弊社の人気講師・古川 由美さんによる社内報の基礎セミナー・レポートの前編はご覧いただけましたか? 今回は後編として、「①編集工程・企画・情報収集 ②取材 ③原稿作成 ④写真撮影」の後半2項目をお届けします。社内報担当となって間もない方はもちろん、基本をおさらいしたい方も役立つ内容です。
初めて社内報を担当する人のための「基本のキ」~前編~はこちら
③原稿作成編
文章は「分かりやすく、初読で理解ができる」が基本
社内報の文章(テキスト)として望ましいのは、どのような文章でしょうか?
社内報が目指す文章
- 分かりやすく、初読で理解ができる
- 共感し、心に響く
- 読者が動く
社内報がまず目指すべき文章は、①の「分かりやすく、初読で理解ができる」文章です。わからない箇所が二度、三度と出てくると、読者は離脱してしまいます。これから原稿を書こうという皆さんは、まずは分かりやすい文章を目指してください。
分かりやすい文章を目指すには、逆に、どんな文章が分かりにくいかを考えてみるといいでしょう。一つの文章が長すぎて何を言っているのかわからない、専門用語が多く使われている、メリハリがなく伝えたいポイントがはっきりしない。そんな文章にならないように気をつけましょう。
書く前にメインとなる素材とタイトルを決める
短いニュース記事の場合には、結論から先に書くのが鉄則です。一方、ストーリー性がある800~1,000文字以上の長めの記事は、起承転結の流れに沿うとメリハリのある構成となり、読む側も流れがつかみやすくなります。
メリハリを付ける際にとても重要なのは、メインになる素材を決めることです。取材した内容の中で「ここがポイント」というものを決めてから書けば、何が言いたいか分からない文章にならずに済みます。
メインの素材が決まったら、その段階でタイトルを決めましょう。仮でもいいので最初にタイトルを決めると、記事の方向性も決まります。
また、書いたあとで文章をきちんと読み直すことが不可欠です。PCの画面上で、目で追うだけではなく、音読してみることをおすすめします。音読により、文章の適切な長さや句読点を付ける位置、直したほうがいい箇所、不要なフレーズなどが見えてきます。
見出しを工夫して、もっと読まれる記事に
見出しはとても大事なので、皆さん力を入れていることと思います。ここでは5つのポイントをご紹介します。
①短く、簡潔に
短い方が頭にすっと入り、インパクトを与えることができます。
②数字やデータ、固有名詞など客観的な事実を
たとえば入社式の記事の見出しに新入社員の人数が入っていれば、その年の採用規模がわかります。客観的な事実により、具体的なイメージが湧きやすくなります。
③分かりやすい普段の言葉で共感を
特別な言葉よりもいつも使っている言葉のほうが、共感が生まれます。
④本文中の一部をそのまま流用する
インタビューや対談の記事では、その人が特に強調していたことや印象的なフレーズを使用するのが、王道的な手法です。
⑤新発見の情報を盛り込む
毎年の定例的なイベントなどの記事でも、その年の特徴や特別な要素を拾い出して盛り込めば、新鮮な印象を与えられます。
④写真撮影編
写真は考えながら撮影すればうまく撮れる
取材対象者の写真を撮る場合には、この記事では何を伝えたいのか、まず頭の中を整理してから撮影を行いましょう。
撮影の際には、被写体となる人やモノをしっかりと見てください。特に注意したいのが背景です。人物の後ろに余計なものが入っていないでしょうか。逆に会社のロゴやイベントの垂れ幕を入れた方が、記事の意図が伝わりやすくなる場合もあります。
光の向きにも注意しましょう。人物写真を撮る場合、正面から光が当たっているか(順光)、背後から当たっているか(逆光)、横から当たっているか(サイド光)によって、写真の仕上がりや印象が左右されます。順光で顔を明るく写すのが原則ではありますが、真夏の炎天下など順光が望ましくないケースもあります。そこで、撮影場所や人物の向きを変えたりすることも必要です。また、一方向からだけ撮影するのではなく、被写体の周りを動いていろいろな方向から撮ってみてください。
1対1の人物撮影でおすすめしたいのが、相手とコミュニケーションを取りながら撮影することです。お互いに黙ったまま2、3回だけシャッターを切っても、なかなか良い写真は撮れません。会話をしながら撮ることで、相手との心理的な距離も近くなります。相手の洋服のことや表情などの話をしながら、テンポよく何回もシャッターを切ることで、良い表情の写真が撮れます。
オンラインでの取材や寄稿などの場合には、写真撮影を相手にお願いするケースが多いと思います。イメージ通りの写真を撮ってもらうためには、依頼の時に撮影サンプルをつけてください。言葉での説明以上にこちらの意図が伝わり、イメージと違うというトラブルを防ぐことができます。
シチュエーション別の撮影のポイントは?
インタビューや対談の写真は、被写体が身振り手振りをしている瞬間を狙います。ちょっとした手の表情が加わるだけで熱意をもって話している雰囲気が出ます。ポートレート写真では、背景にも配慮しましょう。ロゴなどを入れることで写真から読み取れる情報が加わります。
また、アングルのバリエーションももっておきましょう。やや下からのアングルでは堂々とした威厳がある雰囲気が演出されます。ビジネス雑誌などで使われる撮り方です。反対に上から撮ることで、親しみやすさや小顔効果を出すことができます。また、場合によっては取材場所ではなく、対象者の仕事場やテーマに関連した場所へ移動して撮らせてもらうといった工夫もしてみましょう。
集合写真は並び方で印象が変わります。Eはあまり集合写真という感じがしません。Fのようにできるだけ近づくことが大切です。Gのように2列に並ぶと雰囲気が変わります。Hのようにポーズをつけると和やかな雰囲気になり、Iはさらに元気がいい印象になります。Jは手にものを持つことで、ポーズが取りやすくなったりします。
集合写真では全員の顔がちゃんと写るように、並び位置などを調整しましょう。全員の顔が見えているかを誰かに確認してもらえば安心です。
イベントでの撮影は撮り直しがききません。失敗はできないので事前準備が必要です。式次第などがあればチェックして、どのタイミングにどこで何を撮るのかを決めておきます。また、早めに会場に入って事務局の方と顔合わせをし、会場の前方まで出て撮影しても大丈夫かといったことを打ち合わせておきます。
会場全体を撮影する場合には、撮影ポイントを変えて撮ることも必要です。イベントは一度限りですから、カット数を多めに撮っておきましょう。
スマートフォンでよりよい写真を撮るためのコツは?
最近はスマートフォンの性能が向上して、社内報の写真をスマホで撮る方が増えました。スマホの写真もちょっとしたコツで、クオリティをアップすることが可能です。
※スマートフォンにより機能の有無が異なることをご了承ください。
■グリッド線を使った3分割法で構図を決める
スマホのカメラには、画面を縦横に3分割する「グリッド線」を表示する機能があります。その線の交わる4つの点のうち、どれか一つにメインとなる被写体を置くことで、写真の見映えがとても良くなります。
■ピントと明るさを調整する
スマホ画面にタッチすると四角い枠と太陽マークが現れて、その部分がキレイに写るように、ピントと明るさが調整されます。この機能を活用すれば失敗を減らすことができます。
■ポートレートモードも活用する
ポートレートモードがある機種であれば、人物にフォーカスを合わせて背景をぼかすことも可能。イメージに合った写真を撮影してみてください。
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古川講師による新任担当者向け基本セミナー、いかがでしたか。実際のセミナーでは視聴者の質問にお答えする時間もありますので、今度はぜひ、セミナーに参加してみてください。古川講師の優しい雰囲気と分かりやすい解説は、参加者のモチベーションを上げること請け合いです!
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