当サイトでも『社内報白書2018』の調査結果を踏まえお伝えしてきたとおり、社内広報におけるWebの活用は、情報共有のスピードを求めて、ますます拡大傾向にあります。速報性・検索性・拡張性ほかメリットの多いWebですが、その本領発揮は、必ずしも簡単ではありません。
そこで今回は、いち早くWeb活用に注力、優れたWeb社内報を発信し続けている、カルビー株式会社(以下、カルビー)、野村ホールディングス株式会社(以下、野村)、株式会社日立ハイテクフィールディング(以下、日立ハイテク)(※五十音順/以下本文中は略称にて掲載)の3社にお集まりいただき、効果的な使い方や課題、将来の展望について語っていただきました。この座談会の模様を前後編で紹介します。
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[座談会参加者]
- カルビー株式会社
広報部 広報課 間瀬 理恵さん
広報部 広報課 深谷 真理奈さん - 野村ホールディングス株式会社
グループ広報部 企画課 弘田 真希枝さん - 株式会社日立ハイテクフィールディング
総務部 山本 典子さん
総務部 大町 貴子さん
総務部 西塚 悠羽さん
インターナルコミュニケーションツールの使い分けは?
――はじめに、運営されているインターナルコミュニケーションツールの種類と目的、使い分けを教えてください。
日立ハイテク 紙版とWeb版、イントラの3種類を運営しています。紙版は主に経営に関することを伝えるタテのコミュニケーション、Web版は経営以外のこと、主に従業員のつながりを作るヨコ・ナナメのコミュニケーションが目的。「紙でじっくり、Webでサクサク」をコンセプトにしています。全体的なツールであるイントラでは、社内ニュースをタイムリーに更新したり、経営陣からのメッセージを発信したりしています。また、この中にWeb版を閲覧できる入口を設けています。
野村 紙版とイントラ(Web版)があり、それぞれで情報を発信していますが、日立ハイテクさんとは逆に、イントラの方がビジネス寄りです。ビジネスに関するニュースを日々発信することがメインで、経営陣のメッセージもこちらで発信することが多いです。
カルビー 紙版、イントラ(Web版)、タウンホールミーティングの3本立てです。紙版はじっくり読ませて社内コミュニケーションを活性化するのが目的ですが、イントラは速報性を重視しています。タウンホールミーティングは、年に1回、経営陣が各拠点に出向き直接社員と対話するというものです。
スタート時期と導入の背景
――Web版を始められた時期と背景を教えていただけますか。
日立ハイテク インターネットの普及によって、2002年から始めました。
野村 2007年に、野村グループ全社員向けの情報発信プラットフォームとしてスタートしました。社員からアクセスでき、情報を得られるサイトが必要だとの判断からです。
カルビー 2003年からです。当初は社長のメッセージを配信することが目的でしたが、2012年にリニューアルし、より伝えやすく、従業員の顔が見える媒体にしました。
Web社内報の特性とこだわりは?
――Web社内報の内容を詳しく伺います。まずデザインなど概要を教えてください。
日立ハイテク 月刊で配信していますが、シンプルで分かりやすいレイアウトにしていて、どのコーナーにも必ず写真を掲載しています。
野村 トップ画面は3つのエリアで構成されています。基本、上に各部署のビジネスに関する新着情報、下にトピックスを掲載していますが、新着情報のさらに上に「特別枠」と呼んでいるエリアがあって、特に読んでほしい重要な記事はここで大きく表示します。
例えば社長メッセージなら、社長の写真と概要をテキストで表示。そこをクリックすると内容が現れる仕組みです。
カルビー 新着情報を上げる頻度は?
野村 毎日1〜3本ですね。PCの画面に表示できるのが上2段ぐらいなので、記事の更新が多いと下の段に下がってしまい、あまり見られなくなってしまうのです。
カルビー 弊社のイントラは、自然の恵みや収穫をイメージしたイラストを大きく使い、楽しく明るい雰囲気を打ち出しています。以前は硬めの作りだったのですが、カルビーらしさを出すために、変更しました。
日立ハイテク メニューが縦書きというのは珍しいですね。
カルビー 最初は「読みにくい」と反発もあったんですが、だんだん浸透してきました。
人気コンテンツは?
――コンテンツについてはいかがでしょうか。
日立ハイテク 毎月5人の従業員のONとOFFを紹介する「私のスイッチ」、部長職以上が今につながる分岐点を紹介する「ターニングポイント」、海外拠点への出向者や出張者が体験を綴る「グローバルアイ」、紙版との連動企画「チームめぐり」などがあります。
カルビー 人気のコンテンツは何ですか?
日立ハイテク 毎月PV数(ページビュー数)が最も高いのは「私のスイッチ」ですね。ONは業務内容、OFFはプライベートをテキストと写真で紹介するものですが、ポイントは、次の人を紹介してもらい、従業員同士のつながりが分かるようにしていること。
今年度からはBACK、NEXT機能も付け、前後の登場者のページも1クリックで閲覧できるようにしました。また、いずれのコーナーも登場者の負担をできるだけ軽減できるよう、書いてもらう文章量を短く設定するなど、依頼内容に気を付けています。
カルビー そうした配慮は大事ですよね。
日立ハイテク 「グローバルアイ」も以前は長い文章を書いてもらっていたのですが、Q&A方式に変更しました。質問を多めに用意して、答えられるものにだけ答えてもらっています。
野村 紙版との連動企画とはどんな内容ですか?
日立ハイテク 同じチームを紹介するのですが、紙版ではチームのトップ2人が対談、Web版ではチームメンバー全員に出てもらい簡単な質問に答えてもらっています。
カルビー 工夫されていることはありますか?
日立ハイテク Webならではの機能を活用することですね。例えば、カーソルを当てると写真が切り替わったり、拡大したり。クリックするとパネルが反転したり。楽しく読める工夫はしています。
野村 気に入っているコンテンツはありますか?
日立ハイテク 「社員データベース」です。過去に出た人をリストにしているのですが、従業員からも好評です。記事タイトルをクリックすると、その人の掲載記事が表示される仕組みで、2002年にスタートし、ほとんどの従業員がリスト化されています。登場年月に限らず、その後も活用してもらえる点が気に入っています。
野村 弊社は、トップページで経営陣のメッセージや開催されたイベントの報告などのニュース記事、下層ページでは、ニュース記事のアーカイブや役員一覧などの他、他部署のイントラへのリンクを集めたページも掲載しています。
社員に必要な情報をタイムリーに上げることが目的なので、面白いコンテンツというのは基本的にはありません。
カルビー 他部署のイントラは同じフォーマットですか?
野村 各部署が独自に作ったものです。
カルビー うちは当初「トップメッセージ(役員ブログ含む)」「CSR活動関連」「ニュース」など6カテゴリーでスタートしたのですが、現在は9つまで増えています。
日立ハイテク アクセスが多いコンテンツは?
カルビー 社長のブログですね。本人が書いているので、社員の興味も高いです。読者のコメント欄もあって、ここには社員の本音が寄せられます。
野村 名前が出るんですか?
カルビー 本名でもペンネームでもOKです。スタート当初はコメントが少なかったのですが、誰が書いたか追跡されないと分かってからは、気軽に投稿されるようになりました。
日立ハイテク ほかの役員の方々もお書きになるのですか?
カルビー 執行役員と、グループ会社の社長に書いてもらっています。
野村 編集部でチェックはされていますか?
カルビー します。こちらで手直しをして、本人に確認してもらってからアップしています。ソフトは、ワードのように使える「WordPress」を導入しているので、画像なども簡単に入れられます。
日立ハイテク 上にある「新着」というのは?
カルビー 各カテゴリーの新着記事に飛びます。最初のころは投稿が少なかったのですが、あるとき、とある支店から来た「観劇しました」という投稿を載せたところ、「こういう簡単な内容でいいんだ!」と思われたのか、その後投稿が増えました。
多くを報じつつもとりわけタイムリーに見てほしい記事をトップで際立たせる配慮(野村)、WebならではのUI/UX上の工夫で演出する楽しさや他媒体との効果的な連動(日立ハイテク)、コメント欄を活用したインタラクティブなコミュニケーション、投稿が盛り上がった思わぬきっかけ(カルビー)などなど――支持されるWeb社内報を運営される三社三様の話題は尽きず。この先は「後編」にて、ぜひご覧ください!
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