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100年受け継がれる“究極のIC”は、どんな苦難も乗り越える

コロナ禍により、働き方が大きく変わった昨今、インターナルコミュニケーション(以下、IC)のあり方も大きな転換点を迎えています。この激動の時代に、IC施策で課題解決に取り組んでいる企業をご紹介するインタビュー企画「経営とIC」。第2回となる今回は、オタフクホールディングス株式会社 執行役員 広報部 部長 大内 康隆さんにインタビュー。1922年に醤油類の卸と酒の小売業として広島で創業した同社は、1945年の原爆投下により社屋を消失、すべてがリセットされました。その悲劇を乗り越え、今では日本有数の食品会社の地位を獲得しています。今年11月26日に100周年を迎える同社に、強い経営力にICが果たす役割についてお話を伺いました。

「人を大切にする」社風がもたらす経営メリット

――オタフクソースは、第12回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞(主催:人を大切にする経営学会)で、経済産業大臣賞を受賞されました。「従業員とその家族」をはじめとした「人を大切にする」施策は、経営にどんなメリットをもたらしているとお考えですか?
※「従業員とその家族」「外注先・仕入れ先」「顧客」「地域社会」「株主」をはじめ、人を大切にし、人の幸せを実現する行動を継続して実践している会社の中から表彰する制度。

大内:一番大きいのは、経営陣と社員の距離が近くなることです。この距離が近ければ、経営陣に現場の声がしっかりと届き、また、経営方針が社員に伝わり、理解・浸透が進みます。その結果、会社全体が一枚岩となり、ブレなく業務を進めていくことができるのです。

――それはつまり「人を大切にする」施策=IC施策、経営施策ということでしょうか?

大内:……どうなんでしょうね(笑)。今でこそICと呼ばれていますが、社内のつながり、会社全体の結びつきをとても大切にする当社の経営姿勢は、創業当時から脈々と受け継がれてきたものです。長く続けることで社風となり、企業文化がはぐくまれ、「当たり前のこと」となっています。

――創業者である故・佐々木 清一氏は、何を目的にIC(という表現が少し心苦しいのですが……)に取り組まれてきたのでしょうか。

大内:当社は、家族経営から始まり、手伝いに来てくださる近所の方々が増え、その輪がだんだん大きくなる、という形で発展してきた企業です。だから「一緒に仕事をしてくださる人も、ご縁」という思いで、社員に対しても家族同然に接してきたそうです。現在、オタフクソース株式会社の社長は8代目になりますが、創業者のこの想いは脈々と受け継がれています。

1922年に、佐々木清一が広島市横川町で創業
1922年に、佐々木清一氏が広島市横川町で、醤油類の卸と酒の小売業「佐々木商店」を創業したのがオタフクソースの始まり

 今回取材をお受けするにあたり、私たちがICを大事にしている理由を改めて考えてみたのですが、経営戦略や企業競争力の向上などではなく、「社員は家族だから。家族を大切にするのは当たり前だから」という、創業以来、ずっと一貫しているシンプルな答えにたどり着きました。

浸透・協創・提言をテーマにしたIC施策

――その結果、会社全体が一枚岩となり業績を上げている。一朝一夕で真似することは到底できない、究極のIC施策と言えそうですね。現在行っている施策にはどのようなものがありますか。

大内:大きく分けると次の3つの系統になります。

オタフクソースが現在行っている施策

浸透的コミュニケーション
  • 経営方針発表大会(年1回、全社員参加)
  • 社員表彰
  • 経営陣メッセージ発信(お多福グループ社内報『福来(ふっくる)』およびイントラネット『Otalink(オタリンク)』を活用)
  • 座談会ビジョン(会社のビジョン「笑顔をデザインする会社に」をテーマに社員が語り合う)
協創的コミュニケーション
  • ニュース・お祝い情報発信(社内報およびイントラを活用)
  • 社員総会(年1回、全社員参加)
  • 社員旅行
  • 家族参加の入社式
  • 階層別研修
  • 社員食堂
  • 社内SNS
  • 同好会
  • 宮島ファミリーBBQ
提言的コミュニケーション
  • 「ジョハリの窓」(経営陣と社員の対話)
  • モチベーションサーベイ(職場や仕事に関する不満や要望などの聞き取り)
  • 研修(「ミッション語り場」「創藝塾」「おとな見聞旅行」)

――「浸透的コミュニケーション」にある「経営陣メッセージ発信」は、主に社内報を活用しているのですね。

大内社内報の『福来』は月刊で、毎月トップメッセージを掲載しています。さらに、毎日行われる朝礼で経営陣から語られる内容は、イントラの『Otalink』で即日発信しています。社内報は40年ほど前から発行しており、一度Web化したものの、2006年に紙に戻しました。

 今年リニューアルし、デザインも企画も一新したのですが、社員アンケートで「次号が楽しみ」という声が急増するなど、好評です。コロナ禍により、リアルな場で社員同士が顔を合わせる機会が減った分、『福来』が一層重要なICツールになっていることはまちがいありません。また、新しい取り組みとして、社内SNSも始めました。今後はこちらでの発信、交流も強化していきたいと考えています。

社内報『福来』に掲載した100周年記念施策
社内報『福来』に掲載した100周年記念施策

――多岐にわたるIC施策の中で、特に貴社らしさが顕著なものは?

大内:家族参加の入社式は、よく驚かれますし、珍しいのかマスコミの取材も度々受けています。今は同様のことをされる企業も少しずつ増えているようですが、当社では昔からの恒例行事で、私が入社した25年前も親を招待しました。

 社員総会と社員旅行も、長年続いています。社員総会は、海外拠点も含め(一部を除く)、全社員が集まる会で、社内表彰や懇親会などを行います。社員旅行も歴史ある施策で、古い写真がたくさん残っています。実は、経費が莫大なため、過去に中止を検討したことがあるのですが、経営陣は絶対にやめませんでした。どの施策も「社員は家族」という創業者のDNAが息づくもので、その点が、「オタフクらしさ」だと考えています。
※コロナ禍により中止の年度あり

タテ糸とヨコ糸、ともに強固な理由は「人」

――最近は「個」を優先する時代で、若い世代では、社員旅行などの「つながり」を敬遠する傾向もありますが……?

大内:社内行事を嫌がる社員もゼロではないですが、比較的少ないように思います。その理由はやはり、「人を大切にする」当社の社風を好んで入社する方が多いからでしょう。新入社員に当社を選んだ理由をたずねると、「面接時に対応してくれた社員がとても親切だったから」「みなさんが楽しそうに働いていたから」という声をよく聞きます。要するに、オタフクで働く人を見て選んでくれているのです。結果的に、母集団(同じ感覚を持つ人)が大きくなるのだと思います。

――「提言的コミュニケーション」にある研修は、3項目ともユニークな名称です。どんな内容なのでしょうか。

大内:「ミッション語り場」は、宿泊で行う研修ですが、参加者が囲炉裏を囲んで会社の理念について話し合うというもので、「創藝塾」は、高杉晋作など歴史的な先人にまつわる土地を訪ね、その考えや行動を五感で学びあい、共有するという研修です。「おとな見聞旅行」は高卒入社の社員が行う研修で、大卒社員に比べて社会経験が少ないため、例えば東京で電車を経験したり、高級料理店へ行ったり、社会人としての経験を積ませることを目的にしています。これも経営陣が同行します。

高卒入社の社員が行う研修の「おとな見聞旅行」
高卒入社の社員が行う研修の「おとな見聞旅行」。大社会人としての経験を積ませることを目的に実施

―― 一般的な企業で考えると、かなり珍しい研修ですが、社員を家族というか、わが子のように大切にする、その企業姿勢が伝わってきます。

大内:……やはり珍しいですか? 他社様から驚かれることは多いですが、驚く様子を見て、逆にこちらが「そうか、他社様にはない文化なのか」と改めて感じます。

――こういったIC施策は、経営陣と社員というタテ糸だけでなく、社員同士というヨコ糸も、自然に強くしていきそうですね。

大内:もちろんそれも重要な狙いであり、その結果として結束が強まることは経営上の利点になっています。社員同士の距離が近いことから、他社でよく問題になる、「他の部署の仕事がわからない」ということが起こりにくいと思います。また、社内報で多くの社員を載せているためか、「まったく知らない人」というのが生じにくい状況です。これは部署を横断したプロジェクトが多い私たちにとって非常に大きなメリットで、意思疎通がしやすくなり、目標を達成する近道になっていると期待しています。

時代が変わっても、重視するのはやっぱり「人」

――明日は77回目の「原爆の日」です(※インタビューは2022年8月5日に実施)。貴社は、原爆投下からの再スタートという大変な困難を乗り越えられて100周年を迎えようとしています。

大内:これまでお世話になってきたステークホルダーに感謝の気持ちを込めて、さまざまな取り組みを企画していますが、その最上位にいるのは社員です。未曽有の苦難を乗り越えて迎える100周年という節目に、ともに働ける喜びを、社員みんなで共有したいと考えています。具体的には、100周年バージョンにレベルアップした社員旅行や社員総会の実施です。「この会社で働いてきて良かった!」と思ってもらえる企画にしたいと、現在あれこれ思案中です。

――『創業100年記念動画』がバズりましたね。出演している社員さんたちが心底楽しんでいる様子が印象的で、貴社の社風、DNAを実感しました。この動画はインターナル、エクスターナルともに効果的な内容ですが、今後は外向けの発信にも注力なさるのですか?

大内:はい。今は公式サイトとプレスリリース、公式SNSといったところですが、まだまだ不十分という認識です。実は、社内でしか知られていない当社らしい取り組みが、いろいろあるんですよ。小さいことですが、これが企業文化であり、当社ならではのICであり、企業価値だと思うのです。こういう「オタフクらしさ」を、もっと外に発信して、当社を広く知っていただきたいですね。

――これからの100年に向けたチャレンジ、そして目指すゴールをお聞かせください。

大内「人・物・金・情報」という経営資源の中で、当社が最も重要視するのは、「人」です。これを体現するために、今後もIC施策を実施し、職場の環境整備や仕組みづくりに取り組んでいきます。ゴールは、特に設定していません。「社員を大切にすること」にゴールはないからです。ただ一つ言えることは、これから先の100年も、創業者のDNAをしっかりと継承していくということです。社員が増え、どんなに規模が拡大しても、それだけは手を抜くことはありません。

――貴重なお話をありがとうございました。

 

  • プロフィール
    オタフクホールディングス株式会社
    執行役員 広報部 部長
    大内 康隆さん

    1996年オタフクソースに入社。静岡にて営業を8年担い、商品企画課で家庭用新商品を企画・開発、大阪にて販促企画など営業支援の業務などにつき、2012年よりマーケティング部長。2014年より品質保証部長を経て、2016年より広報部長。社内外の広報対応のほか、100周年プロジェクトのマネージャーとして周年施策を進行している。
    企業URL:https://www.otafuku.co.jp/

[編集部PickUp]
●本シリーズの1回目もご覧ください
ICの積極活用で理念経営を推進 規模拡大による問題にも対応(エン・ジャパン株式会社 清水 朋之さん)

●社内報を進化させるために、ICやICPについて知ろう!
ICって何ですか? ICP って誰のこと??


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