2020年10月6日(火)~9日(金)に開催した「社内報アワードONLINE EVENT 4DAYS」では、上位入賞を果たした優秀企業10社による、社内報制作の事例発表を行いました。「社内報ナビ」では、各社の発表内容を紹介していきます。
最終回となる第10回は、凸版印刷株式会社様。「社内報アワード2020」では、紙社内報部門 特集・単発企画8ページ以上でゴールド賞、Web・アプリ社内報部門 媒体全体でグランプリ、同部門 企画単体でゴールド賞を獲得。3つのカテゴリーで高評価に輝く快挙を成し遂げた同社に、その秘訣と社内報への取り組みをお話いただきました。
“トッパングループ”の制作体制に強み
弊社では、紙社内報『CONVEX』とWeb社内報『CONVEX Online』の2本柱でインターナルコミュニケーションを推進しています。それぞれ媒体の特性を生かした制作を行っていますが、共通する部分もいくつかあります。
まず、社内報の指針。これは同一で、社員に会社の情報をタイムリーに、正しく発信することで、意識改革や行動変容につなげることを目的としています。また、紙、Webともにターゲットを、U-35(35歳以下)に設定していることも大きな特徴です。理由は、会社の未来を担っていく若手社員にこそ率先して意識や行動を変えていってほしいと考えているから。それには、若手社員に響く内容にしなければいけません。紙、Webともにターゲットと同世代の編集長を据え、若手社員の目を惹きつけるタイトルやデザイン、企画にすることを意識しています。
さらには、制作体制。弊社では、両媒体とも社内で制作しているのですが、それができるのは、弊社には事業として編集や企画を行う部門があるから。制作のプロが社員として在籍しています。制作全体を統括するのは、本社広報本部の社内報制作チーム。3〜4名が兼任で両方の指揮にあたり、紙とWebそれぞれを、トッパングループ内の異なる会社と組んで制作しています。すべて社内で完結できることは、大きな強みだと思っています。
以上3点が共通点ですが、反対に差別化を図るために、コンセプトは変え、紙はトッパンの「未来」を伝える「道しるべ」となるような媒体、Webはトッパンの「今」を伝える媒体と棲み分けています。
編集長ローテーション制はメリットがいっぱい!
それぞれの媒体について、もう少し詳しく説明していきましょう。まず紙社内報ですが、号ごとに編集長を変え、編集長に大きく裁量権を与える体制をとっています。あまりないケースかもしれませんが、ねらいとしたのは以下の5点です。
- 編集長の特徴・個性が誌面に反映される。
- 複数の号が同時進行できる。
- 制作期間を長く取ることが可能。
- 企画立案の部分に時間を多く割けるため、特集テーマを深掘りできる。
- 編集長の成長と、企画・編集のスキルアップにつながる。
号ごとに編集長が変わるという、珍しい体制を採用
特に⑤のスキルアップという目的はめずらしい視点かもしれませんが、1冊丸ごと責任を持つことで、制作に関わる部員全員が着実に力を付けることができ、実際当人たちからも「成長の実感が持てる」との感想が出ています。
また、④で触れているように、紙社内報は特集を重視しています(特集主義)。ターゲットが若手社員であることに加え、彼らと同じ目線・感覚を持つ若手の編集長が考える企画なので、かなり尖ったテーマを設定することが多いのですが、それを受け入れる土壌がトッパンにはあり、それこそが弊社の強みだと私たちは考えています。加えて、現場に取材に行く「現場主義」、「噛み砕いたわかりやすい表現」も大切にしているポイントです。
トッパンの新しい働き方をポジティブに提案
今回、紙社内報部門でゴールド賞をいただいた「トッパンの働き方とは。〜令和の働き方改革〜」は、「働き方改革」をテーマにした2019年5月号の企画です。テーマ自体は「尖った」とまでは言えませんが、当時は働き方改革関連法案が順次施行されるという時期であり、非常にタイムリーな企画であったと考えます。ちょうど問題点やデメリットがメディアを騒がせていた頃で、そのような課題に対してトッパンはどうしていくのか? と編集長が課題感を感じたことが企画の発端でした。
周りから漏れ聞く不平・不満にフォーカスし、U-35世代に自分ごととして考えてもらうこと、そして新時代の働き方を提案していくことを目的としています。それをネガティブではなく、ポジティブな課題として取り上げたことが最大の特長だと言えるでしょう。そう感じてもらえるように工夫した点を列挙します。
- 全社員にアンケートを実施。
- ロールモデルとなる社員を紹介。
- 成果を上げている職場やチームを紹介。
- 役員メッセージで会社の考えを伝え、人事労務担当のインタビューで制度を解説。
- 客観性を加えるため、第三者(外部の専門家)のインタビューを掲載。
デザイン面で特にこだわったのは、表紙。読んでもらうためにはまず目を留めてもらうことが大切なので、「令和」と墨文字で書かれた半紙を男女の社員2名が掲げる写真と課題を訴求するシンプルな言葉でインパクトを与え、特集にいざなうようにしました。
(※以下、掲載紙面内の個人情報や機密情報は画像加工してご紹介いたします)
ゴールド賞受賞企画「トッパンの働き方とは。〜令和の働き方改革〜」
「社内報アワード2020」紙社内報部門 特集・単発企画8ページ以上でゴールド賞を受賞した企画を全紹介
社員のアンケート結果を見ても概ね好評で、トッパンにおける新しい働き方を自分ごととして考えてもらえるきっかけにできたのではと思っています。
また、紙社内報は、本年度より隔月発行から季刊に変わっていますが、今後も方針などは継続していく予定です。
U-35向けサイトは“分析・見直し”が鍵
続いて、媒体全体のグランプリをいただいたWeb社内報について説明させていただきます。こちらは、社員が利用するポータルサイトを入り口としているのですが、たくさんの情報の中からアクセスしてもらえるよう、ターゲット層に「見たい!」と思わせるトップページづくりを心掛けています。テキスト量を抑えビジュアルを重視するほか、トップバナーはイチオシ記事をスライド式で紹介する、週間ランキングを掲載するなど、細かい部分でも仕掛けをするようにしています。
コンテンツは、日々のトピックスや行事のフォトアルバムなどソフトなものから、社長メッセージや会社案内、業務に関することまで硬軟織り交ぜたさまざまな情報を展開していますが、ターゲットはデジタルネイティブ世代。Webには常に新しさが求められているため、アクセス解析や社員アンケートなどを活用しながら、随時問題点の抽出や分析を行い、コンテンツを見直すようにしています。また、PR活動として、メルマガも配信しています。
働きながら子育てする夫婦のリアルに迫る
その中でも高いアクセス数を誇るのが、ゴールド賞をいただいた「ありのママとパパ」です。こちらは、働きながら子育てをする社内結婚をした社員に、「仕事と子育てを両立する秘訣」についてご夫妻一緒のインタビューする連載企画。編集担当者の「働きながら子どもを育てる大変さが、実感としてよくわからない」という声から企画が始まりました。調べてみると、U-35世代では同じような不安や思いを持っている者が少なくなく、「では、トライしてみよう」ということに。弊社では社内結婚が多いことも後押しになりました。制度の利用の仕方も含め、「トッパンならではの工夫」が紹介できると思ったのです。
企画の段階で、コンセプトは「頑張りや苦労をありのままに伝え、ともに働く社員との相互理解に導く」に、読者ターゲットは「35歳以下の子育て世代と子育て予備軍」に設定しました。
制作上の工夫点としては、デザインで優しく温かなムードを醸し出すこと(画家でもある広報部員がバナーのイラストを制作)と、コンセプトを明確に打ち出した目を引くタイトルです。
夫婦で語るスタイルは目新しさがあったのか、当初から読者の反応は良かったのですが、こちらも見直しをして、前後編を一話完結にしたり(テキスト量の抑制)、若手社員の「女性が読む記事ですよね」という意見から男性も巻き込むためのパパだけの座談会を組んだり、より良くするための検討と変更を重ね、現在では人気のコンテンツに育っています。
本企画は2名が兼任で制作を担当。社内結婚が多いとはいえ取材対象者の選定や、異なる立場の人が読んだ際に誤解が生じないように注意を払うなど苦労も多い企画ですが、何より社員に楽しみにしてもらえていることが励みになっています。この人気を維持することももちろんですが、今後も同様の「息が長く愛される」企画をたくさん生み出していきたいと思っています。
- 紙社内報『CONVEX』概要
創刊:1937年
発行部数:約25,000部
仕様:A4判、4色、24ページ
発行頻度:季刊(2019年度まで隔月)
主なコンテンツ:特集、コーナー、ニュースなど - Web社内報『CONVEX Online』
開始:2007年
更新頻度:ほぼ毎日(月15回以上)
主なコンテンツ:社長のコーナー(動画、メッセージ)、ニュース、トピックス、会社案内、業務情報など - 会社情報
URL: https://www.toppan.co.jp/
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