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動画社内報の視聴者満足度を上げるために、やるべきこと


「社内報アワード2024」イベントでは、「進もう、ICの力で。」をスローガンに掲げ、表彰・交流イベント、プレイベント、アフターイベントと展開しています。
10月2日(水)~8日(火)には「オープンギャラリーWeek」を開催し、さまざまな日替わりプログラムを実施しました。今回はその3日目に行われた〈動画社内報編〉のセミナーの様子をお届けします。

このセミナーでは、動画制作のプロが、視聴者の満足度を高めるための3つのポイントを徹底解説。「社内報アワード2024」コンクールのゴールド賞受賞企画を見ながらの解説もあり、明日からの動画制作に即役立つ、具体的、実践的アドバイスを提示しました。

 

【講師】
株式会社Jストリーム  
デジタルクリエイション部1課
小野里 麻実 氏
  

2008年から撮影技術でテレビ番組などの制作に関わった後、動画配信プラットフォーム、動画制作などを手掛ける株式会社Jストリーム に入社。現在は企業映像を中心に、プロモーション動画、社内向け動画の企画制作のディレクションやプロデュースの他、企業内製化支援も担当。「社内報アワード2024」コンクール 動画部門の審査員。

動画による社内コミュニケーションはもはや当たり前に

 今日のテーマは「視聴者満足度向上のための3ポイント」ですが、本題に入る前に「視聴者」と「満足度」について少し解説しておきましょう。

 まず、「視聴者満足度向上」の視聴者は誰かで、これは社内報制作をされている皆さんにとっては、動画を見た社員さんとなります。次に「満足度」ですが、その動画を視聴したことによりモチベーションが上がったとか、ためになったとか、そういう感覚を持っていただくことを意味しています。そう感じてもらうための施策を、Jストリーム が行ったアンケート調査「社内コミュニケーション動画の活用実態」の結果を踏まえながら解説していきます。

 最初に、社内コミュニケーションに動画を活用している企業がどのぐらいあるかをご紹介します。 

クリックすると拡大してご覧いただけます
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 図左側を見ると、会社規模にかかわらず動画による社内コミュニケーションを実施している企業は22.5%、図右側の国内拠点数50以上の、おそらく企業規模が大きい企業では約半数近い46.4%という結果です。もはや動画による社内コミュニケーションは珍しくないと言ってよい状況で、個人的な所感としても、社内向けに発信する動画は10年前と比べると圧倒的に増えています。

人の思いを伝えるには動画が最適

 動画制作や活用時のお悩み、課題については、「動画の企画」31.3%、「動画の構成・ストーリー」30.6%がトップ1、2となりました。やはり企画に関する悩みが多いことがわかります。

 また、紙やWebなど他の社内報媒体と動画のすみ分けをどうしたらいいのかという課題も見受けられました。どういう場面で動画を使ったらいいのか、というお悩みですね。一例を挙げると、社内プロジェクトに関する情報を発信する場合、プロジェクトの目的や進捗は紙やWebで十分伝わりますが、そこに関わっている人がどういう想いで進めているかという“内側“を伝えたい場合は、動画が適していると言えます。同じテーマでも伝えたい内容を熟考した上で最適な媒体を選択し、使い分けていく必要があるのです。

視聴者の満足度アップのために

 次に、社内コミュニケーション動画の満足度を見てみましょう。

社内コミュニケーションとして発信された動画すべてが調査対象
動画の種類は特定せずに、社内コミュニケーションとして発信されたさまざまな動画すべてを調査対象とした(クリックして拡大)

 動画を視聴した方のうち、約半数の54.3%は「満足」「やや満足」となっていますが、逆に約半数の方々は満足していないという結果です。

 では、満足度を向上させるポイントは何か? 3つのポイントに絞り、お話します。

【1】適切な尺 
 満足度を上げるためのポイント1つ目は「適切な尺(長さ)」です。

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 アンケートで「ちょうどいい尺は何分ぐらいですか?」「長すぎる尺は何分ですか?」と聞いたところ、それぞれ約過半数が、ちょうどいい尺は「3分」、長すぎる尺は「15分」と回答しています。この結果から推察されるのは、動画の尺は3分以内がベスト、もしくは長くても15分以内が適切である、ということです。

 ただし、短いか長いかの判断は視聴した人の感覚に委ねられるとも言え、絶対的な正解はありません。例えば、スライド全画面の文字をただ読むだけでは3分でも長いと感じるでしょうし、社員に1日密着など見る側が共感できるような内容なら15分でも短いと思う人もいるでしょう。意識すべきは長く感じさせない動画を制作することです。「もっと見たい、聞きたい」という感覚にさせることが大事なのです。

【「もっと見たい」を阻害するBADポイントとその解決方法】

 1本の動画に対して伝えたいメッセージを盛り込みすぎ
 読めば分かるスライドをそのまま読み上げている
 全体的に単調な印象で、テンポが悪い

どうすればよい?

 伝えたいメッセージごとに、分割して発信する
 視聴者が飽きないように、気になる情報を入れる(遊びを盛り込む)
 ムダを省いたカット編集をする

【2】適した内容を選ぶ 
 満足度を上げるポイント2つ目は内容です。こちらもアンケート結果からご紹介します。

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 私が考える「動画に向く内容」のポイントはこちらです。

情報 < 感情

情報共有などの内容でも、感情を意識した制作を心がける

 媒体のすみ分けでもお話しましたが、動画には人の思いや熱意を伝えるのに適しているという特性があります。読めば分かる情報は基本的には動画化せず、紙やWebで伝える。一方で、例えば業績の報告をテーマにする場合でも、どういう経緯で業績達成できたのか、その裏側にある社員のマインドや志といった感情を伝えたいならば、動画を活用してみてください。

【3】 視聴回数を上げる 
 続いて3つ目のポイント「視聴回数」です。アンケートによると、月に3回程度動画を見る人と月10回以上見る人とでは、頻繁に視聴する人の方が満足度が高いという結果が出ています。

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 要するに、満足度を高めるためには視聴回数を上げることが必要となり、そのための施策としては「動画の本数を増やす」ことが考えられます。更新頻度が低すぎると当然視聴回数は上がりませんから、現状の発信回数について一度見直してみてください。

 加えて、「視聴しやすい環境を整える」ことも重要です。具体的には、アクセスのしやすさ、業務の導線上に動画があるかどうかといった点です。例えば、社内メールで届いたURLをクリックして動画を見ようと思ったのに、ログインIDとパスワードの入力を求められ……となると、面倒に感じて離脱してしまうかもしれません。

 実際にあったケースなのですが、「社内ポータルサイトで動画を公開しているが視聴回数が低くて困っている」と相談されて状況を確認したところ、サイト内のかなり深い階層に置かれていることが分かりました。改善策として、メール告知をしてそこからスムーズにアクセスできるよう導線を整えたところ、社内サーバーがパンクするほど視聴数が伸びたそうです。

 ● ポイントまとめ ● 

適切な尺
目指すは、3分~15分以内
ただし企画や目的、企業特性によっても“適切”な尺は変わる

内容
情報よりも感情に重きを置いた内容へ
視聴者の状況を知り、誰に伝えるかの設定をする

視聴回数
視聴頻度を上げることが満足度にもつながりやすいので
視聴環境や導線を設計しておく

ゴールド賞に輝いたYKK株式会社の事例から学ぶ

 ここまでの話を踏まえて、優秀事例を見てみましょう。ご紹介するのは、「社内報アワード2024」動画社内報部門でゴールド賞に輝いたYKK株式会社の「中堅社員のホンネ」という企画です。

 ★「社内報アワード2024」動画社内報部門ゴールド賞受賞企画 ★ 

 YKK株式会社     
  「中堅社員のホンネ」  

〈基本情報〉
YKKとYKK AP、それぞれ2人ずつ社員の方が出演。3本完結の特集企画。

〈実施目的〉
●経営理念に理解・共感している社員が9割と高い一方で、実践していると答える人の割合が7割程度に落ち込む傾向に。しかし実践できていないと回答する人も「実は実践できているんだ」という気付きを与えたい。
●コロナ禍の影響で人と人のつながりが減少していたため、社員間のコミュニケーションのきっかけをつくる。
●隙間時間で気軽に経営理念に触れられるコンテンツをつくることで理念と社員の距離を近づける。

1本目:「YKKとYKK AP違い編」(5分52秒)

2本目:「コアバリュー編」(6分20秒)

3本目:「森林経営編」(5分25秒)

 ◎優秀ポイント1:尺と構成が心地よい 
 5~6分ほどの尺の動画の3本立てで、1本目はYKKとYKK APの違いから入っています。これはプロローグのような感じで、カジュアルな雰囲気の中でグループの中での違いと共通点を共有して共感を得たり、続きを見たいという期待感を作り上げたりしています。2本目のコアバリュー編で本題に触れ、そこに基づいた体験、経験、考えを4人がお話しされ、「自分も似たような経験があったかもしれない」と視聴者が気づくような内容になっています。3本目は森林経営というものを自分ごと化した時に、「会社の中での自分の役割」を4人が話すという内容。将来自分がどんな役割を果たしたいかも踏まえ、森林経営という言葉を身近に感じられるコンテンツになっています。

 3本を通して、尺も程よく、肩ひじ張らずに視聴でき、さらに自然と自分ごと化できる構成が素晴らしいです。

 ◎優秀ポイント2:視聴してもらうための工夫 
 本企画を視聴してもらうためにCM動画を制作して、食堂など人が多く集まる場所で流して周知したそうです。完全視聴率が3本平均で51.5%、1本目は2023年に公開された動画の中で再生回数1位だったという素晴らしい結果は、食堂に人が集まるという自社の特性を活かして周知したことが奏功したと言えるでしょう。

 ◎優秀ポイント3/細かなGOODポイントが満載 
 本企画には細かなGOODポイントがたくさんあります。皆さんもぜひ参考にしてみてください。

① 映像のテンポがよい
 より面白いところだけを抽出した映像にしている。

② 撮影時の雰囲気作りがよい
 本音を出しやすい雰囲気作りに成功している。

③ 事前リサーチの内容をもとに制作している
 アンケート結果、人選など含めてしっかり準備されている。

④ リラックスして視聴できる
 ナレーション、テロップもいい感じのゆるさがある。

動画を見る環境を整え、内容の質も高める

 皆さんもどうやって動画を制作するか、どうやって質を上げていくかを日ごろから意識されていると思います。視聴者満足度を上げていくためには下図右側のような形で、動画の内容や制作フローなどのPDCAを回しつつ、尺や内容を改善して行くことを心がけてみてください。それと同時に、下図左側のように動画を見るための環境づくりにも配慮することも必要です。

 苦労は多いかもしれませんが、視聴者満足度が高い動画の制作は、とてもやりがいがあることです。動画でインターナルコミュニケーションの向上を目指し、頑張っていきましょう。

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調査レポート 『社内コミュニケーション動画の活用実態〜満足度向上のための3つの改善ポイント 〜』を発行元のJストリームから希望者全員に進呈します。下記URLまたは右の二次コードからお申し込みいただけます。

https://www.stream.co.jp/download/dl-61005/

 


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