社内報担当者は原稿を書く機会が多く、中にはプロのライター並みに上手な方もいらっしゃいます。その一方、「文章を書くのが苦手。小中学生の時は作文が大嫌いだった」という方もいるようです。
今回のテーマは、そんな方のお役に立つ「読みやすい文章を書く基本5ポイント」。たった5つのことを気にするだけで文章が読みやすくなりますよ。
POINT1:主語と述語のねじれを防ぐ
国語の時間に習った「主語」と「述語」。この関係がねじれてしまうと、文章の質は一気に下がってしまいます。どんな文章が「ねじれ」の状態なのか、例をご覧ください。
【NG例】
今の目標は、自転車で世界一周したいです。その時はぜひとも社内報で紹介してくださいね。
この文章の主語は「今の目標」で、述語は「したいです」ですが、主語に対して述語の受けがおかしいですよね。これが「ねじれ」です。
正しくは、「今の目標は、自転車で世界一周することです。その時はぜひとも社内報で紹介してくださいね」となります。
「さすがにそんな稚拙な文章は書かないよ」と思われるかもしれませんが、長い原稿を書いていると前後の文脈に引きずられて、このような「ねじれ」文章になってしまうことがあるんです。主語に対して正しい述語を書き、文章をねじれさせないようにしましょう。
POINT2:「一文一義」を心がけよう
「一文一義」とは、「一つの文は一つのトピックに絞って書く」ということです。
【NG例】
社内報は、企画を考えたら編集会議にかけて上司の了解を得て、そのあとで取材対象者に連絡をしてインタビューを行い、原稿を書いたらデザイン組みをして、社内確認・了承をすべて終えてから印刷入稿します。
……言いたいことは伝わりますが、一文が長すぎて読みづらいですよね。これを一文一義にのっとって書き直してみます。
社内報の編集は、まず企画を考えることから始まります。企画ができたら編集会議にかけて上司の了解を得ます。その後、取材対象者に連絡をしてインタビューを実施、原稿を書いたらデザイン組みをします。社内確認・了承をすべて終えたら印刷入稿します。
〈社内報編集の始まり〉→〈企画について〉→〈制作関連〉→〈入稿〉とトピックを分けて、それぞれを一文に収めたことで、ぐっと読みやすくなりました。
トピックのまとめ方は人それぞれなので上記の文章だけが正解というわけではありません。あなたなりの「一文一義」で読みやすい文章を考えてみてください。
POINT3:文末は「です・ます」or「だ・である」に統一
長文の原稿整理をしていると、「だ・である」で終わっていた原稿が突然「です・ます」になっていて驚くことがあります。逆のパターンもあります。このミスの防止策はとても簡単。書いた原稿を読み直すだけで、すぐに気づくことができます。
もちろん、「文章にリズムを出すために敢えて混在させている」という場合は、それはそれでOKです。全体は「だ・である」調、会話部分だけ「です・ます」というケースも問題ありません。
POINT4:句読点の位置を検討
読みやすい文章は読点が効いています。適切な位置に読点を打つことで文章が読みやすくなると同時に、文意を明確にすることができます。ここでは文意を明確にする例を挙げます。
【NG例】
彼は急いで出かける山田部長に社内報の原稿を確認してもらった。
これでは、急いでいたのが「彼」なのか、「山田部長」なのか、わかりません。
そこで読点を打ち「彼は急いで、出かける山田部長に社内報の原稿を確認してもらった」とすれば、急いでいるのは「彼」だとわかるようになります。
POINT5:重複・冗長に注意
あれこれ盛り込みすぎて冗長な文章は、読み手を疲れさせてしまいます。重複する言葉はできるだけ削ってシンプルにしましょう。
【NG例】
東京本社という場所は大勢の従業員が働くところだ。
小説などではこういった表現もアリですが、社内報の企画にはあまり適していません。では、どう書き直せばいいでしょうか?
まず、「東京本社」と「場所」は意味合い的に重複しているので「場所」を削除、「場所」と「ところ」も同じような意味で重複しています。さらに、「という」はなくても意味が通ります。
東京本社では大勢の従業員が働いている。
とてもシンプルですが、これで十分伝わります。一つの原稿の中で同じことを繰り返し書いてしまうと、ムダに原稿ボリュームが増える割に伝えたいことが書ききれない、読みづらいという結果に陥ります。推敲する時には、この点もチェックしましょう。
以上、文章を書く上で基本となる5つのポイントをまとめてみました。すべて、書きあがった原稿を読み直せば気づけることばかりです。ぜひ今日から実践して、読みやすい原稿へとブラシュアップしてください!
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