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女性を対象にした社内報で全社員の意識改革を推進(佐川急便株式会社)

気になる社内報編集部や、編集担当者のいる企業におじゃまする「編集部訪問」。社内報への取り組みや熱い思い、今後の課題など、さまざまな話を伺います。今回訪問したのはグローバルな運輸・物流事業を展開する佐川急便株式会社。その中でも女性の活躍を推進する媒体『Waku-Waku』を発行する「女性ワクワク推進課」を訪ねました。

池田晴子さん、畔柳恵美さん、高橋綾子さん、中原かおりさん
(編集チーム:写真左から池田晴子さん、畔柳恵美さん、高橋綾子さん、中原かおりさん)

女性躍進の旗手として『Waku-Waku』創刊!

 全従業員を対象とした社内報『HIKYAKU』とは別に、女性従業員に向けた冊子『Waku-Waku』を発行する佐川急便。両者は発行部署が異なり、『HIKYAKU』が広報部なのに対し、『Waku-Waku』は人事部傘下の女性ワクワク推進課が制作を担当する。

 「女性ワクワク推進課は、女性従業員の活躍を推し進めるために立ち上がった部署。2012年にできた前身のさがわワクワク委員会を支援する専門部署として発足しました。女性の働きやすい職場環境の構築と、管理職層をはじめとした男性の意識改革を行っていこうというのが趣旨です」と組織の説明をするのは、委員会の立ち上げメンバーのひとり、人事部人事企画課課長の三宮加代さん。

 『Waku-Waku』の創刊は、課が誕生して約半年後。新組織のもと、女性の活躍推進に力を入れたものの、現場の末端にまで周知徹底させるとなると企業規模の点から容易とはいかず、活動の浸透を図るために女性に特化した社内報の発行に踏み切った。今年の7月号で3周年を迎えた同誌は、全国各地で活躍する女性の姿を分かりやすく伝えることで、女性従業員全体のモチベーションやロイヤリティの向上につなげることを目的に発行されている。

三宮加代さん
▲創刊当時の責任者である三宮加代さん

女性ファッション誌を参考に「読みたい」気持ちを喚起

 『Waku-Waku』は毎月発行で全12ページの構成。読者モデル風に女性従業員が登場するインパクトのある表紙や特集、パステルトーンでまとめられたシンプルで美しいデザインが目を引く。

 「まず『手にとってもらう』ことが重要なので、女性好みのビジュアルを常に心掛けています。表紙に登場していただく方にはプロのヘアメイクやスタイリストの手を借りることもあり、最新メイクとフェミニンなファッションで“イメチェン”してもらいます。ドライバーの方などは普段の縞シャツ姿とは印象が変わるので、同僚から『分からなかった』と言われることも多いそうです」と冊子のこだわりについて話すのは、専任で編集を担当する池田晴子さん。

 ほかにも、グルメやレジャーといった一般情報を盛り込むなど、女性ファッション誌を意識したつくりで、男性色の強い『HIKYAKU』と差別化を図っているとか。

 編集担当は、池田さんの他に兼任1人の2名体制。制作には、さがわワクワク委員会の協力も仰いでいるという。「月初めに約10名で行う編集会議で全員の意見を一致させることが一番大事。それに沿って作業を進めていきます。毎月なので、計画通りにきちんと進行させることが何より大切ですね」と池田さん。当初はバタついたこともあったそうだが、経験を重ねるうちに先手先手の動きができるようになったという。

 「年度始めに年間を通してのテーマを決め、細かい企画についても常に3カ月先までは決めるようにしています。掲載予定は先でも前倒しで取材に行ったり、撮影も機会があれば撮りだめするなどの工夫はしていますね。2名という限られた人員でできるだけ効率よく編集するためです。ただ、旬の情報もできるだけ取り入れたいので、その辺りのバランスが難しいところです」とはいうものの、余裕のある進行に重点を置くことで、校了直前に慌てることもなく、今ではスムーズに制作ができている。

ロールモデルの紹介で女性のキャリア志向を刺激

 企画でもっとも力を入れているのは、発行目的に沿った、女性のやる気を呼び起こす記事だ。宅配便業界は、体力を要することもあって、まだまだ男性が多い社会。働きやすさを考えると不安を持つ女性は多く、女性管理職も他業界に比べ少ない。その現状や女性自身の意識を変えていくことこそ、『Waku-Waku』に課せられた課題だからだ。

 「将来のビジョンが“現状維持”という女性社員もいます。『Waku-Waku』を通じて、その意識をどう変えていくか。実際、身近にいる女性のがんばる姿を掲載すると“励みになる”といった声も多く寄せられるようになりました」とは現在の『Waku-Waku』発行の責任者、人事部女性ワクワク推進課課長の畔柳恵美さん。

 昨年は、年間テーマに「キャリア形成」を据え、ロールモデルとなる社員を紹介した。なかでも好評だったのが「ワンダフル・ウーマン」という企画。女性管理職を取り上げたインタビュー記事だが、「私も目指したい」「やってみたいと思った」という声が多く寄せられたという。

 「女性管理職が周りにいないという人が多いので、どこにどんな人がいて、どんな考えを持っているのかを知ってもらうことができたのは、大きな収穫です」と、手応えを口にする池田さん。

 読者の反応は、アンケートを毎号巻末につけ、探るようにしているそう。プレゼントをつけているためその内容により戻りにバラつきはあるが、年2回開催される委員会の全国会議や女性だけがアクセスできる社内ツールの掲示板を使って応募の呼びかけを行うほか、そこで寄せられた意見は積極的に誌面に反映するようにしている。3周年記念号の7月号では、初の読者参加型企画も実現させた。

Waku Waku 表紙Waku Waku 誌面 メンターってなに!?Waku Waku誌面 新企画発表
▲2016年7月号ではメンタリングプログラムを特集。また、3周年記念として読者から募集した企画で選出したものを紹介

効果は数字にもハッキリ、産休・育休取得率も上昇

 こうした地道な活動が実を結んで、女性活躍の成果は、数字の面でも着実に上がってきている。創刊時17%程度だった女性雇用比率は24%に増え、当初から目標にしていた30%達成が見えてきたのに加え、女性ドライバーも目に見えて増加。現在、軽四ドライバーを入れた実数で約2,500人、営業職は約4,500人を数え、大型車へのキャリアアップを希望する女性も増えているとか。

 また特筆すべきは、産休・育休の取得率増加。当初は180人程度だったのが、多いときでは400人を超えたという。『Waku-Waku』は、制度を取得し休業している社員にも自宅配送している。この3年の間に、池田さん自身も産休・育休を取ったそうだが、月に1回冊子が送られてくることで、随分と勇気づけられたという。

 「会社とつながれている感覚が持てて、『早く職場に戻りたい』という気持ちになりましたね。復帰の後押しには、確実になっていると思います」(池田さん)。

 最近では男性で育休を取得する社員も少しずつだが増えているそうだ。畔柳さんは職場内の理解が進み、風土が変わってきたためと考えている。

 「『Waku-Waku』の発行で、会社全体がさらに女性に注目するようになっています。これによりダイバーシティがより浸透し、女性が発言できる環境が整えられてきました」(畔柳さん)。

女性が活躍する職場作りで男性も働きやすく

 今後については当面、方針を変えずに発行を続けていく予定だという。「今はようやく基礎ができてきた段階なので、ここから継続していくことが肝心です。それに全国には目覚ましい活躍をしながらも私たちが紹介しきれていない女性がまだたくさんいると思うのです。そうした方を1人でも多く掘り起こして、紹介していきたいですね。情報収集や人選の方法などスキルをもっと上げて、さらにいい誌面にしていきたいです」と池田さん。

 そして次なるステップとして見据えるのは「女性管理職の増加」。自身が管理職でもある畔柳さんがこう締めくくる。

 「女性の管理職をもっと増やしたいですね。今の倍以上は必要。現在女性課長職層がメンターとなり活動しています。1人で担当できるのは限界がありマネジメント層が増えていかないと、キャリアアップを目指す女性も増えません。女性活躍に対して社長の理解が高く、“5年後、10年後と末永く会社が存続するための経営戦略”と言ってくれています。女性が働きやすい職場は男性も働きやすい職場です。『Waku-Waku』では、これまでもいろいろな現場の声を載せてきましたが、今以上に多くの女性を取り上げたいですね。“壁を乗り越えてみよう”、“チャレンジしてみよう”という後押しができれば、女性の活躍は広がると信じています」。

 

【企業概要】
佐川急便株式会社
本社所在地:京都市南区上烏羽角田町68番地
東京本社:東京都江東区新砂2-2-8
URL:http://www.sagawa-exp.co.jp/

 

 

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