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ターゲットに刺さる原稿に絶対必要な、たった1つのこと


 前回に続いて、原稿の話。今回は「刺さる取材原稿の書き方」です。正直に言って、コレ、かなり難しいです。上級編です。教科書があるわけではないので、あくまで長年ライターをやってきた中での経験則となりますし、自分自身もまだまだ習得過程……。でもこれができるようになると原稿の質がガラリと変わります。だからどんなに難しくても、じっくりと時間をかけて取り組んでみてくださいね。

取材前の必須クリア事項

 当然のことながら、取材原稿を書く前には取材を行い、多くの場合取材の前に取材対象者への質問内容をつくっていると思います。刺さる原稿は、この2つがきちんとできていることが大前提となります。

① 企画や取材の目的がきちんと設定され、それを理解している
② 質問内容が、取材対象最適になっている

 どんな企画も目的があって立案されているはずですし、そうでなければなりません。これが不明瞭だと原稿も何を伝えたいのか、わからないものになってしまいます。

 また、取材対象者への質問内容が、その相手に話を聞く意味を成すものになっているのかということも重要です。例えば、製造現場で熟練の技を発揮する山田さんに取材する場合、山田さんの強みを引き出す質問を考えなければなりません。山田さんでも鈴木さんでも斉藤さんでも通用する質問では、深い話を聞き出すことは難しいでしょう。イメージしやすいように企画例と質問案をつくってみたのでご覧ください。

【NG例】取材対象者じゃなくても成立する質問のため、相手の強みが引き出しにくい
【NG例】取材対象者じゃなくても成立する質問のため、相手の強みが引き出しにくい
【OK例】取材対象者である山田さんならではの質問にすることで、聞きたいことが具体化した
【OK例】取材対象者である山田さんならではの質問にすることで、聞きたいことが具体化した

取材後のプロットづくり

 しっかりと準備をして取材に臨み、取材対象者からはその方ならではの熱意あふれる話が聞けたら、いよいよ原稿に取り掛かります。でも、いきなり書き始めてはいけません。まずはプロットをつくりましょう。

 おそらく、取材前に準備した質問内容は、ある程度は原稿のプロットを意識したものになっていると思います。ただ、それに沿って書いてしまうと、「情報をまとめた原稿」で終わってしまう可能性が高いです。だからプロットを再考するのですが、これが「刺さる原稿づくり」の大きなポイントなります。

 取材相手の話を聞いて、何を伝えるべきと感じたか。取材対象者のすごさや魅力は何か? 

 これをつかみとり、原稿で表現するために、プロットを練り上げるのですが、この作業が本当に難しい……。先ほど例示した質問案の冒頭に「伝えること:現場を支える熟練社員の想い」と書いていました。ただ、取材で聞いた話をこれに沿ってまとめるだけでは薄味の原稿となり、読者に刺さるほどのパワーを生み出すことは難しいでしょう。

 どうすればパワーが出るのか? ここでやるべきことはたった一つ。伝えるべき「現場を支える熟練社員の想い」が山田さんの場合は何なのかをつかみ取ることです。取材で聞いた話をしっかりと咀嚼し、「山田さんの想いの奥に潜むものは何なのか」「どうして山田さんは長い間、現場を支え続けられるのか」をとことん考え、伝えるべきこと核心をつかみとるのです。

 自分の場合は、「良い話が聞けた」と手応えを感じた時ほどこの工程で悩みます。「この手応えの正体は何だろう? その人の業績は確かにすごい。でももっと別のすごさが響いてきたような。読者に伝えるべきことがあるような。果たしてそれは何? 取り組み内容、それとも熱意、はたまたスキル……?」。伝えるべき事柄の核心をつかむまで自問自答を繰り返し、パソコンに向かってブツブツ言ったり、思考を整理するために浮かんできた言葉を書き出してみたり、社内を歩き回ったり(笑)。

 そんなことをしてようやく核心をつかみとることができたなら、残りの作業はとても分かりやすいものです。つかみとった核心を伝えるためのプロットを考え、それに沿って原稿を書けばよいのです。原稿の書き方は、前回掲載した「基本5ポイント」を参考にしてくださいね。

推敲は、突き放しながら繰り返す

 ただし、原稿が書きあがったら完了ではありません。伝えたいこと(つかみとった核心)がしっかり表現されているか、推敲を重ねます。

 この時注意することは、原稿を徹底的に突き放すことです。自分が書いた原稿は分身のような存在で、たとえ駄作であっても愛着を持ってしまいがちですが、その気持ちを捨て去って客観的に読むように心がけます。

 伝えるべきことが浮き彫りになるように、不要な言葉は削除し、足りない部分には肉付けをして、読み返す。この作業を繰り返すことで、原稿は研ぎ澄まされ、読者に刺さるものになっていくのです。

考え、挑戦し続けることでスキルは身に付く

 今回お伝えしてきたことは、冒頭で書いたようにあくまで経験則で、感覚的なものでもあるため、少々分かりづらいかもしれません。

 ただ、はっきり言えるのは、きれいにまとまった原稿が刺さる原稿とは限らない、ということです。取材で得た情報の行間を拾い、読み解き、伝えるべきことは何かをつかみ取り、それを文章としてアウトプットする。そんな原稿は、泥臭くてもそれが味わいになり、読者の心に響くものです。

 伝えるべきことは何かをつかみ取る――、このたった一つのことが、プロのライターでも難しいのです。だからといって、社内報担当者にできないことはありません。取材のたびに「誰に、何を伝えたいのか」を考え抜き、つかみ取る訓練をすることで、必ず身に付くスキルです。要は、このハードルに気付くこと、そしてそれを乗り越えようとすること。この努力があれば、必ず「刺さる」原稿が書けるようになりますよ。共に頑張りましょう!


[編集部Pick Up]
核心をつかみとった手ごたえがある原稿の例です。

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