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未来へとつなぐ橋、最先端の技術力と現場力を誇りに(三井住友建設株式会社)

三井住友建設株式会社様のプレゼンを担当した、経営企画本部 広報室の堺 友季奈さん
三井住友建設株式会社様のプレゼンを担当したのは、経営企画本部 広報室の堺 友季奈さん

2021年10月5日(火)~8日(金)に開催した「社内報アワードONLINE EVENT 4DAYS」では、ゴールド賞受賞企業10社による、社内報制作の事例発表を行いました。「社内報ナビ」では、各社の発表内容を紹介していきます。

第7回は、三井住友建設株式会社様。「社内報アワード2021」では、紙社内報部門 特集・単発企画8ページ以上でゴールド賞に輝きました。画期的な橋梁の開発から完成に至るまでを丹念に追った企画のねらいや誌面展開、併せて同社が志す社内報のあり方についてお話をいただきました。

2社の合併により、社内報『SMILE』誕生

 当社は、明治から続く歴史ある2社、三井建設と住友建設が合併して2003年に誕生した総合建設会社です。事業分野は主に4つとなります。橋梁やトンネルなど社会インフラを支える国内土木事業、集合住宅やオフィスなどの設計・施工を手がける国内建築事業、発展する国際社会の基盤づくりに貢献する海外事業、そして水上太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーなどの新たな事業領域です。

 社内報の歴史は合併前にさかのぼります。三井建設、住友建設それぞれが冊子社内報を発行しており、その数は併せて1,100号にも上りました。これらは1冊1冊が貴重な記録であるため、現在も全号製本した形で大事に保管しています。

 このように両社ともに社内報を大切にする文化が根付いていたことから、新会社として創業後もすぐに社内報の発行を始めました。創刊号は、新たなコーポレートカラーとなったブルーの表紙で、生まれ変わった企業であることを強くアピール。創刊時にタイトルはなく、誌面で応募を募り、『SMILE』に決定しました。 

創刊号のタイトル部分は社名。この誌面で媒体名を募り、「SMILE」に決定
創刊号ではタイトル部分は社名になっている。この誌面で媒体名を募り、「SMILE」に決定

制作はほぼ内製、全国の広報委員も力に

 発行から18年が経過した『SMILE』は現在年4回発行、約5,000部を全従業員および派遣・契約社員、関係各社、従業員家族やOBに配布しています。編集方針として下記の2点を掲げています。

『SMILE』の編集方針

  1. 社員一人ひとりが主役になれる社内報
    社員同士がお互いを知り、それぞれのモチベーションアップにつながる情報源となること。それこそが社内報の一番大切な役割だと考えている。

  2. 伝える側の顔が見え、読み手が「自分ごと」にできる記事づくり
    知っている社員や同僚、上司が出ているとうれしい、という声が多いため、メインターゲットとなる読者と立場が似ている、身近な社員にたくさん登場してもらい、本音で語ってもらうことで、読者に親近感や当事者意識を抱いてもらえるようにする。

 この方針のもと、内容は、その時に伝えたい・共有したいテーマを採り上げる特集記事を中心に、現場で働く人にフォーカスした記事、社員同士でバトンをつなぐリレーエッセイなど数本の連載で構成し、社内コミュニケーションの活性化を目的とした話題性のある誌面にすることを目指しています。

 また、制作は、広報室5名のメンバーでほぼ内製しており、一部デザインを外注する以外は、撮影も取材・原稿執筆も自分たちで行っています。この少数精鋭体制に欠かせないのが、全国に約50名いる広報委員。各部支店に2、3名を配し、情報提供はもちろん、必要に応じて、写真撮影や原稿執筆もお願いしています。広報委員の任期は1年。年齢、性別、役職を問わず、「やってみたい」という強い意志を持つ方にお願いしていて、年1回、全員が集まる全体会議も実施。情報交換やスキルアップのための勉強会、ワークショップなどを行っており、2019年度はSDGsをテーマにした勉強会の様子を記事にしました。

広報室は5名と少数精鋭だが、全国に約50名いる広報委員が協力してくれる
広報室は5名と少数精鋭だが、全国に約50名いる広報委員が情報提供や写真撮影、原稿執筆の面で積極的に協力

誇れる技術力と技術者の努力にフォーカス

 では、今回ゴールド賞をいただいた特集「Bridge 未来へつなぐ技術」について、ご説明いたします。当社は土木事業において、毎日の暮らしに欠かせない橋や道路などの構造物を手がけていますが、なかでも橋梁分野は、業界屈指の設計と施工実績(国内外で4,500超)を誇り、主力事業の一つとなっています。その背景には、より安全な社会、より安心できる暮らしを目指し、日本初、世界初の技術に果敢に挑戦してきた技術者たちの努力があります。

 本特集はそこに光を当て、50年、100年先の未来につなぐ新たな技術開発に挑戦する姿勢と、担当者の熱意を伝えるために企画しました。ちょうど、長年研究開発してきた「Dura-Bridge®」が完成したタイミングでもあり、それを大々的に紹介することで、土木分野に詳しくない読者にも自社の技術力の高さやその価値、現場力の高さを伝え、誇りに感じてもらうと同時に、未来への夢や希望を抱いてもらえたら、と考えたのです。

新たな技術挑戦してきた技術者たちの挑戦する姿勢と、担当者の熱意を伝えるために企画
新たな技術に果敢に挑戦してきた技術者たちの挑戦する姿勢と、担当者の熱意を伝えるために企画

 主役である「Dura-Bridge®」とは、錆びない素材を用いた超高耐久橋梁。通常、橋にはコンクリートを補強するために鉄筋が使われるのですが、海水や凍結防止剤の塩分によって錆が進み、時間とともに劣化することが課題になっていました。それを解決するのが、「アラミドFRPロッド」という新素材です。鉄筋ではないので、錆が発生せず、100年以上経ってもメンテナンスは不要、そのうえ、強度は鉄筋の6倍あるという画期的な新技術です。この開発がスタートしたのは、2010年。発注者であるNEXCO西日本と共同でプロジェクトを進めてきましたが、10年の時を経た2020年12月、ついに完成にこぎつけ、高速道路の本線橋として実現化したのです。

読者の興味を引く「導入」の作り込みが成功のカギ

特集「Bridge 未来へつなぐ技術」

 

 

 

 

 特集企画は8ページだてで、見開きごとに4つのパートに分けています。

【最初の見開き】
 当社の橋梁分野における歩み、実績を紹介するとともに、本特集でフォーカスする技術を扉風に掲載して導入ページとしました。具体的には、下の段に過去の実績が一目でわかる年表を、右ページの上に3つに絞り込んだ技術の概略を囲みで配置。この見開きで読者に前知識を得てもらい、続く6ページでそれぞれのテーマを深掘りしていくという流れにしたのですが、この導入ページの構成をしっかり決め込んだことが、高い評価を得た大きなポイントだと考えています。

【2つ目の見開き】
 スペシャル座談会を掲載。共同開発社のNEXCO西日本の担当者2名と当社のプロジェクトリーダー1名で、完成までの道のりを振り返りつつ、現場での試行錯誤や苦労について語り合ってもらいました。当時は鉄筋を使用しない橋というのは斬新な発想で、とてもチャレンジングなことだったため、非常に読み応えのある内容になったと思っています。

【3つ目の見開き】
 ICTの導入で進化する橋梁現場を取材。建設現場では人手不足が大きな課題になっており、業界全体でICTを活用し生産性を向上させる技術開発への取り組みが進められていますが、今回取材した現場では、これまで複数人で担当していた検査作業を1名に減らし、作業時間を1/3に短縮できるシステムを試験導入。このページでは、そこに携わった技術開発者への密着リポートと、現場所長の声を掲載しました。

【最後の見開き】
 高速道路のリニューアルプロジェクトについて採り上げました。1950年代後半から建設が始まった高速道路は、橋梁後30年以上経過しているものが全体の5割を超え、経年劣化のリスクが懸念されており、今後も安全・安心に維持するために全国で大規模更新・修繕作業が進められています。このページでは、今後当社の土木事業の柱になるインフラの維持・更新事業について、営業、設計、技術の3部門の担当者にインタビューを行い、考えや展望を語ってもらいました。

専門的な内容をいかにわかりやすく伝えるか

 全体を通して気をつけたのは、座談会や現場取材、インタビューと切り口を変え、読者を飽きさせないこと、そして会社の過去から現在、未来への進化をさまざまな視点からストーリー性を持って伝え、社内報だからこそ読めるネタを盛り込み、読者目線を大事にしながら、取材・執筆を行うことです。

 細かい部分でも、工夫した点や苦労した点は多々あります。1つは、読者ターゲットを橋梁以外の分野に携わる社員に設定したこと。橋梁分野に詳しくない社員でもわかる内容にするためには、まずは編集者自身がきちんと理解することが大切です。プレスリリースを読み込み、技術のことを事前に猛勉強するなどの努力はもちろんですが、専門的な内容を噛み砕いて説明し、テキストだけでなく、図や画像などを多めに使い、視覚的にもわかりやすい記事となるよう心がけました。また、プロジェクトを推進している人をクローズアップすることで、読者の興味を引くとともに、登場者自身のモチベーションアップにもつながるようにしています。

 2つ目は、取材から原稿作成までほぼ一人で担当したこと。私は事務職のため、専門的な内容を文章化するのは大変な苦労がありました。特に座談会やインタビューは専門家と対等に話をしないといけないため、基本的な用語などを頭に叩き込み、関連記事をじっくりと読むなど入念な準備をして臨みました。それだけの見返りは十分にあり、この特集で得られた知識や経験は自分自身の財産になったうえ、ゴールド賞もいただくことができました。アワードの審査でもこの点を評価いただけたのでは、と思っています。

 3つ目は、コロナ禍での座談会開催です。企画したのは昨年春頃だったのですが、その後感染が拡大したためなかなか実施が叶わず、ようやく実現できたのは、半年後の夏。この座談会は、特集内でも一番読者に伝えたい内容だったので、これを実現できたのは非常に大きかったと思います。

「読んでためになる、出てうれしい社内報」が目標

 橋梁同様に大変な経過をたどった本特集ですが、読者の反応が非常に良く、「改めて当社の技術の高さを知って、誇らしい気持ちになった」「今後の技術革新への期待が持てる内容だった」など好意的な意見が多数寄せられたのは、とてもうれしいことでした。私自身も含め、従業員およびステークホルダー全員が新たな視点で自社を見ることができたのは大きな収穫であり、会社の成長のプロセスを伝えていくことにもつながったと自負しています。

読者の反応は非常に良く、好意的な意見が多数寄せられた
読者の反応は非常に良く、好意的な意見が多数寄せられた

 最後になりますが、今後も引き続き、読者が「読みたい」と思える、登場した社員が喜んでくれる社内報を目指していくことが、私の目標です。そのためには、私自身が「伝えたい」という強い意志と熱意、社内外とのコミュニケーションを大切にし、感謝する気持ちを持ち続けることが大事だと考えています。コロナ禍はこの先も続くことが予想されますが、可能な限り自分で現場を取材し、社員と話し、当社のモノづくりを支える皆さんの頑張りを伝えていきたいと思っています。

「伝えたいという意志と熱意、コミュニケーション、感謝の気持ちを大切に」(堺さん)
「『伝えたい』という強い意志と熱意、社内外とのコミュニケーションを大切にし、感謝する気持ちを持ち続けることが大事」と、堺さん

 

  • 社内報『SMILE』
    創刊:2003年
    発行部数:5,000部
    仕様:A4判、4色、28ページ
    発行頻度:季刊(1、4、7、10月)
    URL:https://www.smcon.co.jp/

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