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英語版社内報をつくる ~初めの一歩編~

近年著しく拡大したグローバリゼーションの中で、日本企業の海外進出意欲が高まっています。社内報にもその波が押し寄せ、多言語版発行へ――、というのは自然な流れと言えるでしょう。しかし、ある日突然それを命じられた担当者は、おそらく戸惑うばかり……。
そこで今回は、多言語版の中でも英語版社内報を例に、創刊時にまず何をすればよいのかを、Q&A形式でご説明します。

Q1:日本語版と英語版。表記方法や冊子の作り方はどうすれば?

A1:日英併記、完全分冊、Web活用 etc. パターンはさまざま!

(1)日英併記の場合

社内報の1号・1冊の中で、日本語と英語を併記するパターンです。

  • ページ内併記
    日本語文章のそばに英文を掲載するタイプです。8~12Pくらいの社内報は、こちらがおススメです。ただし、1ページあたりに掲載できる情報量が日本語のみのときと比べて半分以下となり、結果として、「入れなければならない文字量に圧迫されて、図版サイズが小さくなりがち」というデメリットが生じます。
  • 1冊併記(ページ内の言語は統一)
    ページ数の多い社内報におススメ。ページ数が多ければ、掲載できる情報量もそれなりに確保でき、また、制作費用が1冊分で済みます。
    1冊併記の見せ方はいくつかあります。
    ○日・英両表紙タイプ
    前からは日本語、後ろからは英語で始まるタイプ。たいていの場合、右開きから日本語版が始まり、左開きから英語版が始まります。完全に日英半々のタイプ、冊子の真ん中だけ日英併記にして融合感を出すタイプ、日本語ページのほうが多いタイプなど、企業によりボリューム配分はさまざまです。
    ○片側表紙タイプ
    1冊の中で、日本語版、続いて英語版(さらに別の言語版)と、繰り返していくタイプ。

    (2)完全分冊の場合

    社内報を日本語と英語で分冊するタイプ。

    分冊する分、制作費用・印刷・配送費用はかかりますが、日英併記に起こりがちな読みづらさ・図版面積の圧迫が解消され、掲載できる情報量も確保できます。

    (3)Webを活用する場合

    • 冊子は日本語、英語はPDFでイントラ掲載
      (2)
      の完全分冊と同様に制作しつつ、日本語版は冊子として発行、英語版はPDFでイントラに掲載する方法です。英語版の制作費用はかかりますが、印刷・配送費用は削減できます。
    • 多言語展開Web社内報
      「日本語」「英語」「中国語」などのボタンをクリックすることで、言語を切り替えるタイプです。グローバル企業のコーポレートサイトの多くが採用している事実からもわかるように、閲覧側にとっては大変親切なインタフェースですが、運営側はボタンで言語を切り替えるシステムを構築する必要があります。

    Q2:英語への翻訳はどうすればいい?

    A2:主として下記の2つの方法があります。

    (1)翻訳会社に依頼

    ネット検索すれば、日本語から英語への翻訳会社はたくさん見つかります。ただ、翻訳会社によって得意分野(専門分野)があるので、自社の事業内容に適した翻訳スキルがあるかどうかを見極めるために、数社に相談しじっくり検討してから発注先を決めることをおすすめします。

    翻訳費用も、専門分野によって変わる傾向があります。Webサイトに費用を明記している翻訳会社もあるので、確認してみましょう。

    • 翻訳費用の目安(日英翻訳の場合)

    [和文原稿の1文字あたりの税別価格]
    文書の種類/分野:価格
    コンピューターマニュアル:20円
    一般科学・工業技術:21円
    金融:25円
    経営管理・財務・契約書:25円
    医学・医療・薬学:30円
    特許明細書:30円

    クライアント企業が翻訳会社に初めて翻訳を依頼される場合の翻訳料金(翻訳発注価格)の目安

     

    ※一般的な実例の平均値を、分野ごとに示した翻訳料金の目安です。

    ※専門性、難易度、翻訳量、納期、原文・訳文のデータフォーマットや処理の種類と程度、品質レベルなどによって大幅に異なります。翻訳会社など受注側の価格方針などによっても差が生じます。

    一般社団法人 日本翻訳連盟のWebサイトより許諾を得て抜粋〉

    また、翻訳費用と同時に、依頼から納品までの日数を確認することもお忘れなく。過去の社内報を見せて「例えばこの特集4P分を翻訳する場合は、納品まで何日必要ですか?」といったように、具体例を示しながら確認すると、双方が理解しやすいでしょう。

    (2)社内のネイティブ・スピーカーに依頼

    グローバル報、特に英語版を出すということは、国内外の自社内にネイティブ・スピーカーが存在するということ。日本語・英語とも自在に操れる方に翻訳を依頼しているという企業もたくさんあります。その場合は“ボランティア”ではなく、正式な業務として認めてもらえるように、皆さんたち依頼者側が会社に働きかけ、翻訳協力を得やすい体制を試みましょう。

    また、通常の業務との並行作業となるため、翻訳会社に依頼するより時間を要することが予想されます。それを見越して、全体スケジュールを立てるようにしてください。

     上記(1)・(2)のいずれの場合にも、できれば、事前に自社独自の表現・表記ルールを決めておくと翻訳工程がスムーズに進みます。

     例えば、「社員」「従業員」を英訳すると「employee」となりますが、「それでは味気ないし、自分事に感じられないのではないか」という意見が社内から出て、「member」に訳すことをルールにした――、これは某企業で実際にあった例です。

     とても地道な作業ではありますが、この積み重ねにより、英語版社内報でも自社の企業風土の醸成が実現するのです。もちろん、最初から完璧に決めるのは難しいですから、少しずつ、自社らしい翻訳ルールを見つけていきましょう。

     ところで、英語版制作にあたり、翻訳について知っておくべきことがあります。それは「日本語の原稿量=英語の原稿量にはならない」ということ。日本語を英語に翻訳すると、たいていの場合、1.5倍くらい文字量は増大します。それを踏まえて日本語版の制作をしないと、「英語版だけ(文字サイズや行間の調整で)ギュウギュウ詰め」ということになりかねません。

    Q3: どんな企画にすればいい?

    A3: 何のために英語版を出すのか考えてみましょう

     英語版の社内報を出すと行っても、日本語版の社内報を英訳するケースがほとんどで、英語版限定の企画を実施するというのは、かなりのレアケースかと思います。

     とはいえ、英語版を出すからには何かしら目的があるわけで、社内報の企画を考えるときには英語版発行の意義を頭に入れておくことが必要でしょう。

     留意すべきは、英語版発行=読者対象が日本人従業員限定ではなくなる、ということです。

     では、英語版を読むのは、どこに住む、誰でしょう? 海外拠点で働くスタッフでしょうか? それとも国内で働く外国人従業員でしょうか?

     読者対象を見極め、その人たちに向けて何を伝えたいのか。企画立案は、すべてそこから始まります。英語版社内報を発行することになったら、「日本語の社内報を英訳」「自社もグローバル化したから英語版を」という発想に終始せず、1歩2歩先を見て、企画段階から「英語版もある」ことをぜひ意識してください。

    英語版・多言語版事例紹介

    ユニヴァキャピタル様『UNI-SIGHT2018』より(画像クリックで少し拡大)。

    デジタルグループ報から年に1度再編集する総集編(冊子)。14カ国62の事業会社に向け「1年を振り返ることで次年度への意識を啓発し新しい発見をする」という目的にて発行している。

    上述A1の解説内(1)日英併記の「ページ内併記」タイプ。日・英の右側に中国語も加え、1ページに3言語併記。それでも、ホワイトスペースを生かしてすっきりしているためか窮屈さを覚えず、ストレスなく読めるデザイン。

    株式会社リクルートホールディングスのグループ報『かもめ』より(画像クリックで拡大)。

    同誌のメディアコンセプトは「リクルートグループが大切にしていることが、そこはかとなく伝わってくる」。リクルートが大切にする価値観を理解・共感してもらうべく、また、これを体現する人とその行動、やり方、支えるチームや風土を広く伝えることを目的に発行している。

    上述A1解説内(1)日英併記「1冊併記」の、日・英両表紙タイプ(日本語右開き/英語左開き)。日英で全く同じレイアウトにはせず、各言語で読みやすいよう配慮。英訳で文字量が増える分は、ビジュアルのサイズを控えめにすることで「文字ぎゅうぎゅう詰め感」を出さないよう工夫されている。

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