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未来を切り開くICPにエールを送る /「社内報アワード2023」審査員座談会


 「社内報アワード2023」コンクールでは、40名以上の審査員が自らの専門性を生かし、部門ごとに厳正な審査を行いました。コロナ禍を過ぎ、ますますインターナルコミュニケーション(以下IC)のあり方が問われる時代となった今、応募作品にはどんな変化があったのでしょうか。また、その中で高い評価を得た作品とは? 紙社内報とWeb媒体をそれぞれ担当した2名の審査員が、「社内報アワード2023」表彰・交流イベントで率直な思いを語りました。

【登壇者】

社内広報アドバイザー
小川 真紀
さん
(おがわ まき/ピジョン株式会社の社内報編集を担当したのち、広報・マーケティング業務に従事し独立。現在は企業の社内報やPR誌等のライティング、校正・校閲に携わっている。「社内報アワード2023」では主に紙社内報部門を担当)

 

有限会社フェルマータ 代表取締役
コグレリョウヘイ
さん
(こぐれ りょうへい/ホームページ制作やシステム開発に携わり、Webを活用したコミュニケーション施策に強みを持つ。最近は、内製化が進む企業Webの企画や制作のサポートも行っている。「社内報アワード2023」では主にWeb/アプリ社内報部門を担当)。

 

[ファシリテーター]

社内報総合研究所 所長
橋詰 知明

 

 

「社内」にとどまらなくなったICの多様性

2023年のトレンドを示すキーワード

  • 「作品(report)」から「活動(event)」へ
     読者を受け身にせず、全社員参加型のアプローチを図る
  • 「個別のメディア」から「メディアミックス」へ
     Web媒体と紙社内報のすみ分けから、メディアミックスした展開へ
  • 「インターナル」から「エクスターナル」へ
     社内から社外まで取り込むターゲットの広がり

橋詰:まず、2023年度の審査を振り返って感じたことや、従来とは異なる変化などについてお話しいただけますか。

コグレ:ここ数年の応募作品は変化が著しく、年を追うごとに審査をするのが難しくなってきたと感じています。特に、今回の応募企画の発行期間がコロナ禍の出口が見え始めた時期と重なっていましたよね。そのためイベントを取り上げた企画が目立ったのですが、イベントと紹介するのではなく、イベント自体を企画する作品が印象に残りました。作品から活動への進化としてポジティブに受け止めました。これはIT企業の例ですが、元々は人材開発部門で担当者のスキルアップのために開催されていた社内コンテストの対象を全社員に広げ、参加できない人もSlackなどでリアルタイムに共有するという取り組みを紹介していました。もはや社内報の枠を超えた“イベント主体の作品”の一例です。

橋詰:まさにトレンドといえるかもしれない事例ですね。小川さんはいかがですか。

小川「多様化」のひと言に尽きると思います。今は雇用形態もさまざまになり、特にコロナ禍でテレワークが進んで職場環境が大きく変わりました。応募作品を見ると、多くの企業がメディアごとに目的をすみ分けて独自のIC活動を展開されていることがわかります。特に今年のアワードでは、一つの企画を紙社内報とWeb媒体で展開するメディアミックスの作品も見受けられました。さらに、社内と社外の垣根があいまいになり、インターナルからエクスターナルへと向かう社内報も少なくありません。時代の潮流を感じますね。

コグレ:社内報で制作されたものがニュースリリースとなる場合もありますよね。同じ材料、ニュースソースをどう料理するか、部門を超えて皆で一緒に考える時代になってきたんじゃないかと思います。

橋詰:確かに社内報のターゲットを社外にも広げるケースを目にするようになりました。コミュニケーションの多様化、さらにメディアミックスという手法は今年を象徴するキーワードですね。

コグレ:特に動画やWebの場合、2次元コードのクリック一つで他の媒体にリンクできるのでメディアミックスで展開しやすいんですね。といっても、Webであろうと紙であろうとそれぞれ手法が違うだけで、何を伝えるかという根本は同じです。また、読者の目線に立てば、どのメディアを選ぶかは自由で、かつ、全てに目を通すわけではないでしょう。制作側はそれを見越して「全部を見ないとわからない」のではなく、「どれを読んでもわかる」ものに仕上げる必要があると思います。

小川:そうですね。媒体ごとに読者へのリーチが異なるという点は、メディアミックスを考える上で大きな課題になるかもしれません。

橋詰:ICが多様化、複雑化したことによって、それぞれの企業に合わせた設計がますます重要になってくるということですね。

編集者自身の「やりたい」ことが実現できているか

橋詰:審査をする上で、何が評価の決め手かという点は、皆さん興味をお持ちだと思います。評価が高い作品に共通するポイントというのはあるのでしょうか。

小川ここまで多様化が進むと同じ物差しでは評価ができず、公平な審査を行うのに苦心しています。例えば、紙社内報の発行頻度を減らして、その分、的を絞った大型特集を組む企業もあれば、社内の総合情報誌として位置付ける企業もある。それぞれ活用目的が違うんですね。だからこそICの本質に立ち返ることが大切だと思っています。私の場合、まず事前の知識を持たずに作品を読み、何を伝えたいのかを感じ取るようにしています。そこからWeb検索で各企業のHPや業界情報などを入手し、申込書を見て従業員数、発行頻度や他の媒体の有無といった基本事項を整理します。そうした社内事情を踏まえて、応募用紙に書かれたコメントを基に今なぜこのテーマが重要なのかという編集者のマインドを読み込みます。その上で企画意図がストレートに反映された作品は高く評価し、ギャップがあればその原因を考えて講評・アドバイスしています。

橋詰:「社内報アワード」の審査基準では「企画」に当たる部分ですね。デザインやテキストなど「制作」のテクニカルな面についてはいかがでしょうか。

小川:今はSNSや映像情報がはびこり、忙しい毎日の中で誰もが情報処理に追われていますよね。その中で社内報を読んでもらうには、タイムパフォーマンスを意識して情報提供することが大きな課題だと思います。特に紙媒体を読ませるハードルはどんどん上がっており、いかにスピーディーに、ストレスなく読めるかが重要です。言い換えると、小売業が買い物客の動線に沿った店舗設計をするように、読み手の目線に合わせた流れをつくり、読み飛ばしや読み残しがない誌面をつくることです。

橋詰:具体的にはどのような誌面になりますか?

小川:例えば右開きの冊子なのに本文が全て横書きだったり、座談会で出席者の紹介が後ろにあったり、画像と説明文が離れていたりすると目線が迷い、読み手はストレスを感じます。また、図解やグラフも、それぞれ情報の量と価値に見合う大きさで、一目見ればわかるものでないと意味がありません。「読む」と「見る」が一体化してすっと読める流れができると誤解がなくなり、結果的に読み手の理解も深まります。評価が高い作品は、全体から各論へと落とし込むわかりやすい構成で、見出しとビジュアル素材を見ただけで概要がつかめ、読んでみたいと思わせる工夫があります。プロのデザイナーの作品であろうと、担当者の手作りであろうと、そこが機能していれば高い評点をつけますし、そうでないものは減点しています。

橋詰:企画と制作、両方のバランスが重要ということですね。コグレさんはいかがでしょう。

コグレ制作に関わるテクニカルな部分は勉強して経験を積めばできるようになるでしょうが、それ以上にやはり企画が重要だと思っています。私自身は、最初から全員に読んでもらおうという考えを持つ必要はなく、むしろ面白いものをつくるのであれば、決まりきったものを取り外して、過去のルールを無視したような作り方をしてもいいんじゃないかと考えています。誰か一人が「面白い」と感じてくれれば、その人から、まだ読んでない人にも伝わる、そんな連鎖が広がれば目的は達成されるのではないでしょうか。この場にいらっしゃる皆さんの多くはすでに高いレベルにいると思います。さらに一歩進んで、基本は抑えつつも少し型を崩す、というハメを外した企画も期待したいところです。

橋詰:なるほど、企画にはひとひねり、ふたひねり欲しいということですね。審査された中で面白いと感じた事例はありましたか?

コグレ:最近はトップメッセージの発信をカジュアルに演出する企業が増え、上司と部下がくだけた雰囲気で対話する場面を動画で配信した企画は、非常に面白かったです。もちろんそれは心理的安全性が確保され、信頼関係を築けているからこそできることで、そういう社内の風土が伝わり、傾聴と対話のある作品にはすごく興味があります。
 具体例としては……、企業名は伏せますが、社長の新年あいさつを扱った動画企画が響きました。社長室を舞台に、社長が新年のあいさつをしながら社員と会話するように展開していきます。社長室の中を歩きながら、例えばゴルフボールを手に取って「最近ゴルフを始めました」など、社長室にあるものにまつわる話をしながら「皆さんはどうですか」と対話スタイルで呼び掛けるんですね。そこから自然な流れで新年度の企業目標につなげていくという、よく練られた構成で、社員との信頼形成を意識し、ありきたりではないトップメッセージを考え出した好企画だと思いました。

審査員の話に参加者は熱心に耳を傾け、メモを取っていました
審査員の話に参加者は熱心に耳を傾け、メモを取っていました

橋詰:「トップメッセージとはかくあるべき」というスタイルにとらわれない、今の時代ならではの企画ですね。さて、それぞれの審査の評価ポイントは、大いに参考にしていただけたことと思います。最後となりますが、今回の「社内報アワード」に応募された皆さんに、ひと言ずつメッセージをお願いできますか。

コグレ:お勧めすることが2つあります。1つは企画の立て方について。いつも応募用紙を見ると皆さんの情熱が伝わってきます。熱量そのものは評価対象にはならないものの、熱い思いは企画に反映されるものです。「やらされること」ではなく「やりたいこと」でなければ何も実現できません。企画を出す際には「自分たちがやり遂げたい仕事」として捉え直すと面白いものが生まれます。もう1つは、「ぶらぶらする」ことです。ぶらぶらする、とはタイムパフォーマンスとは真逆の行動ですが、そこからは思いがけない出会いが生まれます。人生においても、意図しないものが自分の将来を決定づけることがあります。決まりきったものからは得られない発見です。社内の他部署をぶらぶらするのはもちろん、例えば今日このイベントで会った人の会社を訪ねたら、それがきっかけで社内報のコラボ企画が生まれるかもしれません。普段会わない人と会ってみるなど、常に自由な発想を持って行動してほしいと思います。

小川企画の実現のために情報をたくさん集め、優先順位をつけて取捨選択するのは、編集者が俯瞰的な視点を持たないとできないことです。それには経験だけでなく、世の中の動きに目を向けたり、趣味に打ち込んだり、ムダと思えることにも興味を持って、いろいろなことを吸収する姿勢が大事です。また、制作する上で予算や時間が足りない、周囲の理解がないなどの課題に対して皆さんがどう頑張って対処しているかも、応募用紙でぜひアピールしてほしいです。努力は必ず伝わります。私たち審査員も、毎年レベルアップする応募作品に刺激を受け、まだまだ勉強すべきことがたくさんあると感じています。皆さんの応募企画にしっかり向き合えるように努力しますので、ぜひ来年もよろしくお願いします。

橋詰:皆さんの作品を、愛を持って審査されていることが伝わるお話でした。本日はありがとうございました。


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