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ストーリーを重要視。社員の「リアル」を伝える(ソニー生命保険株式会社)

左から、広報課 統括課長 大金範之さん、広報課 兼 広報宣伝課 森下美央さん、広報課 今泉志保さん
▲左から、広報課 統括課長 大金範之さん、広報課 兼 広報宣伝課 森下美央さん、広報課 今泉志保さん

「社内報アワード2017」の事例発表4社目は、自らの意思でキャリアのステージチェンジを選択した社員の経緯や思いを紹介する企画「STAGE CHANGE チーム-TOMOSHI」が、特集・単発企画7頁以下部門でゴールド賞を受賞したソニー生命保険株式会社。企画の着眼点や編集のこだわりなどをお伝えします。

会社を支える「人」を軸に構成

 社内報『SCRUM』の発行目的は「社員とその家族に、社員とその家族の楽しい・心温まる・考えさせられる等々の『人の有り様やできごと・想い』を伝えて、仲間意識を高め、仲間を感じ合い、皆が明るく・楽しく・前向きに、かつ真摯な態度で日々の業務に取り組むための一助となり、ソニー生命の永続的な成長に寄与する」ことです。

その編集方針は、以下の5つ。

①「人」を軸とした企画・誌面構成とする。
②読者対象は社員とその家族であり、背景となる会社知識がなくても興味を持って読むことので きる内容とする。
③全社員が、ソニー生命という会社に属していること、および自らの職務に対して、誇りを持つことができ、家族もソニー生命に好感を持ち、理解・共感し応援したくなるような内容とする。
④企画のベースは「真摯さ」とする。ただし、親しみやすく読みやすい誌面を実現するために、随所にユーモアやウィット、息抜き系の要素も積極的に取り入れる。
⑤目指すは究極の手弁当!(クオリティは妥協しないが、外注に頼らずあくまで内製にこだわる。社員による「手作り感」を大切にすることで、読者の社内報に対する愛着・親しみを醸成する)

 生命保険は目に見える形のない商品です。見えないものを売るには、販売する人の人間性が問われます。人・人生・生き方に関心を持つことが、生命保険業に携わる者としての「あり方」の形成につながるという考えから、「人」の想いに迫ることを方針の第一としています。制作面では、仮デザインまで内製して、最後に体裁を整える本デザインのみを外注しています。

 当社社員の約7割は、ライフプランナーである営業社員です。彼らは、お客様にお会いするため外に出ている時間が圧倒的に多く、ボリュームのある社内報をデスクでじっくりと読む時間はなかなかありません。そこで、分厚い冊子を作るよりも隙間時間などでさっと読めるように全8ぺージとし、毎月発行にして頻度を高めています。また年に2回特別号を発行してメリハリをつけ、脱マンネリ化を意識して制作しています。

「社員の生の声をリアルに伝える」ことにこだわる

 今回ゴールド賞を受賞した「STAGE CHANGE チーム-TOMOSHI」は、大分支社で営業所長を務める社員をクローズアップしたものです。彼は、当社の営業社員における最高位である、「トップ・オブ・ザ・エグゼクティブ ライフプランナー」として、10数年活躍していましたが、自らその地位を返上。新たなチャレンジとして、ライフプランナーの採用・育成を担当する、未経験の営業所長職へと転身しました。しかも、「トップ・オブ・ザ・エグゼクティブ ライフプランナー」から営業所長に転身したのは、当社では彼が初めて。会社の人事異動によるのではなく、本人の意思で、自ら手を上げて就任しました。本企画では、彼の決断と新たな人生の幕開けに迫ったのです。

 企画した2016年度は、会社がライフプランナーの採用促進を重点目標としていた年でもありました。そのためには、ライフプランナーの採用・育成を担当する営業所長の人数を増やすことも大事です。そこで、社員自身から営業所長の魅力やチャレンジの必要性を伝えることで、トップダウンではなく現場からムーブメントを起こせないかと考えました。それこそ社内報がお手伝いできることだと思ったからです。やはり一番刺激を受けるのは社内の同胞です。仲間の頑張りを伝えることで、社員のモチベーションを上げたいと考えました。

 特集作りで意識しているのは、社員の生の声や想いを「リアル」に伝えること。彼は気持ちの変遷をメモに残していたので、それを誌面に使わせてもらいました。転身の決意だけでなく、不安や葛藤まで含めたリアルな感情が伝わり、トップ営業マンでさえこのような悩みを抱えていたのかと共感を生み、刺激を生むと考えました。『SCRUM』はストーリーを重要視して、心の機微を丁寧に描くことで、「読者の心に響くこと」を常に意識して制作しています。

社内報アワードでゴールド賞を受賞した企画「STAGE CHANGE チーム-TOMOSHI」。社員の新たなキャリアの可能性や生き方を考えさせられる点が評価された
▲ゴールド賞を受賞した企画「STAGE CHANGE チーム-TOMOSHI」。社員の新たなキャリアの可能性や生き方を考えさせられる点が評価された

社内報制作は「歴史を刻み、未来に残す仕事」

 企画ネタの情報収集方法としては、社員アンケートや社員のイシキ調査があります。毎月の社内報登場者には必ずアンケートを取り、面白かった企画や社内報で取り上げてほしい人などを聞きます。これは社内報自体の評価を知ることにもつながります。また永年勤続表彰のタイミングで対象者にアンケートを依頼し、入社以降の思い出に残るエピソードを聞くなどして、取材ネタの収集や人選の参考にしています。さらに不定期ですが、会社の「今」を知る目的で、社員イシキ調査をしています。ここでは会社のビジョンにどれくらい共感しているか、ビジョン達成には何が必要か、といった「イシキ」をヒアリングし、企画に活かしています。

 社内報のあり方に正解はないと思っています。だからこそ、発行目的や編集方針を定め、担当者が「確固たる信念」と「愛情」をもって制作に取り組むことが大事だと考えます。

 また、社内報は読者だけに気づきを与えるものではなく、登場者にも制作の過程で新たな気づきを与えることができると思います。だからこそ、取材は事前準備をしっかりして真摯な態度で臨むように心がけています。

 当社広報部長は、社内報は「歴史を刻み、未来に残す仕事」だと言います。それはつまり「社風」と「文化」を作り上げる一翼を担っているということにもなります。当社のように形がない商品を扱う会社において、社内報という形を残すタスクは、重要な業務だと思っています。これからも『SCRUM』は「社員の、社員のための、社員による社内報」を目指します。

社内報『SCRUM』概要

社内報『SCRUM』表紙

◆創刊:2001年発行(社内報誕生は1981年5月)

◆発行部数:約9,000部

◆仕様:A4判、4色、8ページ

◆発行頻度:月刊(7月、12月は休刊。8月、1月は特別号)

◆制作体制:専任2名。企画・取材・撮影・仮デザイン・執筆まで内製。 本デザイン・印刷のみ外注

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