MENU
ホーム記事一覧事例に学ぶ事例紹介目指すのは、若手社員にグッと刺さる社内報(ダイワボウ情報システム株式会社)

目指すのは、若手社員にグッと刺さる社内報(ダイワボウ情報システム株式会社)

「社内報アワード2022」でゴールド賞を獲得した優秀作品を発表するシリーズも、今回で最終回となります。トリを飾るのは、紙社内報部門 特集・単発7ページ以下のカテゴリーにおいてゴールド賞をはじめ複数受賞に輝いたダイワボウ情報システム株式会社。受賞作品「人生の半分をDISで駆け抜けた」を制作したご担当者が事例発表を行い、企画の背景やねらい、制作秘話を語ってくださいました。

 

【プレゼンテーター】
ダイワボウ情報システム株式会社
総務部 総務課
高木 萌さん

 

【インタビュアー】

ウィズワークス株式会社 
社内報事業部 マネジャー
橋詰 知明

IT関連企業が、紙社内報にこだわる理由とは?

――まず、簡単に会社と社内報の概要を教えてください。

高木:弊社はIT関連の専門商社で国内最大級のディストリビューターです。メーカー1,400社とお取引があり、約240万の製品、約300万台のパソコンを扱っています。当社の最大の強みは、顧客第一主義と地域密着の営業体制。全国に94の拠点を置き、エリアごとのお客さまと深い信頼関係を築いていくことを大事にしています。

 社内報『みんなのDIS』は、全国に散らばる社員を結びつけ、情報を隅々まで届けるツールとして機能させています。創刊は1993年。企業アイデンティティを確立させ、一体感を醸成することを発行目的とし、直近で176号となりました(年6回発行)。デジタルに移行する会社も多い中、弊社では、保管して繰り返し読むことができ、家族にも見てもらえるようにと紙媒体にこだわり、以下の3点を編集方針としています。

社員同士のコミュニケーションを潤滑にする、3つの編集方針
社員同士のコミュニケーションを潤滑にする、3つの編集方針

飽きさせずに読ませる2つの工夫

――主要コンテンツや読ませる工夫についてお聞かせください。

高木:一人の管理職を取り上げ、入社した経緯や仕事への考え方などを聞く「支店長プロフィール」は、歴史も古く、人気のコーナーです。また、部署の業務内容やメンバーを紹介する「職場ナビ」「ぶらり訪問記」 も好評です。「ぶらり訪問記」では、編集員が全国の拠点に赴き、ご当地情報なども併せて掲載しています。もう一つは、社長インタビュー。年2回出していますが、硬い内容にもかかわらず、好意的な意見が寄せられています。

管理職の社歴や幼少期から現在までのエピソードなどを紹介する定番企画
「支店長プロフィール」は、管理職の社歴や幼少期から現在までのエピソードなどを紹介する定番企画。古くからある企画ため、定期的にデザインをリニューアル

 工夫としては、一つ目に定期的なリニューアル。毎年3月号に実施し、定例コーナーのデザインや内容の見直し、表紙の変更等をしています。

 二つ目は、オリジナルキャラクター。しっかり者の「みんでぃちゃん」、関西弁でツッコミ担当の「カメラ編集員」、甘えん坊で癒やし担当の「はりーぼうや」の3つのキャラクターがいて、こちらは編集員が描いたイラストを元に、デザイン会社に起こしてもらい、138号で初登場しました。なかでも、はりーぼうやはその愛くるしさから支持率が高いです。

 最後に、編集方針にも挙げたイントラ「みんD-WEB」の活用です。こちらでは、社内報のバックナンバー、新入社員紹介コレクション、社内報に載せきれなかった未公開の写真を掲載しています。また、発行時に編集員のイチ推し誌面についての紹介記事や、過去の読後アンケートなども載せています。

編集員の描いた下絵を元に、デザイン会社とすり合わせを行い制作
編集員の描いた下絵を元に、デザイン会社とすり合わせを行い制作。誌面の内容によっていろんなデザインのキャラクターを使い分け、誌面を盛り上げている
右上の「新入社員コレクション」は特に人気
右上の「新入社員コレクション」は特に人気。新入社員がどんな人物かを知る情報データベース的な使われ方をしている。コロナ禍では入社式もなかったため、新入社員同士を知るきっかけにも

――制作担当者は、若いメンバーが中心だそうですね?

高木:現在は、ベテラン社員が育休で休職中のため、私を中心に20代の女性3名で担当しています。社員も若い世代が多いため、コアターゲットもその世代になりますが、その意味では、マッチしたメンバーだと思います。実際に、最近は若手ならではのアイデアや視点が増え、インスタグラムなどのSNSや、YouTube、TikTokといった動画コンテンツなどからヒントを得ています。参考にするのは、主にデザイン面。ただ、アンケートからは、40~50代の読者も結構いるという結果が出ているので、その層も視野に入れつつ、という感じです。

「中高年社員の話は面白い!」から始まった、振り返り企画

――ゴールド賞を受賞した「人生の半分をDISと駆け抜けた」は、その若手ではなく、中高年社員にスポットを当てた記事になっています。こちらの企画意図や背景を教えてください。

高木:まず制作時期が、翌年に創業40周年を控えたタイミングだったことがあります。若手社員が多い弊社も最近は中高年社員が増えてきているため、彼らにスポットを当てようとなったのですが、その背景には、編集員が取材や普段の会話の中で聞く「中高年社員の話が面白い!」という思いがありました。こうした話は、以前は職場で自然に伝わっていたのですが、コロナ禍になってからは会話する機会が減り、若手に届いていないという事情がありました。そこで、歴史の振り返りとともに、誌面で展開しようとなったのが出発点です。ですから、中高年社員が主役ではありますが、ターゲットは若手社員なのです。

――最初の見開きで会社の象徴的な出来事と、それに対する中高年社員の声を掲載し、次の見開きで7人をクローズアップ、最後は1ページで上層部2人の対談、という5ページ構成です。この設計の意図は?

高木: 一番重視したのは、若手社員の興味を引くことと読みやすさです。1見開き目は、よくある年表では堅苦しいイメージを持たれてしまうので、中高年社員の感想を織り交ぜ、写真を多めに掲載しました。質問形式にしたのも、同様の考えからです。

タイトルとリンクした「駆け抜けるポーズ」が秀逸 
過去の象徴的な出来事をランキングで発表。社歴25年以上の社員73人を対象にアンケートを実施し、コメントを抜粋。タイトルとリンクした「駆け抜けるポーズ」が秀逸 〈クリックして拡大〉

――アンケートを取られたそうですが、単なる羅列に終わらず円グラフを載せたり、ポップな切り抜き写真を挟んだりなど、随所にユニークな工夫がされています。特に、1見開きめの上に向かって走るポーズと、2見開き目のカッコイイポーズは面白いですね。

高木:1見開き目のデザインは、タイトルにリンクさせているのですが、ちょうど上司が陸上部の出身だったのでぴったりだなと。それゆえ、納得いくまで何度も撮り直しすることになりましたが(笑)。2見開き目のポーズは、ディレクションで苦労しました。弊社は控えめな社員が多いので渋られがちだったのですが、企画の意図を粘り強く伝え、説得しました。また、併せて文章もカッコよくしたかったので、ですます調で返ってきた回答を言い切り型に変更しています。

ゴールを設定し、そこに向かって突き進むことの大切さ

――「こう表現したい」というゴールを持たれてディレクションしているという印象を受けました。その辺りは、企画の段階から強くイメージされているのですか?

高木:この企画でどういったことを伝えたいのかというのを立ち上がりの段階である程度決めているので、その読後感になるように構成や内容を考えています。

――最後のページで対談したお2人は同期だそうですね。いきなり「お互い老けたな」というセリフから始まったことには驚かされました。このページの意図についてご説明をいただけますか?

高木こだわったのは、リアルな対面です。対談時はまだコロナ禍中ではありましたが、オンラインでは落ち着けないですし、深い話を引き出せないうえ、雑談も生まれにくいからです。特に若手に興味を持ってもらいたいコーナーだったので、ラフな感じは外せないポイントで、内容は深いながらも軽く読める対談を意識しました。

――その後に「夢は終わらない」というコーナーを設けて、未来につながるコメントを掲載されています。そこで、若手に向けて「長く活躍することができる」というメッセージを表現しているのかなと思ったのですが、いかがですか?

高木:そうですね。中高年社員にもまだ夢があるんだということを伝え、若手社員に刺激が与えられたらという思いで、締めに持ってきました。

――もう一つ、新入社員の目線を端々に絡めているのも、上手いな、と感じたポイントです

高木若手社員に届ける企画なので、何らかの形で絡めたいなと。最後の写真のポーズには、先輩が駆け抜けてきた同じ道を、新入社員も追っていくんだ、というメッセージを込めています。

若手向けに短い文章にギュッとまとめ、フランクな雰囲気に
若手向けに短い文章にギュッとまとめ、フランクな雰囲気にしたのが高評価を得たポイント。新入社員の切り抜き写真も効いている 〈クリックして拡大〉

――細かいディテールまで本当によく計算されていて、「絶対に面白い企画にするんだ!」という編集者の意思の強さが感じられます。反響はいかがでしたか?

高木:かなり大きかったですね。読後アンケートでは20代の回答者が50%を占め、若手社員が多く読んでくれたのはうれしい結果でした。また、約半数の回答者が「ベテラン社員の印象が変わった」「親近感が増した」「会話に活かせそう」と回答しているので、編集部のねらい通りの企画になったのではないかと自負しています。

徹底的な「若手寄り」企画で、再びのゴールド賞にトライ!

――「社内報アワード2023」への応募作品についても、ご説明をお願いできますか?

高木:応募作品は、育児関連制度についての企画です。10月に制度が変更になり、先にイントラに改定内容が掲載されたのですが、字面だけの説明では分かりにくく見逃されてしまうのではないかと考え、社内報でも取り上げることに。ですから、育児制度が改善されたことを十分に理解してもらうことが第1の目的で、第2には、実際に制度を利用した社員に聞いた、リアルなエピソードを掲載することで、多様な働き方ができるということを認識してもらうことを目指しました。また、制度が改定され長く働ける会社だということをアピールして離職率を少しでも減らせれば、という思いでこの企画を検討しました。

――LINE風のつくりにしたのは、ターゲットは若手社員というのが理由ですか?

高木:はい。若手が見やすいものってどんなだろうと考えたときにLINEなどの縦のメッセージでやり取りをする形が適しているのでは、ということでそうしました。説明は横軸で展開し、イラストも手書き感を出すなど工夫しています。

——こちらも徹底していますよね。若者がプライベートで話している感じの言い回しも良いですし、タイトルからして「育児しやすくなってて“草”。」ですもんね。

高木:ちょっと挑戦的にしてみました(笑)。若者の言葉になじみのない中堅社員からは、疑問の声も上がったのですが、そこは「若手に見てもらいたい」という熱い思いで貫き通しました。

社員2人がLINE風にやり取りを展開
「とあるDIS社員2人の会話」と題し、社員2人がLINE風にやり取りを展開。その横で、制度について詳しく説明を補足。タイトルに注目! 〈クリックして拡大〉

――社内報担当者として、自社に貢献できていると思うことや、喜ばれている、役に立っていると感じることはありますか?

高木:社内報を通じて社員同士をつないでいることが、貢献できていると感じる部分です。あとは内定者にも配布しているため、会社のアピールの一助にもなっていると思います。それと、管理部門の役員や上司と社内報会議を設けているので、社員の声を上に伝えることで、制度や環境の改善にも役立てているのでは、と考えています。

——最後に、今後やりたいことを教えてください。

高木:現在は歴の少ない社員3人で社内報を担当しているため、なかなか誌面の見直しやリニューアルといったところまで手を出せていません。今後、個々のレベル上げを図り、余裕が出てきたらリニューアルしたい、というのが一つ。また、社内報自体の充実度を上げることはもちろん、「みんD-WEB」との連携もより強化していきたいと思っています。

——貴重なお話をありがとうございました。

 

Web社内報『みんなのDIS』

創刊:1993年
閲覧対象者:正社員、契約・派遣社員、家族、内定者
発行部数:2,900部
仕様:A4判、4色、16~24ページ
発行頻度:隔月刊

会社情報:https://www.pc-daiwabo.co.jp/


[編集部Pick Up]

【トレンド】
決定! 「社内報アワード2023」グランプリ&ゴールド賞企画

【企画】
社内報 企画のネタ/テーマ「人」

 

社内報づくりに役立つ情報満載!
無料メルマガ登録はこちら

 一覧へ戻る
ページ上部へ