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スピードと効率重視で推進するグローバル報の新しいカタチへ(株式会社資生堂)

気になる社内報編集部や編集担当者のいる企業におじゃまする連載企画「編集部訪問」。社内報への取り組みや熱い思い、今後の課題など、さまざまな話を伺います。今回訪問したのは、化粧品メーカー世界第5位、アジア第1位の株式会社資生堂。編集長の小林重郷さんにお話を伺いました。

資生堂の社内報編集部の皆さん(写真向かって左から、副編集長・川林智子さん、担当・林 敬嘉さん、コミュニケーショングループマネージャー・向尾 聡一朗さん、担当・ 高倉久代さん、編集長・小林重郷さん)

異なるニーズに応えるため日本語版と英語版に分冊化

 積極的な海外展開で今や海外の売上比率が国内を上回るまでになった資生堂。海外のグループ会社で働く外国人従業員も多いことから、社内報は現在、日本語版と英語版に分けて年4回発行している。「この体制になったのは昨年の年初から。それまでは日英併記の冊子を年6回出していたのですが、国内と海外ではニーズが異なるため一部内容を編集して分冊化しました」と話すのは社内報『椿の友』の編集長を務める小林重郷さん。

 日英併記が始まったのは2008年。それ以前は別々に発行していたため昔の形態に戻った格好だが、内容が完全に別だった以前とは違い、今は表紙や特集など基本となるコンテンツは日英版共通。そこに国内、海外でそれぞれに必要と思われる情報を一部盛り込んでいる。制作は両版とも小林さんが中心となり、日英両方のインタビューや原稿の執筆・校正もこなす。

「気を使うのは英語版ですね。外国人の嗜好やニーズを考えることは欠かせず、例えば日本語から英語にする際も全部を訳すのではなく興味の低い部分はカットしたり、一番知りたがっている社長の話は多めにするなどの工夫をしています。日本語があると読みづらいと感じていた人も多かったようで、分冊化してから読みやすくなった、情報が増えたとおおむね好評です」と小林さん。

 配布は、国内はほぼ全社員対象だが海外は事業所によって配布対象を柔軟に変えている。理由は、海外では社内報文化のないところもあり、違った形でコミュニケーションを考える必要があるから。発行頻度は年2回分が減ったが、その分、急な出来事や社内の動きに柔軟な対応ができる号外を都度出すようにした。

資生堂さんの社内報表紙 
▲社内報表紙・日本語版英語版共通

誰もが安心して利用できる認証不要の社内サイト開設

 冊子の変革に加えて、ウェブ社内報も新たに誕生させた。ニュースサイト「What’s Up? Shiseido」は国内の社内ニュースを主体に、グループ会社で発売する全ての新商品を紹介する「グループ新製品情報」と、その中から毎月1品を深掘りして紹介する「今月のPick Up新製品」、毎日のメディアへの露出情報の4つのコンテンツからなる。ブランドや部署ごと、グループ会社ごとに発信する社内サイトが乱立する中、「これを見れば、会社のすべてが分かる」サイトを目指した。

 「もともと当社は縦割り構造でイントラの中に全グループ会社の情報を網羅するものがなかったんです。そこでみんなでベストプラクティスが共有できるものをと始めたのですが、バナーの目立つ場所を取るための闘い、情報収集ルートの確立と、苦労の連続でした」とスタート当時を振り返る小林さん。情報が自然に集まってくるシステムなどないため、各所に猛烈な営業をかけたという。

 「本社内では、1週間に1回は全フロアを回りましたね。何の用事もないのに顔を出しては『何でもいいから情報をください』と頼んだり、顔見知りに知人を紹介してもらったり。支社には飛び込みで電話をしたり。とにかく泥臭くやりました」

 その地道な努力が実り、定着してきたのは半年が過ぎた頃。パスワード、IDなしで、誰もがどこからでも、そしてスマホなどで利用できるようにしたのも、受け入れられた要因だったと分析する。

 軌道にのった今では毎日たくさんの情報が寄せられるが、小林さんが一つ心に決めていることがある。それは「載せて」と言われたら「絶対に断らない」こと。

 「一回でも断られると提供する気が起きなくなると思うのです。おかげで機密情報の取り扱いなどで対応が難しい場合もありますが、それも仕方のないこと。認知度が高まるにつれ情報が膨大になり採用の基準を設けようという声も上がったのですが、断固として反対しました。私が必要と感じなくても必要な人がいるかもしれない。だからある意味垂れ流しですがそれでいいと思っています。たまたま目にするというのが大事なんです。いったん何かに目が止まれば、そこから他の情報も見てくれる可能性がある。それがネットのいいところですから」

資生堂さんのニュースサイト「What's Up? Shiseido」画面
▲ニュースサイト「What’s Up? Shiseido」

全世界をつなぐプラットホームが誕生

 こうした変革の流れは、実は2015年に始まった全社改革を受けてのこと。2014年に就任した魚谷新社長のもと、資生堂はマーケティングをはじめ各所で改革を断行中で、その一環として広報機能も増強された。社内広報担当者も2名から5名に増員した体制となり、「世界中の社員の結束力の源になるインターナルコミュニケーションの強化」というミッションが下された。それを踏まえ、社内報の形を模索した結果の一つが前述の変革だが、改革は終わるどころかさらに前進する。4月からは「全世界の社員をつなぐグローバルコミュニケーションプラットホーム」の構築が進んでいるのだ。

 「簡単にいえば、情報発信の場を一本化するのです。これが完成すれば、情報は全てネット上のプラットホームに集められ全世界が同じ情報を共有できる仕組み。社内報もここに集約されるので紙媒体は姿を消します。パソコンを触らない人向けにタブロイド版は発行する予定ですが。全ての情報の中でも、最低これだけは伝えたいという本当に大事なことは紙の社内報に載せていたので、電子版になっても読んでもらいたいですね」

 この大改革を前に小林さんの頭を悩ませているのが、海外の情報をどう収集するかということ。頼りに考えているのは、1月から世界6地域に置かれた地域本社にいるコミュニケーション担当者だ。目下、人間関係を構築している最中だとか。

 「顔を合わせてというわけにいかないので難しいですが、一番のコミュニケーションは相手にとって有益な情報を提供することだと思ってがんばっています。ちゃんとした情報をくれる人間だと思われれば、相手もいい情報をくれるはず。社内コミュニケーションを重視する社長になってから改革の連続で大変ですが、それだけやりがいも感じています」と目を輝かせる小林さん。

 資生堂が取り組むこの新たな試みは、グローバルコミュニケーションの模索が進む各企業の、またとないお手本になってくれるに違いない。

 

【企業概要】
株式会社資生堂
本店所在地:東京都中央区銀座7-5-5
URL:http://www.shiseidogroup.jp/

 

 

※『コミサポプラス』2016年4月号より転載

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