して、社員との距離を縮める企画を実施したいですね。また、昨年度はコロナ禍で社員同士が対面で会う機会が少なく、つながりが薄まった1年でした。今年度は社員が参加できる広報活動や、リアルなイベントを計画していきたいです」(堺さん)

 Webの活用も大きな課題です。すでに社内のニュースや話題を紹介するページの一部を、イントラネットに移行。速報性が重視される企画と、資料としての保存性が求められる企画の棲み分けを行いました。イントラネット掲載でどれだけアクセスが得られるのか、今後も試行錯誤が続きます。

イントラネットについて説明する堺さん
イントラネットについて説明する堺さん

 「新しいチャレンジを繰り返しながら、着実に改良していきたいですね。Webと連携して社員の生の意見などを採り入れつつ、アクセス増を図りたいです」(堺さん)

 会社も社会も大きく変わり、社内報の在り方も変化している現在。『SMILE』の挑戦はこれからも続いていきます。

 

  • 社内報『SMILE』 創刊:2003年
    発行部数:5,000部
    仕様:A4判、4色、28ページ
    発行頻度:季刊(1・4・7・10月発行)

  • 会社情報
    URL: https://www.smcon.co.jp/

 


[反響が大きかった「編集部訪問」をPickUp]


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