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入念な準備と妥協を許さない姿勢が、読み手に響く企画をつくる (株式会社ノバレーゼ)

「社内報アワード2022」コンクールにおいて、紙社内報部門 特集・単発企画(7ページ以下)で2企画のゴールド賞を受賞した株式会社ノバレーゼ様。10月12日に開催した「社内報アワード2022 ONLINE EVENT」では事例発表をしてくださいました。プレゼンした近藤さんと庄司さんは、ともにドレスコーディネーターとしてのキャリアを積んだ後に広報室に異動し、それぞれに産休・育休を経て、現在2人で月刊社内報『ノバビタ』を編集・制作されています。読み手のモチベーションアップにつながる企画づくりについて、独自の工夫をお話しいただきました。

グランプリ受賞企画
「出会いが人生を変える!? 『私のターニングポイント』」

 

ゴールド賞受賞企画
「教えて あなたのノバライフ」

【プレゼンテーター】
株式会社ノバレーゼ 広報室 マネージャー 
近藤 麻美さん

同社 広報室 
庄司 名奈恵さん

近藤さん(右)と庄司さん(左)
「教えて あなたのノバライフ」を担当した近藤さん(右)と、「私のターニングポイント」ご担当の庄司さん(左)

【インタビュアー】
ウィズワークス株式会社 社内報事業部 マネジャー 橋詰 知明

 

プレゼンテーション

社内報はスタッフに元気を与えるビタミン剤

近藤:弊社は2000年に創業し、今年で創立22周年を迎えるブライダル企業です。婚礼施設やドレスショップ、レストランなど国内外に65店舗を展開し、個々のアイテムにいたるまで、自社でトータルプロデュースしています。「Rock your life(世の中に元気を与え続ける会社でありたい。)」を企業理念に掲げ、それに賛同するスタッフが集まった会社です。

庄司広報室のミッションは、すべての人の想いをつなぐ架け橋として、ノバレーゼと社会の発展に貢献することです。現在は月刊誌『ノバビタ』、Web社内報の『ノバビタオンライン』、社内イントラ、社内イベント・研修という4つのインターナルコミュニケーション施策を展開しています。

インターナルコミュニケーション 4つのすみ分け

①紙社内報:『ノバビタ』/新入社員紹介本『WIKINOVA』

②Web社内報:『ノバビタオンライン』
③社内イントラ:メディア掲載共有/新入社員初出社/目標達成/HAPPY WEDDING など
④社内イベント・研修:社員総会/キックオフ/新入社員研修/中途入社研修 など

 『ノバビタ』はその名の通り、ノバレーゼのビタミン剤としてスタッフのモチベーションアップを図ることを目的にしています。一人一人の手元に届くという紙媒体ならではのメリットを生かし、私と近藤の2名体制で企画の立案と取材、撮影、編集を行っています。冊子全体の半分以上はデザインも内製です。コアターゲットは、仕事に慣れてくる反面、疑問や悩みも生まれる入社2、3年目の若手スタッフ。彼らのモチベーションを高め、「次は自分たちがノバレーゼの歴史をつくろう」という意欲につなげてほしいと考えています。

 編集方針は次の3つです。

『ノバビタ』編集方針

①人にフォーカスする
特に表1では今輝いている人をピックアップし、掲載されることが誇りになるような特別感を持たせる。


②無機質な情報も人を動かす情報にする

社内ニュースも単なる事実伝達ではなく、必ず携わったスタッフの思いを伝える。
「仲間の言葉だからこそ、読み手のスタッフに響く」と考え、匿名での掲載はしない。


③笑いのエッセンスをプラスする

スタッフの期待に応えるため、面白さを日々追求。表4では毎回旬なネタをパロディにしている(ただし、自分たち自身は笑いの分野があまり得意ではない)。

読み手が共感できるロールモデルの選出

近藤:私が担当した「教えて あなたのノバライフ」は、9名のスタッフを3名ずつ3号にわたって紹介した企画です。入社後のキャリアの節目を時系列にし、当時の様子や今後の目標を掲載しました。

企画の背景は、2020年末に行われた総務人事部とのミーティングで、早期離職率を下げる施策が議題になったことです。多様な働き方でキャリアビジョンを構築できることをアピールするには『ノバビタ』への掲載が最も効果的と判断し、ロールモデルとなるスタッフを紹介することにしました。

社内報を使って早期離職率を下げる企画を実施するまでの流れ
社内報を使って早期離職率を下げる企画を実施するまでの流れ

 企画を進める上では3段階のコアターゲットを設定しました。1回目は、一定数の退職者が出る入社3年目の新卒スタッフです。2回目は結婚や出産でワークライフバランスに悩むアラサー世代、3回目はキャリアの折り返し地点となるアラフォー世代を取り上げました。

 企画のキモは人選です。実績やチームへの貢献度も踏まえましたが、最も重要なポイントは読み手が共感できる人を選ぶことです。候補者については全国の店舗責任者にヒアリングし、新卒・中途入社、職種、役職、婚姻状況や子どもの有無までバランスを図り、さまざまな悩みや壁を乗り越えたスタッフを選出しました。オンラインでの取材ですが、事前ヒアリングを十分行い、飾らない等身大の姿を掲載することができました。読後アンケートでは高評価が30%を超え、翌年の離職率も減少しました。また、男性の育児休暇取得率が向上し、2021年の「ウーマンエンアワード」でも特別賞を受賞。9名のスタッフはその後ますます活躍し、現在もロールモデルであり続けています。

企画のキモは人選。「読み手が共感できる人」を最優先にして選んだ
企画のキモは人選。「読み手が共感できる人」であることを最優先に選んだ
ゴールド賞受賞企画「教えて あなたのノバライフ」
ゴールド賞受賞企画「教えて あなたのノバライフ」

周年記念の節目に自社の文化を振り返る

庄司:担当した「私のターニングポイント」は、4組の先輩と後輩による対談記事です。第1回目の発行日は創立21周年の記念日でしたが、例年開催される全社の周年パーティーをはじめ、さまざまなイベントがコロナ禍で中止されたので、改めて全スタッフにノバレーゼらしさを考えてほしいとの思いから生まれた企画です。対談では、ノバレーゼの4つの文化に沿って、後輩の心が動いたターニングポイントを振り返ってもらいました。コロナ禍に入社した若手スタッフが主なターゲットですが、ノバレーゼの文化に触れることで誰でも心の変化が起こり得ることを全世代に感じてもらえるようにしました。

 人選については全国の店舗責任者や教育研修部にも相談しましたが、候補となるスタッフに話を聞くと、もともと「ノバレーゼらしさ」を持っていることも多く、誰かとの出会いで心が変化した方を探すのに時間がかかりました。ただヒアリングで事前に具体的な情報が得られたので、オンラインでの対談時には期待通りの話を聞くことができました。

全スタッフにノバレーゼらしさを考える機会を提供することを目指した
コロナ禍でリアルイベントが軒並み中止となる中で、全スタッフにノバレーゼらしさを考える機会を提供することを目指し
「ノバレーゼらしさ」を明文化し、それにそって先輩・後輩の対談を実施
「ノバレーゼらしさ」を明文化し、それにそって先輩・後輩の対談を実施

 また、以前実施した若手スタッフの座談会で、文字の羅列は読まれにくいとわかったので単調な縦組みを避け、横書きのレイアウトを採用しました。読後アンケートでは5点満点中、全回答の平均が4.7点という高評価を獲得し、OGからも「感動を伝えたい」とメールが届くなどうれしい反響がありました。

グランプリ受賞「出会いが人生を変える!? 『私のターニングポイント』」
グランプリ受賞企画「出会いが人生を変える!? 『私のターニングポイント』」

 

インタビュー

「何を伝えたいか」企画の目的をブレさせない

――ロールモデルにふさわしい人材の選出が企画の成功要因の一つと思いますが、情報収集ではどんな努力をされていますか。

近藤スタッフの実績やエピソードをまとめた独自の「候補者リスト」を2人で作成し、共有しています。営業成績が公表されればデータをまとめ、スタッフ個人の人柄については店舗責任者などからヒアリングし、その都度リストを更新しています。一つの企画を立てれば、リストから20名以上の候補者が出てきます。ほかにも他部署のスタッフに話を聞きにいったり、何かの連絡をする際にヒアリングしたり。特に取材の際は直接話すことで現場の空気感が伝わり、得られるものが大きいです。

――情報をストックして企画に役立てることがルーティン化しているのですね。企画ごとに膨大な情報を凝縮して誌面に落とし込むのは、時間や手間がかかるのではないですか。

近藤:正直、手はかかります。とはいえ月刊なので、取材から入稿まで2週間ほどという短期決戦。しかも「教えて あなたのノバライフ」の制作時は1人体制で、他の企画も同時に進めながら編集し、1週間ほどで仕上げた記憶があります。同じように、私が育休と産休を取ったときは庄司だけでしたし、過去の編集長もずっと1人。2021年に初めて2人体制になりました。

庄司:2人になり、以前よりもやりたいことができている実感があります。企画を考えるにも自分ひとりでは限界がありますが、2人で話し合うと、もっとこうした方がいいと次々案が出てきます。

――「笑いをとるのは得意ではない」とのことですが、どのように楽しいアイデアを思いつくのでしょうか。

近藤苦手とはいえ、やるからには本気で笑いを取りに行こうと思っています。お笑い番組や話題の映画、自分の世代以外で流行っていることなどアンテナを常に張り、関西出身の上司にも尋ねてブラッシュアップしています。

庄司:ダメ出しされるのを覚悟で案を出し続けるうちに、だんだんいけそうなものを思いつくようになりました。読者の反響から、こういうものが受けるというデータもためています。

近藤:若手スタッフに『ノバビタ』の読み方を尋ねたことがあるのですが、まず表1、次に表4、それから中の誌面を読むと。そこで注目度の高い表4でパロディを扱ったところ、人気企画の一つに育ちました。

――「私のターニングポイント」は、後輩自身の思いと同じくらい先輩のコメントが誌面を占めています。単なる対談とは一味違う構成を思い立ったヒントは何でしょうか。

庄司:弊社にはノバレーゼスピリットが先輩から後輩に受け継がれる風土があります。そのタイミングを分岐点として、創業21周年に合わせて『ノバビタ』で取り上げたいというのが発端でした。人選の段階では、なかなか思うようにはいかず苦労しましたが、結果的には、狙い通り明確なターニングポイントがあったスタッフに登場してもらえました。大変なこともたくさんありますが、苦しんだ分だけ反響も多くあると感じています。

近藤:読み手のスタッフが自分ごととして受け止めるには、天才肌の方ではなく、もっと身近な、壁にぶつかってそれを乗り越えた方が必要です。中には誌面に載るのを躊躇される方もいますが、出てもらうことで全国のスタッフにどんな心の変化があるかを伝え、だからこそあなたに出ていただきたいと説明すると、首を縦に振ってもらえます。『ノバビタ』が企画に出てもらったスタッフと読み手のスタッフの橋渡しをしていると感じられると、私たちの嬉しさにもつながります。

――本日は参考になるお話をいただき、ありがとうございました。

 

『ノバビタ』
創刊:2008年
発行部数:1,000部
仕様:B5判、4色、16ページ
発行頻度:月刊
URLhttps://recruit-holdings.com/ja/

 


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