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世界中の社員で改定した新・経営理念をいかに伝え、浸透させるか(オリンパス株式会社)

オリンパス株式会社 コーポレートコミュニケーション 広報・宣伝
オリンパス株式会社 コーポレートコミュニケーション 広報・宣伝の久野 寛子さん

「社内報アワード2019 表彰&ナレッジ共有イベント」(2019/10/16)にて実施された上位入賞9社による事例発表の模様を、順次ご紹介してまいります。

第5回は、社内報部門(紙)/特集・単発企画(8ページ以上)でゴールド賞に輝いたオリンパス株式会社。同社では100周年を前に経営理念の改定が行われ、社内報には、この改定を伝え理解を深めてもらう役割が求められました。ゴールド賞受賞企画は、新・経営理念策定のプロセスを多角的に取り上げたもの。その企画の裏側と、その後の浸透のための社内報のトライアルについて、コーポレートコミュニケーション 広報・宣伝の久野寛子さんが発表しました。

プロジェクトチームで策定した新・経営理念

 皆さんは、当社をカメラメーカーとイメージされているかもしれませんが、実は医療、特に消化器内視鏡の分野で世界70%のシェアを誇る企業です。現在は売上の8割を内視鏡事業と治療機器事業が占め、顕微鏡など科学事業と、カメラなど映像事業を合わせた4事業体制になっています。

 今回ゴールド賞をいただいた社報『OLYMPUS FORUM』の特集企画のテーマは、ズバリ、経営理念です。当社では、私たちの存在意義「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」、そして私たちのコアバリュー、大切にしたい価値観として「誠実・共感・長期的視点・俊敏・結束」を掲げ、この2つを併せたものを「経営理念」と呼んでいます。

 今回は、経営理念の策定プロセス、それを伝えた社内報の企画、そして100周年期間特集企画、この3つのテーマでお話しします。

経営理念改定のプロセスと、伝えるために考えたこと

 当社の経営理念が初めて作られたのは、1968年でした。創業75周年の1994年に一度改定し、昨年、100周年を目前にして再改定しました。100周年という節目に向けてということに加え、グローバルでの一層の成長を見据え、自社の存在意義や価値観を共有したいという思いを経営陣が強く感じていたことが、大きな背景としてありました。

 改定のプロセスは5段階で、まず改定に向けた「グローバルブランドプロジェクト」が発足。そこで現状分析を行いました。社員のモチベーションはどうか、自分たちはどういうミッションを持って仕事しているのかなど。その後、コアバリューの素案づくりに向けて130人余りの「アンバサダー」をグローバルに募集し、任命しました。

 全世界から集った「アンバサダー」は基本的に自発的に手を挙げた人たちです。アンバサダーが打ち合わせの場を持って「私たちに必要な共通の価値観は何か」を侃侃諤諤話し合うという過程を経て、新・経営理念が作られました。

 発表に当たってまず広報部門で取り組んだことは、社内向けにイントラ社内報で経営理念改定の速報を流したこと、社外向けにはニュースリリースを出したことです。その後、「コアバリューとは何なのか」「私たちの存在意義とは何なのか」をより深く知るためのツールとして、冊子版の社内報を作成しました。それが、ゴールド賞をいただいたというわけです。

 制作に当たり最初に思ったのは、「そもそも経営理念って何だろう」、また、「どうして改定の必要があったのだろう」ということでした。同じような疑問を感じている社員も多いと考え、そこをきちんと説明する社内報にしなくてはいけない、と強く感じました。

 その具体策として、伝えるポイントを、次のように整理しました。

新しい経営理念を伝えるためのポイント

  • どんな経営理念になったのか。コアバリューという新しい概念は、どういうことなのか
  • 経営戦略や行動理念などとの位置関係は、どうなっているのか
  • どういうプロセスで改定したのか(プロセスをまったく知らない人にもわかるよう、丁寧に説明)
  • すでに露出している旧理念やその他のスローガンの今後の扱いはどうなるのか。

 また、制作に当たって留意したのは以下の2点。

制作のポイント

  • 主管部門である経営企画部門からのリクエストに配慮する
  • 「経営理念」というお硬いテーマに対する拒否感を考慮する

さまざまな角度から改定経営理念に迫る

 こうして形になった企画について説明します。

 最初に、理念では一番上位に私たちの存在意義が、その下に価値観が、その横にそれぞれの行動様式があるということを、きちんと図にしました。

 続くページも図で見せていて、これは有名なレンガ職人の話を当社風にアレンジして作りました。「どういうモチベーションで仕事をするかがとても重要」「単に目の前の作業をするのと、誰のため、何のためかを意識して仕事をするのとでは、全然違う」という教訓として語られることが多いこの話を、光学を扱うオリンパスバージョンに作り替えたのです(下図参照)。

ゴールド賞受賞企画の中の一見開き。右ページに「自社の存在意義と価値観を示した図、左ページに「レンガ職人の逸話のオリンパスバージョン」を掲載
ゴールド賞受賞企画の中の一見開き。右ページに「自社の存在意義と価値観を示した図、左ページに「レンガ職人の逸話のオリンパスバージョン」を掲載

 次に、コアバリューに基づいた行動とはどんなものかを社員がイメージできるよう、全部門のトップの「コアバリューエピソード」を紹介しました。

 さらに、グローバルブランドプロジェクトがどういう思いで改定を行ったのか、どこが大変だったのか伝えるプロジェクトリーダーのインタビュー記事です。ページの下部には経営理念ができるまでのプロセスをタイムラインにして提示しました。そして、最後にアンバサダーとして経営理念の改定に携わったメンバーのコメント集を掲載しました。

100周年企画で、さらに経営理念の浸透を目指す

 経営理念は、伝えればいいものではありません。まだまだ「新しい経営理念って何だったっけ?」という人もたくさんいます。おそらく、社員全員がコアバリューについて腹落ちできているわけでもないでしょう。社内コミュニケーション担当としては、経営理念の浸透に向けてさらに知恵を絞らなくてはなりません。

 今年度、当社は100周年を迎えました。100周年を迎えるにあたり、「Celebrate our Past.Endeavor for Better」というスローガンが制定されました。当然ながら、100周年時に発行する社内報もまた、このスローガンに合致したものにする必要があります。そこで、100周年時に発行する全4回の社内報の特集企画は、過去・現在・未来それぞれにフォーカスしようと考えました。

 まず100周年のプレ号として、2018年秋号で組んだ特集が「知ってた? 来年100周年」。日頃の取材活動などにおいて、100周年に気付いていない社員がいることを知り、この特集を組みました。続く2019年の冬号の特集テーマは「オリンパス世界初番付」。100周年時に華美なイベントはしないという経営判断もあったため、正直申し上げて社内にはお祝いムードがありませんでした。

 ただ、社内報担当者としては、100周年という機会を見逃すわけにはいきませんし、元気がない社内を盛り立てたいという思いもありました。そこで、「私たちの会社には世界初の技術がたくさんあった」「当社は社会に対して意味のある製品や技術を提供してきた歴史がある」。社内報を通じて、こんなふうに思う機会が少しでも持てれば、そんな期待を込めて編集に臨んだのです。

100周年プレ号での特集「知ってた? 来年100周年」の表紙と目次ページ。100周年を楽しく意識してもらうために、自社の歴史をクイズ形式で提示
100周年プレ号での特集「知ってた? 来年100周年」の表紙と目次ページ。100周年を楽しく意識してもらうために、自社の歴史をクイズ形式で提示
2019年冬号の特集「オリンパス世界初番付」。世界初の技術が社内にたくさんあることを知らせ、自社に対する誇り醸成を目指した
2019年冬号の特集「オリンパス世界初番付」。世界初の技術が社内にたくさんあることを知らせ、自社に対する誇り醸成を目指した

 同年春号特集は「私のコアバリュー宣言」。各事業のメンバーに、「コアバリューを実感しながら働くとは?」「コアバリューを大切にしているシーンとは?」などを座談会形式で語ってもらいました。

 秋号は100周年を記念する「100歳のオリンパスへ」。100人の社内外の方からメッセージをいただきました。次の冬号は「(仮)オリンパスの未来予想図」というテーマで、明るい未来に思いを馳せるような誌面を考えています。

 現状、経営理念が浸透しているかと言えば、まだ認知の段階でしょう。今後、きちんと理解し、共感し、自分ごととして行動に移すという重要なフェーズが待ち構えています。

 先は長いですが、経営理念という難しい硬いテーマを幅広く伝えるにはどうすればいいのかを日々考えながら、これからも中長期的な視点を持って、経営理念の浸透に向けた活動をしていきたいと思っています。

表彰式での久野さん

  • 社内報『OLYMPUS FORUM』
    創刊:1957年
    発行部数:18,000部
    仕様:B5判、4色、28~36ページ
    発行頻度:季刊

  • 会社情報
    URL: https://www.olympus.co.jp/

※ゴールド賞事例紹介、coming soon!(敬称略) ヤマハ発動機株式会社

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