「社内報で中計について発信しているが、ちゃんと定着しているかわからない!」
「若手に向けた連載をはじめたが読まれているだろうか?」
社内報を担当する皆さんなら、一度はそんなお悩みを持ったことがあるのではないでしょうか。
苦労してつくった社内報がどのように読まれているか、知りたいと思うのが親心というもの。
弊社で配信する社内報セミナーでも視聴者の皆さんからも
「KPIはどのように測定していますか?」
「せっかく社内報をつくっても、ちゃんと読まれているかわかりません……」
などのお声を多くいただきます。
Web社内報などであればリアクションボタンを設置したり、アクセス数や滞在時間などを測ったりできますが、紙社内報ではなかなか実態が見えにくく、やきもきしてしまうことも。
そのため、読者の声を拾い、より良い社内報づくりに生かそうとアンケートを実施している企業も少なくありません。
しかし、実際にアンケートを実施しても、忙しい業務の合間にアンケートの回答まではなかなかたどり着かない現実も……。
今回は多くの社内報担当者が直面してしまう壁を見事に乗り越えた3つの事例をご紹介。
紙社内報でもWeb社内報でも応用できるマル秘テクニックをお届けします。
【事例1】 モニター制度で、アンケート回答者を直接任命!
大手メーカーA社では、読者アンケートに「モニター制度」を導入。
具体的には、グループ全体から30人のモニターを毎年選出して、1年間モニター限定でアンケートを実施します。
社員全員に一斉アンケートが届くと「自分が答えなくても、他の誰かが答えてくれるだろう」と他人事になってしまいがちです。
しかし、あらかじめ人数を絞ったうえで、「1年」と決まった任期で、会社に任命された「モニター」となると、自分事に変わります。気持ちが引き締まり、きちんと回答する「責任」を感じることとなるのです。
その点を期待して、「モニター制度」を導入したそうです。
といっても、モニターの方々に過剰な負荷をかけたりはしません。
アンケートの適切な時間は5〜10分以内、長くても15分以内が理想といわれています。
答えやすいように設問数を絞り込み、社内報担当者が率先してコミュニケーションを取るよう努めました。
A社の社内報ご担当者は、アンケート回答に対してお礼のメールをするだけでなく、気になるコメントにはメッセージを添え、モニターの方と会話する感覚で、アンケートに取り組んでいるそうです。
その結果、アンケート回収率は80%超に上昇。
さらには、アンケートの回答や感想にとどまらず、連載コーナーの人選などで有益な意見が多数もらえるようになり、社内報の誌面がより充実したとのことです。
POINT
- モニター制度を導入。期間は1年。
⇒自分事として回答してくれる - 負荷がかからないよう、設問数を絞り込む
- 回答のお礼メールを出す。気になるコメントにはメッセージを添える
【事例2】 アンケート結果を社内報の誌面で紹介
メディアB社では、社内イントラで年に1回、グループ全社員にアンケートを実施しています。
アンケートの時期が近づくと、一斉にお知らせメールを送信。
さらに、社員にアンケート回答を促すよう、メールで全国各拠点の幹部に依頼をします。
合わせて、編集・制作に協力してもらっている全国の編集委員にも、同様の働きかけを行います。
こうした地道な取り組みがじわじわと効果を上げ、B社のアンケート回収率は、毎回50%前後と高い水準をキープしています。
また、アンケート結果を社内報の特集として公開しているのも、特筆すべき点です。
自由回答欄のコメントも、編集部がすべて目を通してから掲載しています。
これには2つの理由があります。
1つは、社員の方々からいただいた意見をそのままにせず、きちんと社内報づくりに生かしていることを伝え、理解してもらうため。
もう1つは、「自分の声が届いて、影響を及ぼすことができる媒体」として社内報を身近に感じてもらい、興味をさらに高めるためです。
こうした取り組みにより、編集部と読み手の双方向のコミュニケーションを実現しているのです。
POINT
- アンケート時期が近づいたら、全社に一斉お知らせメールを送信
- さらに、拠点の幹部に、回答促進の働きかけを依頼
- 編集委員にも、同様の働きかけをする
- アンケート結果を社内報で特集。「自分の声は社内報づくりに生きる。影響を及ぼせる」と伝え、興味を高める
【事例3】 限定ターゲットへの集中実施で、回収率100%を実現!
こちらもアンケート対象者を限定することで回収率をUPさせた好事例。
今までアンケートをしてこなかった専門店C社は、社内報を発行しながら「作り手の自己満足になっているのでは?」と疑問を感じたことをきっかけに、アンケートを実施することに。
しかし、漠然とアンケートをしても効果は期待できないと思い、ターゲットを「これからの会社を担う若手のリーダー」に限定。この方々が月に一度本社に集まって開催する営業会議の前にアンケートを配布し、会議終了後の夕方に回収することにしました。
結果、回収率はなんと100%!
選択式にして回答しやすくしたことと、「皆さんの意見が社内報に反映されます!」と直接訴えたことが、この成功につながりました。
POINT
- アンケート対象を「これからの会社を担う若手リーダー」に絞り込む
- 対象が一堂に会する会議の前にアンケートを配布、会議後しばらく時間をおいて回収
アンケートの回答は、IC施策のリソース。ぜひ回収率を上げよう
ほかにも「クイズ付きアンケートにして、正解者にプレゼントを送る」「紙とWebを併用して、便利な方で回答してもらう」などもあり、どの企業も回収率UPのために、さまざまな工夫を凝らしています。
読者アンケートは「毎回実施することが重要」とばかりに、回収率をあまり気にせず惰性的に実施しているケースもあるかもしれません。
でも、それではもったいない! 実施する側・回答する側ともに手間ひまをかけているのだし、なによりアンケートの回答は、社内報をはじめとしたIC(インターナルコミュニケーション)施策の貴重な資料となります。
回答者が答えたくなる工夫、離脱せず答えきってもらえるような打ち出し方、「私が答えないと!」と思わせる環境づくりや日ごろの社内コミュニケーションなどなど、自社にマッチした回収率UPの打ち手は、きっとあります。
なるべく多くの社員の声が聞けるように、ぜひ活用してみてください。
[編集部Piuck Up]