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人の心を動かすのは、人の思い。 社内報アワード2026で見えた、IC担当者の挑戦と可能性

社内報をつくるとき、自分自身の思いや感情を、どれくらい読者に伝えられているでしょうか。

社員の声を引き出し、経営の思いを伝える。そんな役割を担う社内報担当者は、つい自分の存在を「黒子」にしがちです。けれども、読者の心を動かすのは、担当者自身の心が動いたときなのかもしれません。

だとすれば、担当者の思いや気づきを、もっといろんなやり方で読者と分かち合ってもよいのではないでしょうか。

2026年10月9日、渋谷ヒカリエ ヒカリエホールで「社内報アワード2026」表彰・交流イベントが開催されました。

25回目を迎えた今回は、253社から568企画・媒体が応募。会場には、社内報担当者や審査員、関係者など約400名が集まり、さまざまな取り組みに触れ、学びや気づきを深めました。

今年のテーマは「進もう、ICの力で。伝えるを超えてソシキを動かす」

イベント冒頭では、ウィズワークス代表の髙橋が、今年のテーマに込めた思いを語りました。

3年ぶりに制作を進めている「IC白書2026」の調査からは、インターナルコミュニケーション(IC)を単なる情報伝達ではなく、経営に貢献する活動として捉え直そうとする動きが見えてきたといいます。一方で、実際の施策や効果測定は、まだ情報伝達中心から抜け出せていないという課題も浮かび上がりました。

こうした変革を加速させるものとして、髙橋が挙げたのがAIの進化です。情報を届けることがますます効率化される中で、会場にこう問いかけました。

「でも、情報が適時適確に最適化されて、迅速に大量に届けられたとしても、それで組織は動くでしょうか」

大切なのは、何を伝えるかだけでなく、その情報にどう意味付けをし、対話を生み、人と人をつなぐか。そして、人の行動を変え、組織を動かしていくこと。そこに、これからのICの役割があると語りました。

「伝えるを超えてソシキを動かす。正解は一つではないと思います」

参加者同士の対話や交流を通じて得た気づきを、それぞれの組織を前に進める行動につなげてほしいと呼びかけました。

伝えることの先にある、社員の心や行動の変化

表彰式では、紙、Web・アプリ、動画、特別部門から選ばれた6つのグランプリ作品が紹介されました。続く受賞企業インタビューでは、各社の担当者が、企画に込めた思いや制作の工夫、社内報を通じて生まれた変化などを語りました。

株式会社ファンケルさまは、長期経営構想の理解・浸透を加速させるための社内報づくりを紹介しました。新しい経営体制のなか、現場サイドでは会社の進む方向がなかなか見えず、不安や戸惑いを感じる従業員も少なくなかった。そこで、ようやく長期経営構想が発表され、新しい動きが進む中で、一人ひとりが新しい会社の方向性を前向きに捉え、自分自身の仕事と結び付けて受け止められるような社内報の企画を設計しました。

特徴的なのは、編集部自身がインタビュアーとして誌面に登場し、読者の視点から経営者の言葉を引き出していること。「私たち編集部も一従業員」であり、読者と同じ立場でもあると語る担当者。経営からのメッセージを伝える際には、「自分がどう受け取って、どう感じたか」を大切にしているといいます。

編集部自身の視点を生かすことで、経営側の思いと従業員としての思いを交差させながら伝えていく。作り手である編集部を意図的に登場させ、経営と現場の橋渡し役となることで、自社への信頼の起点となる「共感」をつくりたい、と語りました。

マツダ株式会社さまの「お客様の思い出ノート」は、お客様に直接取材し、クルマとともに歩んできた人生や思い出を紹介する企画です。開発・生産部門など、普段お客様と接する機会の少ない社員にも、自分たちの仕事の先にいるお客様の存在を感じてもらいたい。そんな思いから生まれました。
取材では、お客様に思い出の写真や愛用品を持参してもらい、それらを一緒に見ながら話を聞くなど、自然に思い出を語ってもらえるよう工夫したそうです。

Web社内報のコメント欄には、「マツダの一員であることに誇りを感じた」「もっといいものをお客様に届けていきたい」といった社員の声が寄せられました。

こうした反応は、編集部自身にも励みになっているといいます。「私たち自身も前向きに取り組めるように変わってきている」。記事を通じて社員の心が動き、その反応がまた、つくり手の意欲につながる。そんな循環が生まれています。

その他の受賞企業からも、それぞれの特色が表れたエピソードが語られました。媒体も企画も、そこに込められた思いもさまざま。そこには、情報を届けるだけで終わらせず、社員の心や行動に変化を生み出そうとする、担当者の皆さんの共通した思いが感じられました。

点数だけでは測れない、つくり手の思いと挑戦

今年新設された「審査員特別賞」に焦点を当てた審査員トークセッションでは、高橋正興さんの進行のもと、「人の心が動く企画とは?」をテーマに、審査員それぞれの視点から、作品の魅力や制作に込められた思いが語られました。

審査員トークセッションの登壇者。左から、高橋正興さん、小川真紀さん、前田政昭さん、古川由美さん

 

小川さんは、近年、応募作品全体のレベルが上がる一方で、思わず目を奪われるような、突き抜けた個性を持つ作品が少なくなってきたと指摘。審査員50人へのアンケートでも、同様の意見は上がっていました。通常の採点基準では測りきれなくても、強く心を引かれる作品がある。そうした作品にも光を当てたいという思いが、審査員特別賞の新設につながったといいます。
小川さん自身が選んだのも、制作面では課題がありながら、編集者がやりたいことに思い切り挑戦し、それを受け入れる組織風土が感じられる作品でした。

前田さんは、審査員特別賞に推薦した理由に「編集後記」を挙げました。そこには、編集部が特集をどう考え、何を感じ、読者に何を受け取ってほしいのかが、明確に表れていたといいます。社内報の編集部は、裏方、いわば「黒子」であるべきだという考え方もあります。しかし、黒子であることと、何も語らないことは違う。編集後記では、編集部が読者(=社員)と同じ場所に立っている、というスタンスを明確にすることが大切です。編集部自身の視点や思い、「体温」を伝えることの大切さを語りました。

また、古川さんからは、参加者に向けてこんな問いかけがありました。
「まず取材をされている皆さん、編集者の皆さんの心が動いていますか」。
編集者自身が心を動かされたことを記事の中心に据え、タイトルやリードを通じて読者にもその思いを届けてほしいと呼びかけました。

「そこまで見てくれているんだ」審査員の言葉が担当者の励みに

審査員トークセッションについて、参加者からは「特に印象に残った」という声が聞かれました。

ある参加者は、編集後記にまで目を向けた前田さんの言葉に感銘を受けたといいます。

初めて受賞したという担当者は、審査員トークセッションで紹介された事例が、なんと自社の取り組みだったといいます。たった一人で立ち上げた取り組みが評価され、審査員から直接コメントを聞くこともでき、遠方から新幹線で参加した甲斐があったと喜びを語りました。受賞を会社全体で喜んでくれたことも、今後の活動を続ける大きな励みになったそうです。

また、ウィズワークスが主催するIC担当者向けの勉強会で学びを重ね、今年初めて応募した担当者は、思いがけない審査員特別賞の受賞に驚き、喜びを語りました。受賞による社内での盛り上がりが、編集チームの今後の活動への大きな励みになったそうです。

社内報アワードは、作品を評価するだけでなく、制作に込めた思いや日々の努力が認められる場でもあります。その喜びが、担当者の皆さんの次の挑戦を後押ししているようです。

心が動いた、その先の一歩へ

審査員トークセッションに続いて行われたワークショップでは、参加者同士がこの日の気づきや、自社での取り組みについて語り合いました。他社の作品や審査員の言葉に触れて心が動いた瞬間を振り返り、自分たちの活動によって誰かの心や行動が変わった経験も共有しました。

最後の「未来宣言」では、参加者が明日から挑戦したい行動を一つ決め、付箋に書き出しました。
「より多くの社員と関わる」「笑顔を増やし、情報が集まりやすい雰囲気をつくる」「同じメッセージでもより伝わる切り口や構成を考えていく」。そんな具体的な一歩が共有されました。

一人ひとりの小さな一歩が、社員との関係性を変え、組織に新しい動きを生み出すきっかけになりそうです。

人の心を動かす、その出発点にあるもの

社員の声に耳を傾け、思いを受け止め、何をどう伝えるかを考え抜く。その過程で、担当者自身が心を動かされることもあるでしょう。その思いが読者に届き、新たな対話や行動につながっていく。そして、読者からの反応がつくり手自身の励みとなり、次の企画を生み出す力になっていきます。

会社の思いを伝えるだけでなく、つくり手自身の心が動いた瞬間も読者と分かち合える。それもまた、社内報ならではの魅力です。

人の心を動かすのは、人の思い。

この日、会場で出会ったさまざまな言葉や学びを通して、社内報づくりの原点をあらためて確かめた人も多かったのではないでしょうか。

 

社内報づくりに、新しい発見とつながりを

社内報アワードで紹介された取り組みを、日々のIC活動にも生かしてみませんか。

■ 受賞作品を実際に見てみたい方へ

今年の受賞作品は、ウィズワークスの「社内報ギャラリー」で実際にご覧いただけます。
[
社内報ギャラリーの見学案内・お申し込み]
https://shanaiho-navi.jp/gallary_request/

■ IC担当者同士で交流したい方へ

「IC Meetup」では、ICに携わる方々が集まり、情報交換や交流を行っています。
https://wis-works.jp/service/ic-meetup/

■ 今年の受賞作品を詳しく知りたい方へ

さまざまな企業の取り組みを、受賞結果一覧でご紹介しています。
社内報アワード2026 受賞結果一覧

 

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