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2企画ゴールド賞受賞の秘訣は、「従業員が主役」という編集方針の徹底 (株式会社リクルートホールディングス)

「社内報アワード2022」コンクールにおいて、紙社内報部門 特集・単発企画(8ページ以上)で2企画のゴールド賞を受賞した株式会社リクルートホールディングス様。10月12日に開催した「社内報アワード2022 ONLINE EVENT」では事例発表をしてくださいました。各企画の編集ご担当者からの解説と、インタビュアーによる質問を交えて編集制作のヒントを深掘りした様子をお届けします。

ゴールド賞受賞企画

「従業員434名の本音から見えてきた『助けて』と言えてる?」

「すごい問題解決力は定義・分解・取捨選択にあり エンジニア“的”脳に迫る!」

【プレゼンテーター】
株式会社リクルートホールディングス
コーポレートコミュニケーション企画統括室 
コーポレートコンテンツマネジメント部 コンテンツクリエイションG


横山 幸代 さん

宮下 真衣子 さん

【インタビュアー】
ウィズワークス株式会社 社内報事業部 マネジャー 橋詰 知明

 

宮下さんはリモート参加、横山さんはスタジオでご登壇
「従業員434名の本音から見えてきた 『助けて』と言えてる?」を担当した宮下さん(リモート参加)と、「すごい問題解決力は定義・分解・取捨選択にあり エンジニア“的”脳に迫る!」を担当した横山さん

社内で大切にしている経営理念の継承を担うグループ報『かもめ』

――まず、簡単に会社概要を教えてください。

横山:弊社は創業62年目、全従業員数は5.2万人、世界60カ国以上(2022年3月末時点)でサービスを展開しており、ビジョン「Follow Your Heart」、ミッション「まだ、ここにない、出会い」、バリューズ「新しい価値の創造、個の尊重、社会への貢献」を掲げてグループ経営をしています。

 グループ報『かもめ』は、主に国内の従業員向けに2万部を発行しています。経営者のメッセージをトップダウンで伝えるメディアではなく、従業員一人一人に寄り添う、人が主役になるメディアでありたいとの思いで、私たちは編集しています。

本音を引き出し、経験談を紹介し、いかにアクションにつなげるか

――受賞されたそれぞれの企画について、お話しください。

宮下:『かもめ』は企業文化の理解の促進剤として毎月発行していますが、「従業員434名の本音から見えてきた『助けて』と言えてる?」は企業文化の1つ「個の尊重」をメインに伝えることを目指したした企画です。

 弊社はオンボーディング※1を活発にしていますが、従業員の声をヒアリングしていると、オンラインコミュニケーション以降の入社、特に2年目以下の従業員が、仕事上のコミュニケーションに苦戦していることが明らかになりました。休職や離職の懸念も見えてきたので、年末になる前に『かもめ』でメッセージできないかと、従業員の生の声を傾聴して、寄り添うことに重点を置く特集を企画しました。

※1 オンボーディング:人事用語。新しく会社・組織に加わった人材にいち早く職場に慣れてもらうことで、組織への定着・戦力化を促進する取り組みのこと。

見開きの扉ページにアンケート結果を1つだけという大胆な配置
見開きの扉ページにアンケート結果を1つだけという大胆な配置

 また、従業員にアンケートを実施して本音を引き出し、さまざまな経験談を紹介し、共感接点を強化しました。メインターゲットである入社2年目以下の従業員にメッセージが届くよう人選にも配慮し、すぐに真似できるようなティップス※2を紹介することで、コミュニケーション方法の気づきや発見につながるようにしました。

※2 ティップス:助言、ヒント、秘訣、秘法、心付け、コツや小技、ちょっとした工夫、テクニック、対処法、裏技など。

とことんターゲットに寄り添う

――コロナ禍の影響があり、コミュニケーションに関する企画を多く目にしましたが、本企画には『かもめ』ならではの独自性を感じました。ヒアリングの際に注力したことと、大胆な扉ページの意図をお聞かせください。

宮下生の声や肌感覚などはデータや数値で測定しにくいものです。敏感にキャッチアップしなければいけないという使命感を常に持っています。現場の従業員だけでなく、組織長や執行役員にも同じテーマ・同じ課題についてかなり細かくヒアリングし、各層における課題感も洗い出しました。扉ページでは、社歴の浅い若手が困っていることが一目瞭然に分かるように、アンケートの1つの回答を中央に配して、課題提起に大きなインパクトを与えました。

――アンケートでは多くの質問項目があったそうですが、誌面で使われた数値は2つだけ。なぜ絞ったのですか?

宮下:アンケート結果を1から10まで並べる方法は、確かに情報としてはあり得ますが、本企画で何を伝えたいかが明確に読者に伝わらないと意味がないので、取捨選択をしました。今回1番の課題は「言いたいけど、言えない」(扉の数値46%)。入社したばかりの会社で自分の本音を言って良いのか分からない。そこに「あなたの気持ちを受け止める人がこの会社にはたくさんいるんです、安心してください」というメッセージを伝えたくて「YES 98%」を大きく配置しました。

双方向の意見をきちんと伝える。視点の巧みさも秀逸
困っている側の課題を投げるだけではなく、受け止める側の声も明記して、双方向の意見をきちんと伝える。視点の巧みさも秀逸

――「誰に」「何を」伝えるかが大事ですよね。

宮下:どのメッセージがメインターゲットに刺さるかは、編集会議でかなり喧々諤々と揉みました。そのために人選も重要です。今回登場したのは、ちょうど1年前に「リクルートのコミュニケーションとは」という特集に登場した入社1年目の従業員です。入社2年目になった今の心境や自己成長・行動の変化を赤裸々に語っていただいたわけですが、このお三方の再登場は大成功でした。というのも、いきなり社内報に出て本音を語るというのはハードル高いことですが、再登場だからこそ本音を語ってくださったのだと思います。

――企画の締めは「助けてと言うために」と「助けてに気づくために」という両方の視点から、すぐに使えるティップスをまとめて紹介しています。

宮下困っている、悩みを持っている、そのモヤモヤを吐き出して「まずは1歩アクションすることで、状況が変わることがあるぞ、見える世界が変わるぞ」ということを伝えたくて、ちょっとした工夫の事例を紹介しています。その対向ページには、企画を立てる上でヒアリングした組織長や先輩方から出てきた「何かサポートしたいが何をしたらいいか分からない」というお悩みに対するヒントを入れました。

――企画を練り込み、メッセージを絞ったからこそ、ポジティブな読後感に帰結しているのだと感じました。

世の中の視点を忘れず、第三者を巻き込むことも

――「すごい問題解決力は、定義・分解・取捨選択にあり エンジニア“的”脳に迫る!」。こちらもすごいタイトルですね。

横山エンジニアと非エンジニア職のコミュニケーション課題に着目して解決しようという企画でした。実はリクルートでもエンジニアの方々が多く活躍しているのですが、彼らは『かもめ』の「営業特集」「営業推進特集」など非エンジニア職の活躍を一生懸命に読んでくれていました。社内でコラボレーションしていくときに相手がどんなことを考えているのか、どんな言葉を使っているのかを理解しようとしていたのです。逆に私たち非エンジニアはエンジニアの考え方や気持ちをどれだけ理解しているのだろうかとハッとさせられ、今号では「何が両者を隔てる壁になっているのか」を徹底的に探り、その壁を解消できるきっかけになればという思いで立案しました。

 社内を縦横無尽にヒアリングして情報を集める過程で、「この問題はリクルートの中だけで起こっていることなのか? 社会的にも起こっているのか?」と考えるようになりました。そんな時、たまたま立ち寄った書店で「数学的に考える」「エンジニア的思考法」といったタイトルを複数見かけたことで、社会的な問題にもなっていることを知ったのです。それを機に、社外識者にお声がけさせていただき、エンジニア的思考法を非エンジニア的な人が学ぶための情報を徹底的にヒアリングして、誌面に落としていきました。

脳内にある各部屋に人々が行き交うユニークなイラストが、扉ページを飾っている
脳内にある「定義力」「分解力」「取捨選択力」の各部屋に人々が行き交うユニークなイラストが、扉ページを飾っている

――職種の異なる者同士のコミュニケーションや、壁を取り払うことを企画化するというのは、かなりハードルが高いと思いますが、ご苦労や完成するまでの経緯をお聞かせください。

横山:提案するまで1カ月くらい思い悩みました(笑)。リクルートには「よもやま」という文化があり、「30分いいですか」などとノーアジェンダでアポイントを取り意見を伺うということが日常的に行われています。今回は社外の方にもそのノリでアタックして、著者の深沢真太郎さんと「よもやま」をさせていただきました。リクルートだけでなく社会でも起こっている「エンジニア的な思考と非エンジニア的思考の壁」は、何が問題なのかを突き詰めることができ、そこから一気に誌面の展開イメージが湧き上がってきました。

ビジネス数学教育家の深沢 真太郎 さんと社員2人との鼎談
ビジネス数学教育家の深沢 真太郎 さんと社員2人との鼎談。社内だけで対談する方法も選択肢としてはあるが、今回は社外からのインスパイアや問題を一段抽象化することでの気づきに期待した

難しいことこそ、読者目線で平易明瞭に

――難しいことが書かれているかと思いきや、非常に分かりやすい言葉で、腑に落ちる記事でした。原稿作りで心掛けていることは?

横山:私は「広報の人間である前に1人の従業員だ」といつも思っていて、この企画のテーマは私自身が悩んでいる事柄でもあり、それを解決するために起こしたアクション。前半の社外識者との対談のなかで1つの答えを掴むことができました。と同時に、対談だけで企画が終わってしまうと分かった気になったり、正解を押し付けたりすることになってしまうと感じ、実際に社内のエンジニアにも登場いただいて、日頃どんな考え方をして、どう問題を解決しているのかを、具体的な事例として掲出しました。

 エンジニアと非エンジニアがかみ合わないひとつの要因として、「具体に注目して話す人」と「物事を抽象化して話す人」に起こるギャップ。この行き来ができるスキルがコミュニケーションのエンジンになっていることがわかりました。それが如実に現れるのはどんな時か、何を切り出せば読者に伝えられるかをとことん考え、「会話で表す」方法が最善と思い、会話を前面に押し出したレイアウトに仕上げました。

エンジニア2人によるコミカルな写真とともに、事例が実況中継のように展開する
「定義力」に続き「分解力」「取捨選択力」の会話事例が、エンジニア2人によるコミカルな写真とともに実況中継のように展開する

――チャットのような会話形式がストーリーの要約としても機能し、かつビジュアル的にもフックになっていますね。

横山:絵になるものがない難しさはありましたが、今回は具体的な会話内容から考え方や解決力を導くというコンセプトが明確だったので、会話を中心にして出すことにしました。また、登場者のプロフィール内に必ずプライベート情報を入れて、読者が身近に感じてもらえるようにしています。

宮下:誌面両端に「たいやきのしっぽ」という縦書き一行が書かれているのですが、そこにも登場者の同僚から、人柄が分かるエピソードを聞き出して記載しています。これも『かもめ』編集部が昔から大事にしてきたポイントです。

――たくさんのヒントをいただきました。ありがとうございました。

『かもめ』の編集方針(メディアポリシー)
『かもめ』の編集方針(メディアポリシー)は現在8項目あるが、何年かに1度のリニューアル時に見直しをしている。微妙に変化しているものもあるが、絶対に譲れないのが「かもめは、グループ従業員が主役である」。これを基点に従業員がボトムアップで主役になれる媒体を目指している(クリックして拡大)

 

『月刊かもめ』
創刊:1971年
発行部数:18,600部
仕様:A4変形判、4色、28ページ
発行頻度:月刊
URLhttps://recruit-holdings.com/ja/

 


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【事例紹介】「社外の企業様から学ぶ」明確なテーマの下、3つの切り口で、社員自らが迫る対談形式(株式会社リクルートホールディングス)

■編集方針は表紙にも現れています
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