2020年10月6日(火)~9日(金)に開催した「社内報アワードONLINE EVENT 4DAYS」では、上位入賞を果たした優秀企業10社による、社内報制作の事例発表を行いました。「社内報ナビ」では、各社の発表内容を紹介していきます。
第1回は、株式会社豊田自動織機様。「社内報アワード2020」では紙社内報部門 連載・常設企画でゴールド賞に輝きました。受賞企画実施に至った経緯や、記事制作のこだわりについてお話しくださいました。
目次
「若手社員の活躍を見逃さない」をテーマに
弊社は、大正15年(1926年)に繊維機械の製造・販売会社として設立し、6年後に創立100周年を迎えます。現在は繊維機械を原点に、自動車と産業車両・物流事業を両輪に事業を展開しており、6つの事業部から成り立っています。フォークリフト、カーエアコン用コンプレッサー、繊維機械は、世界シェアトップに位置し、世界中のお客様にご利用いただいています。
研究と創造により新たな価値を創出し、住みよい地球と豊かな生活、そして温かい社会づくりを目指し、創業以来大切にしている精神「豊田綱領」(社是)をもとに事業を発展させています。
社内報の役割
- 会社方針をはじめ、経営に関わる情報を分かりやすく社員に伝える。
- 社員および部署、職場間のコミュニケーション活性化を図る。
- 社員のご家族に会社の情報を伝播する。
社内報は『CURRENT』1誌のみで、上司のGM、入社5年目の私、3年目の男性の3人体制で制作しています。上記3本柱を社内報の役割に据え、トップのマネジメント(経営者)・組織(各部門)・社員の皆さんの3者が何を考え、何に取り組んでいるかを、相互伝達するための媒体と考えています。
しかし、経営者・各部門の取り組みを紹介する記事に比べ、社員に焦点を当てた記事が少なく、社員のことを経営者・各部門に伝えきれていないと課題認識しています。そこで、社員一人ひとりの頑張りをしっかりと伝えることができる社内報を目指し、さらなる組織の一体感を醸成したいと思い、今回入賞した若手の奮闘・挑戦を表現した本企画を記事化することにしました。
「記事概要」を作成し、目的の一貫性を図る
組織の一体感の醸成は、会社の持続的発展には不可欠なものだと考えています。一方で、働く一人ひとりの価値観が多様化するなど時世の変化もあり、多様性を受け入れながら求心力ある組織が求められています。そこで、共通の価値観を再認識するため、それぞれの持ち場で、ひたむきに役割を全うしようと奮闘する社員に焦点を当てた定例記事を企画しました。
昨年、平成から令和に改元したことに注目して、当社の将来を担う「平成生まれの若手社員の奮闘」をテーマに設定。若手社員の奮闘ぶりは同世代に影響を与え、ベテランにもかつての自分を思い起こさせ、共感や刺激を与えるのではと、取材対象を絞り込みました。
記事タイトル「平成生まれ、ショッキ育ち 奮闘中」はDragon Ash「東京生まれ、HIPHOP育ち」の歌詞のオマージュで、「ショッキ」育ちは社名の「織機」です。
私たちはすべての記事において記事概要を作り、当初の目的から逸れないようにしっかり概要を定めています。
社員の言葉の奥にある「社是」の具現化
では、受賞作品をご紹介します。
1ページ目には導入ポエムと登場人物紹介。今回は、繊維機械事業部の営業職の男性です。
こだわりポイント
① 人選
本企画においては人選が最も重要だと感じています。「なぜこの人なのか」を明確にできなければ、その人の奮闘ぶりも的確に表現できません。そこで各事業部の総務部門・人事部、また弊社は社内報の編集委員体制があり、各事業部に協力者がいます。その人たちに意見を求め、相談しながら選定していきました。
選定基準は、頑張っていることはもちろん、当社の将来の可能性の一端を担っている人材であること。そして6つの事業部や職種のバランスを考慮しつつ、ふさわしい若手を探しました。
② 導入ポエム
少しクサイのですが、冒頭に入社経緯や仕事への思いをポエム調で紹介しています。読者を記事に引き込む“つかみ”を作りたいと発想しました。取材前にヒアリングシートおよび上司への聞き込みで、業務内容や人柄を調査することに努めました。
③ 本文
2ページ目の本文では3段落に分けて、現在の業務、困っていること、頑張っていること、また失敗談や苦労したエピソード、成長への意欲、今後の抱負を中心に1時間くらいの取材を実施。若手の奮闘ぶりをしっかり伝え、ふさわしい写真を掲載しています。
④ 上司
最後は平成生まれを支える上司の声を紹介。若手の奮闘を見守り、応援していることを伝えるとともに、取材時に謙遜する若手社員についての補足や、期待の思いをまとめています。弊社には、会社が良いときも悪いときも社員が心の拠り所としてきた『豊田綱領』があります。その精神・姿勢を大切にしながら仕事を進めていることを、見出しや本文で間接的に表現しています。
受賞号では「営業の品質を高め、お客様さまの満足に貢献する」というメッセージを上司から届けています。
他の応募作品では、コンプレッサー用金型の開発に携わる技術職の女性、自動車用プレス金型の製造を担う技能職の男性を紹介し、1年間で全12回、6事業部・すべての職種の平成生まれの頑張りを記事化しました。
読者からは「同世代の挑戦する姿を見て、モチベーションが上がった(若手)」「当社が大切にしてきた志が受け継がれている。若手社員の成長・活躍が楽しみ(ベテラン)」など、幅広い世代から好評を博しました。当社の可能性の一端とともに、普遍的な価値観やポリシーも伝えることができたと自負しています。結果として良いチームづくり、一体感の醸成につながったと考えています。
新企画は事業部を越えた対談記事
令和が始まったので本企画は終了し、新たな定例記事「クロストーク(対談記事)」を制作・掲載しています。働く上で何かヒントとなるような考え方や普遍的な価値観等を紹介します。「改善の楽しさとは」をテーマにした誌面では、別の事業部の2人が共に「からくり改善」という、動力を使わずにモノを動かし、作業をしやすくすることへの取り組みとともに、改善の必要性を語っています。
企画は変わっても、社内報の役割は変わりません。下記を忘れることなく、これからも制作に励んでまいります。
- 社員の活躍を見逃さず、記事化することは社内報における大切な役割の一つ
- 十分な企画を練り、関係者との協力の上、取材対象者の人選を丁寧に行うことが重要
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『CURRENT』概要
創刊:1951年
仕様:月刊、20~28P
発行部数:約7,500部 - 会社情報
URL: https://www.toyota-shokki.co.jp/
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