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「自社らしさ」の再認識を図り、リクルートにも活用(ヤマハ発動機株式会社)

ヤマハ発動機株式会社 企画・財務本部 コーポレートコミュニケーション部 インターナル・コミュニケーショングループ グループリーダーの倉辺 祐子さん
ヤマハ発動機株式会社 企画・財務本部 コーポレートコミュニケーション部 インターナル・コミュニケーショングループ グループリーダーの倉辺 祐子さん

「社内報アワード2019 表彰&ナレッジ共有イベント」(2019/10/16)にて実施された上位入賞9社による事例発表の模様を、順次ご紹介してまいります。

第6回は、特別部門でグランプリに輝いたヤマハ発動機株式会社。二輪車をはじめ、ボート、無人ヘリコプターなど多彩なモビリティ事業をグローバルに展開する同社では、紙の社内報を中心に、Web版、動画、デジタルサイネージの4つのツールを使って、インターナルコミュニケーションの充実を図っています。受賞作『ゲンバのチカラ』は、製造系の若手社員のモチベーションアップのために企画された社内報の号外版。リクルートにも活用され、高い効果を上げた同誌の制作秘話を、企画・財務本部 コーポレートコミュニケーション部 インターナル・コミュニケーショングループ グループリーダーの倉辺 祐子さんが明かされました。

社員をワクワクさせるメディアを目指して

 弊社では、1956年発行の月刊社内報『Revs』を中心に4つのメディアを展開しています。紙の社内報は全社員に配布、Web版はネット環境のある社員向けと、それぞれに役割がありますが、すべてに「Revs」のワードを使用しているのが特徴です。

 これは、ブランド・スローガンの「Revs your Heart」からとったもので、「(お客様を)ワクワクさせる、楽しませる」という意味合いがあります。「その実現のためには、まずは社員から」、そんな想いを込めて「Revs」を使用しています。

 

ヤマハ発動機で発行する4つのメディア
ヤマハ発動機で発行する4つのメディア。社内報『Revs』(左上)、Webグループ報『Revs+』(右上)、動画配信『Revs+ TV』(左下)、デジタルサイネージ『Revs Sign』

 編集方針はどのメディアも共通で、ビジョンや経営方針の共有と理解、ブランド意識の向上の2つ。その中で、3年ごとにテーマを設定しているのですが(中期計画)、1年目に当たる今期は、本社の生産系社員、特に20代の若手社員の興味・関心を高めるコンテンツづくりと、長期ビジョン・新中期計画の浸透をテーマとしています。

きっかけは、国内製造現場の士気低下

 今回ゴールド賞の中でもグランプリをいただいた『ゲンバのチカラ』もそれに沿った企画で、もともとは社内報で隔月掲載していた、「製造現場で働く人に焦点を当てた」連載企画でした。企画した背景には、社内に漫然と漂っていた危機感があります。

 その一つが、国内製造現場の士気が低下していること。
これは、グローバル化に伴い生産拠点が海外にシフトするのに並行して、国内拠点の集約化が進んでいるためですが、それにより国内で製造に携わる人間は減る一方で、モチベーションも下がっている現状がありました。

 もう一つは、ヤマハが好きで入社する社員の減少。

 弊社は、二輪車など趣味材を扱う会社ですから、昔は「ヤマハのバイクが好き」という理由で入社する社員が多かったのですが、今は「安定」や「海外に行ける」など、他企業にも当てはまるような動機の志望者が大半を占めるようになっていたのです。

 そしてこの2つはどちらも、ものづくりの会社にとっては致命的な危機と言えるものでした。

特別部門グランプリに輝いた社内報号外版『ゲンバのチカラ』。企画の始まりは、社内に漂う危機感だった
特別部門グランプリに輝いた社内報号外版『ゲンバのチカラ』。企画の始まりは、社内に漂う危機感だった

ドラマティックな文章で心を揺り動かす

 その危機感に真正面から向き合う――、今回の企画はそこから始まりました。
まずこだわったのは、とことん人にフォーカスすること。

 製造現場はいろいろな角度から紹介することができますが、今期のテーマは、本社の生産系社員、20代の若手社員の興味・関心を高めるコンテンツづくりを通した20代社員のモチベーションアップなので、そこはブレないように20代社員の目線で考え、彼らが一番興味を持つ「身近な人」を取り上げることに。

 隣の人が何をやっていて、どんな人なのかは意外と知る機会がないため、リアルな人間像をあぶり出すことを第一の目的としました。

 次に、彼らに受け入れられるように、とにかく「カッコよく」

 ページを構成するすべてに対してですが、特にこだわったのは、文章です。目指したのは、人の心に響き、なおかつ平易に読めるもの。これはターゲット層を考えたとき、譲れない条件でした。そして、そういう文章を書けるライターさんに幸運にも巡り会えたことが、高評価を得た一番の勝因だと思っています。

 また、写真はあえてモノクロにしています。通常はフルカラーなので、その中で目立たせるための工夫です。アングルもありがちなものにせず、現場で真摯に仕事に取り組んでいる緊張感が伝わってくるような写真をお願いしました。

 制作上でもっとも苦労したのは、取材です。通常より時間をかけ、生い立ちからのプロフィールや入社の動機、自身の業務に向ける思いまで、丹念に掘り下げるようにしました。その際も、そもそも話すことに不慣れな人が多いので、世間話から振ったり、移動中の雑談から広げたり、話の持っていき方や場の空気づくりに細心の注意を払いました。

就活生にも読みやすい工夫をプラス

 好評のうちに終了した本企画ですが、冊子にした経緯は、現場の社員から「まとめて読みたい」という声が多く上がったからです。とはいえ、単に連載をまとめただけでは面白くありません。そこで思い付いたのが、リクルート用に使えないか、というアイデア。

 人事部からも「ぜひ使いたい」と前向きな答えをもらい、号外版の制作が始動しました。

 ただし、連載と違うのは、今度は読者対象に高校生・中学生が入ってくることです。彼らにいかに読んでもらうかが新たな課題として浮上し、その対策が、余白を多く取りキャッチコピーを目立たせることと、ユニークなイラストを挿し込むことでした。この2つで、読みやすさを担保しました。

 加えて、もう一つ大事にしたのが、保存性です。就職説明会には、多くの企業のパンフレットやチラシが並びます。

 その中で選び取ってもらい、かつ簡単に捨てられないものにしようということで、体裁にもこだわりました。サイズを手に取りやすいA5に、紙も上質なものにしたのは、そんな理由からです。

ターゲットをしっかり意識し、とことんこだわって作り上げた『ゲンバのチカラ』は、社員、その家族、就活生から高評価を得た
ターゲットをしっかり意識し、とことんこだわって作り上げた『ゲンバのチカラ』は、社員、その家族、就活生から高評価を得た

 おかげさまで、就活生からの評判はとても良く、「会社に興味が湧いた」「思わず手に取って読んだ」「働くイメージが湧いた」といううれしい反応をたくさんもらいました。また、社員に対しては「家族に読んでもらうこと」を推奨したのですが、こちらも同様に好意的な声を多くいただいています。

 優れたメディアは大きな影響力がある、ということを再認識した私たちは、現在第2弾を計画しています。しかし、同じようなものでは、顔ぶれが一新する就活生にはよくても、現場の社員には効果がないため、なんらかの工夫を凝らさなければと考えています。

表彰式での倉辺さん

ゲンバのチカラ 表紙


※ゴールド賞事例紹介、coming soon!(敬称略)
豊田合成㈱/キヤノン㈱/ソフトバンク㈱

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