10月18日に開催した「社内報アワード2018 表彰&ナレッジ共有イベント」では、上位入賞を果たした優秀企業8社にプレゼンターとなっていただき、「社内報制作の事例発表」を行いました。「社内報ナビ」では、各社の発表内容をご紹介していきます。
第2回目は、社内報を社内のみならず、社外にも公開するエン・ジャパン株式会社。「社内報アワード2018」Web社内報部門ゴールド賞に輝いた社内報『en soku!』は、2015年の立ち上げ以来毎日欠かさず社員の手により更新され、社内外の読者から多くのリアクションが寄せられています。
社員の手で作る、完全内製型Web社内報
当社は、中途採用・転職サイトを主体とする人材サービス企業です。現在の社員数は、グループ企業を含め約2,500人。ベトナムや中国など海外にもグループ会社があります。企業規模が大きくなるにつれ社内情報の共有もより多く行なっていくために、社内報もその一環として重要な役割を担っています。
このような当社のWeb社内報『en soku!』のコンセプトは、「まるっと公開、社員みんなで作る社内報」。その背景には、社員に自社のことをよく知ってもらい、自社のことをもっと好きになってほしいという目的があります。
具体的な内容は、ビジネス誌に取り上げられた女性社員の取材トピックや社内イベントのレポートのほか、社員の旅行先での出来事なども。ビジネスシーンからプライベートな側面まで、幅広いテーマで展開しています。
『en soku!』の特徴をひと言で言えば、全て内製で、制作費がゼロ円であること。2015年の開設以来、1日も欠かさず毎日1~4本の新しいコンテンツをアップし、これまで約1,400本の記事を公開してきました。
書き手となる社員は、これまでに約280人。「ライター」というとハードルが高くなるので、「レポーター」という名称で、気楽な雰囲気で書いてもらっています。
今でこそ多くの社員に認知してもらっている『en soku!』ですが、立ち上げ当初は、『en soku!』バッジを作り、レポーター社員に身に付けてもらうなどの試みも行いました。『en soku!』バッジのおかげで、レポーターたちが周囲から「それは、何?」と声を掛けられ、会話のきっかけにできました。
新たなコミュニケーションは、そんな小さな積み重ねから広がっていくのではないでしょうか。私たち編集部は、社内報を多くの社員に身近に感じてもらうために、こうした遊び心も大切にしてきました。
運営の中心は10人のプロジェクトメンバー
『en soku!』の運営体制の中心は、Web編集チームと広報チームからなる10人のプロジェクトメンバーです。全員、本業は別にありますが、社内報については1人あたり2週間に1~2時間くらいの兼務で、次の3つの作業を行っています。
プロジェクトメンバーの定期業務
- ① レポーターの当番カレンダーの作成
- ② 日刊メルマガ『en soku! 通信』の配信
- ③ 特集記事『きょうのエン』の作成
③ の『きょうのエン』は、エン・ジャパンにまつわる話題を、プロジェクトメンバーが日替わりで更新しています。そこにレポーターの記事が加わってコンテンツの厚みが増し、全体の更新頻度を上げていきます。
②の日刊メルマガ『en soku! 通信』は、『en soku!』を広く周知するとともに、レポーターたちの更新の後押しにも役立っていると思います。
社員の声を重視した結果、トップからの支持も得る
社内報の成果として、PVや訪問ユーザー数も目安にはしていますが、私たちが最も大切にしているのは、社員の声です。社員アンケートによれば、8割以上の中途社員が『en soku!』を読んで志望度が高まったと回答しており、内定者からは「入社までに社員の皆さんとのつながりが感じられ、うれしい」という声が寄せられています。
一方、採用担当者からも、内定者とのコミュニケーションを図るきっかけとして『en soku!』を使い、他にも若手の営業担当者からは、活躍している先輩社員が『en soku!』で取り上げられると、キャリアパスを考える上でロールモデルになるという声も届いています。
これらのアンケート結果や社員の声は定期的に経営陣に伝えており、トップからも支持を得ています。過去の『en soku!』には会長と社長が登場した記事もありますが、これも元は社員の発案で、非常に高い閲覧でした。
そのほか社外からの反応としては、退社した社員が復帰したケースや、社員紹介で入社した社員にスポットを当てたコンテンツが新聞社の目に留まり、取材を受けたこともありました。
社員の自主参加を促す3つのルール
『en soku!』には、社員が自ら参加したくなるような運営上のルールを3つ設けています。
[1] 社外公開し、SNSシェア大歓迎
『en soku!』は社内にとどまらず、社外も含めたくさんの人に見てもらうことが大事。「あの記事、良かったよ」というリアクションや反響がレポーターに届くことで、レポーター自身はまた投稿したくなる、というモチベーション向上に寄与しています。
[2] 投稿の自由度をとにかく高く
社員は誰でもレポーターになれます。もちろん自由投稿の前提に、注意事項やマニュアルを用意しています。例えばSNSで投稿をする際の注意点は、法務確認をした資料を渡して説明し、オフィス内の写真を載せる時は機密情報が映り込まないようにするなど、さまざまなNG事例集も提示しています。
ただし、根本的に『en soku!』では社員が日々どんなふうに仕事をしているか、その空気感を伝えることをとても大切にしています。レポーターの皆さんを信頼し、自由に投稿してもらったからこそ、レポーターはそれぞれ工夫を凝らすようになってゆきました。
中には編集部では考えつかないような斬新な切り口の投稿もあったり、さらにその記事を面白くしようとする社員も現れました。こうした相乗効果によってユニークなコンテンツが次々に上がるようになったと感じています。
[3] チーム単位での投稿もOK
投稿は、個人単位だけでなくチーム単位でもOKとしました。
その結果、部署間で自然と競争心が生まれ、お互いに刺激し合って更新意欲がアップ。そうなると、いわばたくさんのミニ編集部が社内にできたような状態です。
具体例としては、転職サイトのディレクターたちが、自分たちの仕事ぶりや生活風景を互いに突撃取材する「突撃!ディレクター調査隊!」というグループを作ったり、新サービスの事業部門が普及活動に利用。他にも図書スペースの運営委員会や、グループ会社が広報アカウントを作成し投稿する例もあります。
ネーミングは子どものころの遠足イメージから
こうしてレポーターたちの投稿意欲が高まり、社員自ら、自身や周囲の出来事を発信していくことで、社内外から評価をもらえます。同時に、これらのプロセスを通じて社員が自社の魅力を再発見し、また投稿したくなる。『en soku!』はこのような好循環を作っていく社内報だと思っています。
実は『en soku!』というネーミングは、子どものころ、遠足の前日はすごく楽しみだったことをイメージして名付けました。もちろん仕事は楽しいことばかりではありませんが、それでも自社の社員が、明日会社へ行くことを楽しみにしてもらえたら良い、そんな会社であったら良い…という思いで名付けました。
もともと私自身が自社のことをもっと知りたい、良いところを伝えたいという強い思いを抱いており、それがプロジェクトを立ち上げたきっかけでした。もしこれがトップダウンによるものであったなら、今のような『en soku!』にはなっていなかったでしょう。
これからも『en soku!』が社員をつなぐハブとなっていけるよう、今後も全社員で更新していきたいと思います。
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まるっと公開!エン・ジャパンの社内報『en soku!』
URL:https://www.en-soku.com/
開設:2015年
更新頻度:毎日 -
会社情報
URL:https://corp.en-japan.com/
※ゴールド賞事例紹介、coming soon!(敬称略)
㈱資生堂/㈱長谷工コーポレーション/㈱メイテック