MENU
ホーム記事一覧スキルを磨く“紙社内報ならではの魅力”を再認識! ~紙印刷の現場に潜入レポート~

“紙社内報ならではの魅力”を再認識! ~紙印刷の現場に潜入レポート~

ウィズワークスで手掛ける社内報の、多くの媒体の印刷で協力いただいている「サンニチ印刷」さんの山梨工場に、見学に伺いました。ベテランディレクターにとっても、工場見学は特別な時間。たくさんの学びを得ることができました。

今回は、その体験談をレポートとして皆さまにご共有します。「印刷についてもっと知りたい!」「見学してみたいけれど、印刷所まで行くのは難しい」という方、ぜひチェックしてみてくださいね。

①「サンニチ印刷」さんって、どんな会社?

今回訪れたのは、甲府駅から車で20分ほどの場所にあるサンニチ印刷さんの山梨工場。サンニチ印刷さんは明治5年創業、新聞印刷からスタートし、パンフレットやカタログ、広告など、さまざまな媒体の印刷を手がける老舗の印刷会社です。

地域の方々に親しまれている自社発行の情報誌『晴耕雨読』をはじめ、近年では県産木材を活用した木製遊具も取り扱うなど、地域と連携したユニークな取り組みも展開。山梨ならではの富士山をモチーフにした紙雑貨が人気で、印刷の枠を超えたものづくりにも取り組んでいます。

広々とした環境にあるサンニチ印刷山梨工場
ライフスタイルマガジン『晴耕雨読』と富士山をモチーフにした紙製品

②いざ工場見学へ!~印刷工場のすごさを再認識!~

まずは座学にて、印刷工程の基本を教えていただきました。そこには編集者も知らない印刷所での調整や配慮がたくさん!たとえば…

■印刷時の丁寧な色補正

WEBなどのブラウザで使われるカラーモデル「RGB」は、色を重ねるほど明るくなり、最大で「白」になります。一方、印刷物で用いられる「CMYK」はインキを重ねるほど暗くなり、最終的に「黒」に近づく仕組みです。そのため、RGBの写真をそのままCMYKに置き換えると、色の濁りやくすみが発生してしまいます。印刷の現場では、こうしたズレを防ぐために、印刷適正に合わせて1点ずつ丁寧に画像を補正しています。

■印刷前の厳密なチェック体制

印刷は一度刷ってしまうと修正ができないため、検査工程では非常に厳密なチェックが行われます。会社名や住所、URLQRコードなどの表記ミスがないか、一つひとつ読み込み確認を実施。細部まで正確さを確認することで、安心して世に出せる品質を確保しています。

■紙の種類と使い分け

印刷に使われる紙には多くの種類がありますが、大きく分けると「上質紙」、発色を良くするグロス系塗料を塗布した「アート紙」「コート紙」、そして、ツヤ消し加工により上品な仕上がりになる「マット紙」があります。紙にはそれぞれ特性があるため、印刷物の用途や設置場所、向きなどに応じて、最適なインキの種類や紙の使用方向を工夫して選定しているそうです。

座学にて印刷工場のあれこれを学ぶ
資料を見ながらRGBとCMYKの違いを知る

続いて、さまざまな印刷物が勢いよく印刷されている印刷工場の内部を見学させていただきました。

■網点状のインキで色をつける

印刷は、微細な網点状のインキを紙に重ねることで色を表現します。この網は非常に繊細で、その日の気温や湿度、印刷機のゴムの新しさ・古さ、紙の種類、さらには同じ紙でも印刷工場内でどのくらいの期間保管されていたかによっても変化します。インキのロットや紙のロットによっても仕上がりが異なり、同じデータを流したとしても、すべて結果が違ってくるほどデリケートな工程なのだそうです。

色を表現する重要な工程
期待通りの色が出ているか確認

■職人の目で仕上げる印刷

色校正と比較しながら、状況に応じて目視で微調整を行います。最終的には、人間の判断による職人の手作業です。一つひとつの印刷物や作品は、印刷の特性を熟知した人の技術によって、丁寧に仕上げられています。

機械だけでなく人の目も大切
色校正と比較し、小さな違いも見逃さない

■特色印刷におけるインキ調合の難しさ

1色のみで指定の色を印刷する「特色印刷」のインキをつくる現場も見学させていただきました。特色はDICPANTONEなどの色見本をもとに指定しますが、印刷する紙の色によって発色が異なるため、実際に使う紙に合わせた微調整が必要です。熟練の職人がインキを配合して調合しても思った色が出ず、つくり直すこともあるそうです。

職人によるインキの調合スペース
微細な調整を重ね、色見本に近づける

③再認識!~改めて感じた紙ならではの魅力~

今回の見学は、紙社内報のクライアントさまの「印刷についての社内勉強会をしたい」というお言葉をきっかけに始動したもの。より良い社内報をつくるために「印刷のことをもっとしっかりと理解したい」という高い意識から、印刷工場見学が実現しました。クライアントさまの社内報に向き合う姿勢に、尊敬の気持ちでいっぱいです。

スタッフの方からの丁寧な説明で理解が深まる
印刷の工程で使われる数えきれないほどの機械

印刷工場では、工夫を凝らした映画や舞台のパンフレットなど、さまざまな印刷物を目にすることができ、印刷で表現できる独自の世界観があることを実感しました。近年、手間のかかる紙媒体よりも、スピーディーで効率的に情報を伝えられるWebやアプリでの発信が増えていますが、「伝える」という点では、紙とブラウザでは役割が異なることを改めて感じました。

印刷物は視覚だけでなく、紙の厚さやサイズ、手触り、インキの風合い、さらにはインキと紙の香りまで、総合的な感覚として印象やニュアンスを伝えることができます。編集者としては、印刷物ならではの訴求力を理解した上で、紙の社内報だからこそできる企画を提案していきたいものですね。

サカタのタネ広報ご担当者さまにインタビュー

今回の工場見学は、株式会社サカタのタネさまとのやり取りがきっかけで実現しました。なぜわざわざ遠方の山梨工場まで足を運ぼうと思われたのか、社内報の制作をご担当されているサカタのタネ広報ご担当者さまにお話を伺いました。

印刷工場に足を運ぼうと思われたきっかけは何ですか?

サンニチ印刷さんで印刷いただいた社内報の色校正と、出来上がった社内報の色味が少し異なっていたことから、印刷の仕組みについて詳しく知りたいと思い、いくつか質問をさせていただきました。その際に、工場見学のお話をいただいたのがきっかけです。社内報担当者の中にはデジタルには強いものの、印刷について詳しくないスタッフもいるため、みんなで印刷の知識を学べると良いなと考えていました。

実際に印刷現場をご覧になったご感想はいかがですか?

印刷工程は検索すれば分かるとは思いますが、実際に見て、具体的な説明をしていただいたことで、CMYKの刷り順や、環境に優しい印刷方法を行われていることなどを直接聞けて興味深かったです。

現在は行っていませんが、過去に自分でデータを作成して入稿した経験もあり、色見本を見ながら色を選び、印刷される色を想像することが好きでした。そのため、今回特色の調整をされているところも見せていただくことができて良かったです。

サンニチ印刷さんは有名な劇団のパンフレットなど、印刷物もたくさん印刷されていますが、それ以外にも遊具やドローン撮影も行われているなど実はデジタルにもかなり特化していて、お話もおもしろかったです。

紙社内報の良いところや制作のやりがいは何ですか?

WEB社内報も作成していますが、スピーディーに記事を掲載することを優先しています。一方、紙社内報は印刷してしまうと基本的には直せないこともあり、初校・再校などで、印刷物に真っすぐ、しっかりと向き合うことができます。出来上がったものを手で触って、仕上がりを実感できるところに良さがあると感じます。

終わりに

実際に見学できたからこそ、印刷物が手元に届くまでの過程を一つひとつ知ることができました。きっかけをくださった株式会社サカタのタネさまと、快く印刷工場見学に対応くださったサンニチ印刷さまに、改めて御礼を申し上げます。

社内報づくりに役立つ情報満載!
無料メルマガ登録はこちら

 一覧へ戻る
ページ上部へ