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社内報デザインの大御所が指南! 企画意図を読者に伝えるデザイン発注のコツ

企画を練って社内の編集会議を無事通過。「さあ、いよいよページづくりだ!」
……となったら次のハードルはデザインのことだったりしませんか?
そんな社内報編集者のお役に立つ情報を求めて、デザイナーの関根 昌雄さんに話を伺いました。雑誌や会社案内、広告など多岐にわたるグラフィックデザインを手掛け、社内報の大御所デザイナーでもある関根さんが考える「企画意図を読者に伝えるデザイン発注のコツ」とは?

編集者とデザイナーの「情報」と「イメージ」の共有が重要

――社内報の編集者は、どのようなデザインで社内報を作れば読者の興味を喚起できるのか、悩んでいる方がたくさんいます。デザイナーの立場からアドバイスをいただけますか。

 これは大前提となるお話ですが、社内報のデザインを最初に手掛ける時には、その企業の経営方針や働く読者のみなさんの関心といった基本情報を踏まえた上で、冊子全体のデザインテイストを考えます。なので、「その企業を知る」「読者ターゲットを知る」ことは必須です。

 今、会社はどんな事業に力を入れていて、どの年齢層の方が多く、どんな職種があるのか――、デザイナーも公式サイトなどを見て情報収集しますが、そこから読み取れないような情報を社内報の編集者に提供していただけると、ありがたいですね。

――各企画の意図をデザインで伝えるために、社内報編集者はどんなことに気を付けたらいいでしょう?

 重要なのは、企画の「目的」を明確にすることです。これをデザイナーに伝えていただけると、誌面のなかで目立たせるべきところが見えてきて、デザインにメリハリをつけやすくなります。

 また、希望するビジュアルイメージがある場合は、具体例となるような雑誌の特集や、手描きのラフなどをデザイナーにご提示いただけると、イメージ共有ができてとても助かります。

 逆に、例えば「斬新でスマートで、これまでにないようなデザインにしてほしい」というようなご要望は、デザイナーとしては困惑してしまいます。

 抽象的で漠然とした言葉から思い描くイメージは人によって異なるため、結果的に「こういうデザインじゃない」と大修正が発生し、効率が悪くなってしまいがちです。

――「伝えたいことを載せたら文字がぎゅうぎゅう詰めで、何が言いたいのかわからない」と読者から指摘されたというような失敗談もよく聞きます。

 それは、よくあることです。必要だと思う情報が多かったり、社内で複数の方のチェックを受けるうちに文字量が増えてしまったり、、、といったご事情があるのでしょう。

 ただ、デザイン的には、あれもこれもと詰め込みすぎると、かえって何も伝わらなくなってしまいます。あふれる文字を収めることが最優先となってしまい、デザイン的な工夫をする余地がなくなるため、インパクトのある誌面作りが難しくなるからです。

 この解決策として、伝えたいことを図や表を使って視覚に訴える方法があります。より訴求効果が高い方法はどれかを検討し、最適な見せ方を選ぶようにしてみてください。

――社内報編集者のお悩みの定番に、写真撮影もあります。

 インタビュー記事の場合、同じようなカットの顔写真をたくさんいただくことがありますが、似たものをたくさん掲載するより、取材対象者の仕事の現場や机の上、愛用の仕事道具など、視点を変えた写真を載せる方がさまざまなドラマが見えてきます。

 写真はデザインの良し悪しに大きく影響します。もし今、社内報のレベルアップをお考えなら、手始めに「写真の取材力」を見直してみてはいかがでしょうか。前述したようなメッセージ性のある写真を掲載すると記事に厚みが出て、より一層読者の興味を引くと思います。

――デザイナーの立場から、社内報編集者に伝えたいことはありますか?

 できあがった社内報の感想を率直に伝えていただけると、うれしいですね。

 何が良くて何が悪かったか、悪かったのは何が原因だったのかを振り返り、改善を重ねることが、クオリティアップにつながります。また、反応を返していただくことでデザイナーのモチベーションも上がります。

 編集者の熱意とデザイナーのモチベーションを共鳴させて、より良い社内報をつくっていきましょう。

関根さんが伝授するラフの描き方、紙面構成の考え方

関根さんが伝授するラフの書き方、紙面構成の考え方
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① 編集者のねらいや意図がわかる

カッコいい必要はありません。企画のねらい、意図、注意点などがわかれば十分です。

 

② 手描きがベスト

パワーポイントやワード、エクセルで作ったラフは、一見、完成度が高い分、イメージが固定されがちです。しかしビジネス用ソフトは細部の作り込みに限界があるため、実際にはその通りにデザインできるとは限りません。理解の“ボタンの掛け違い”を避けるためにも、手描きのラフをお勧めします。

③ 構成は文字とビジュアルのバランスから考える

文字ぎっしりの誌面は、読者を読む気にさせません。ビジュアルとのバランスを考えましょう。

 

④ 文章の流れ、パーツごとのつながりを明確に

ラフでは、文章の流れやパーツごとのつながりを明確にすることに注力しましょう。デザイン部分はデザイナーにお任せください!

グラフィックデザイナー
関根 昌雄さん

せきね・まさお/株式会社リクルートで求人広告、学校広告など数多くのメディア制作に携わったのち、独立。以来、雑誌や企業広告、会社案内など多岐にわたるデザインを手がけてきた。社内報アワードの審査員も務め、担当した社内報は数十誌にのぼるという、社内報の大御所デザイナーでもある。

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