社内報の制作担当者が一度は悩むであろう「寄稿依頼」。
前回の記事では、寄稿を快く引き受けてもらうための依頼のコツをお届けしました。そして今回は、依頼者から受け取った原稿を編集する際のポイントや、その後の対応ポイントについてお届けします。
目指せ!お声がけ上手!
提出された寄稿文、手直しはどうする?
待ちに待った原稿が届いた!と喜んだのもつかの間、読みにくかったり、イメージしていた内容から少しズレていたりしたら……どうすればよいのでしょう。
ここで活きてくるのが、依頼状に書き添えた「編集部で原稿に手を加える可能性がある」という注意書きです。事前に伝えておけば、多少修正するのは問題ありませんので、媒体全体に沿った表記統一を行い、言い回し・表現をわかりやすく整えて、読みやすい文章に仕上げてください。
寄稿者にあらかじめお伝えすることで確認不要となる内容を、下記にまとめてみました。
■寄稿者に確認を要さない修正
(事前に修正することを伝えてある前提)
●専門用語が多用されている
→簡単な言葉に置き換えてわかりやすく
●一文が長すぎる
→いくつかの短い文に分けて読みやすく
●言い回しが硬すぎる
→軟らかい表現に変える
●「です・ます」と「だ・である」が混在
→ふさわしい方、または多い方に統一
※文章中にあえて混在させている場合は、この限りではありません
など
もし、この範疇を超えて「内容を改変したい」「もっと膨らませたい」と考えた場合は、寄稿者に連絡して、趣旨を説明した上で、承諾をいただきましょう。
その際、寄稿者にあらためてヒアリングをしてから書き直すと、双方で意図の理解が進み、加筆・修正・確認がスムーズに進みます。書き直した原稿は、最終的には必ず寄稿者に確認してもらいます。
■寄稿者に確認が必要な修正
(事前に修正することを伝えてあっても必要)
●内容をガラッと変える
●文章を大幅に追加または削除する
など
経営層からの寄稿も、ときには手を加えて仕上げよう
寄稿の取り扱いで注意が必要なのは、役職者や経営層にお願いする場合です。
一般的には、役職者や経営層の寄稿原稿には、誤字脱字といった誤り以外は手を加えないのが基本です。
とはいえ、社員に経営層の想いが伝わらなければ、せっかく多忙を押してご寄稿いただいた意味がなくなってしまう上に、社員の気持ちは離れるばかり……。
そんな不本意な事態を避けるために、社内報担当の皆さんは普段から経営層とコミュニケーションを密にして、関係性の向上に努めることが大切です。
経営層と広報・社内報担当者との間に信頼関係があれば、「経営側の想いをもっと読者に伝えるために、少し手直しをさせていただいてもよろしいでしょうか」といった相談も、しやすくなるのではないでしょうか。
そして、原稿を手直しさせていただく際は、伝え方にも気をつけて!
「こちらで少し手を加えました」と伝えるだけだと、場合によっては相手の作業が不完全だったと受け取られ、不快感を与えることもあります。
・より読みやすくするために、少し体裁を調整いたしました
・さらに明確になるよう補足いたしました
・内容がさらに伝わりやすくなるよう再構成いたしました
など、より社員に伝わりやすくするために手を加えたのだと分かるように、理由もお伝えしてくださいね。
「お礼は3度」。あなたの対応が社内報ファンをつくる!
さて、待望の社内報発行日を迎えました。寄稿してくださった方には、「おかげさまでこのようにできあがりました。ありがとうございます」とお礼のご挨拶を忘れずに。見本誌がある場合は直接手渡しが理想ですが、ウェブ配信の場合は該当記事のURLをお伝えするなど、電話やメールでも心を込めて感謝の気持ちを伝えます。
寄稿をお願いする場合、「お礼は3度!」と心得ましょう。
1.寄稿を引き受けてくださったとき
2.原稿を提出してくださったとき
3.無事に社内報を発行できたとき
寄稿という形で社内報に参加してくださった人が、そのプロセスに満足してくれれば、きっと社内報のファンになってくれるでしょう。さらに、その人が周りの人に対して社内報への参加で得られた満足をPRしてくれるかもしれません。
「社内報をもっと読んでもらいたい」
「社内報制作にもっと協力してもらいたい」
社内報ご担当者なら、誰しもそう願うもの。そのヒントは、日々のやり取りの一つひとつに隠れています。寄稿や取材で出会う一人ひとりと、丁寧なコミュニケーションを重ねていきましょう。あなたの行動の積み重ねが、社内報のファンをきっと増やしていくはずです。
寄稿者に、紹介したい取り組みや社員を聞いてみる
寄稿してくださった人に社内報の完成をお伝えする際、ぜひ他にも社内報で取り上げてほしい取り組みや社員のお話がないか、聞いてみてはいかがでしょうか。社内報づくりに協力してくれた人との繋がりを大切にすれば、社内報のネタにも広がりを出せるチャンスを作れそうです。
あなたからの「もし何かあればいつでもご連絡お待ちしています」の一言で、今回だけのお付き合いにならないようにもできるかもしれませんね。
色々な社員の引き出しをぜひ活用させてもらい、社内報づくりへの協力者とファンを増やせると理想的ですね。
さて、ここまで寄稿の編集からアフターフォローのコツまで、実践的なノウハウをお届けしました。参考になりそうなポイントは見つかったでしょうか?
寄稿依頼が上手になることで、ますます皆さんの社内報づくりは楽しくなるはず。
明日からぜひ、実践してみてください!
[編集部PickUp]
・社内報のファンをつくる「寄稿依頼」<人選・依頼のコツ>の巻
・トップとの距離を縮めてインターナルコミュニケーションをめぐらせる