2020年10月6日(火)~9日(金)に開催した「社内報アワードONLINE EVENT 4DAYS」では、上位入賞を果たした優秀企業10社による、社内報制作の事例発表を行いました。「社内報ナビ」では、各社の発表内容を紹介していきます。
第7回は、三菱UFJフィナンシャル・グループ様。「社内報アワード2020」動画社内報部門でゴールド賞に輝きました。受賞企画実施に至った経緯や、インターナルコミュニケーションの要となるものについて、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 広報部の吉田 紗緒里さんと西村 早紀さんがお話しくださいました。
広報が担う3つのコミュニケーションと媒体の住み分け
三菱UFJフィナンシャル・グループ、通称MUFGは、銀行、証券などを傘下に持つ総合金融グループで、海外も含めると約14万人の従業員が働いています。
私たちが所属しているインターナル広報では、賞をいただいた動画をはじめ、紙の広報誌、Webのイントラネットの制作をしており、媒体を通して国内外の従業員向けに情報を発信しています。
グループ約14万人という非常に大きな組織に、経営ビジョンや行動規範、トップからのメッセージなどをしっかりと行きわたらせることが、私たちの一番のミッションです。そのためにはさまざまな媒体を駆使して、いろいろな角度からコミュニケーションを図ります。具体的には、
- 縦のコミュニケーション(経営と従業員の双方向のコミュニケーション)
- 横のコミュニケーション(従業員間、グループ間での情報共有)
- 外のコミュニケーション(従業員の活躍を、SNSなどを通じて外に発信)
各媒体を通してこの3つを実現し、社内コミュニケーションの強化やエンゲージメント向上に努めています。
媒体は次の3つです。
発行媒体
●イントラネット
海外を含む全従業員が閲覧可能なイントラネットである「MUFGコネクト」を運営管理。速報性を生かし業務の合間に見てもらえるようなニュースやお知らせを中心に配信。ニュースは基本的に毎日配信、トップメッセージやグループ一体好事例、コラムなども随時配信
●動画
印象に残りやすく、共感を得やすい媒体のため、できる限り人を登場させ、しっかりとストーリーをつくって情報提供
●紙
広報誌『MUFG』を年に3回発行し、グループ50社向けに約10万部配布。「MUFGで働く未来にわくわくする」をテーマとし、若手、中堅の目線に立って制作。会社の方向性を示すテーマを深掘りする10ページの巻頭特集と7つの定例コーナーで構成
動画は外部サイトにおいて、ID、パスワードでアクセス
制作した動画を掲載するサイトは、社内イントラではなく、誰もが、いつでも、どこでもアクセスできる外部クラウドを採用しています。MUFGでは、社内環境から動画が閲覧できない、できても画質が悪いなどの会社が多く、見てもらえないという課題がありました。そこで、社内環境を一切通さず、外部クラウドに動画を置くことでこの問題を解決。アクセスするためのQRコードをイントラ上に掲載し、読み取ればすぐサイトに行けるスムーズな動線を確保しています。
現在、この外部クラウドに掲載している動画は主に3つです。
- 「ビデオニュース」
月に1回旬の施策から特定のテーマを設定し、約5分の特集として紹介 - 「MUFGスピリッツ」
マネジメント層に焦点を当て、従業員が目指すべきプロフェッショナルを紹介する - 「My job」
若手社員が憧れる先輩像を描く「My job」
受賞作品「My job」は社員の声から生まれた動画です。MUFGを取り巻くさまざまな環境変化の中で、ビジネスモデルを変革し、再創造を成し遂げていくためには、これまで以上に社員一人ひとりが成長と挑戦を繰り返していくことが重要です。MUFGでは社員のキャリアチャレンジの機会が、銀行、信託、証券などの事業領域へと拡大していますが、実際にキャリアを考えようと思っても他部署について知るツールはほとんどないのが現状です。私たちは若手社員の声を拾い上げ、今後のキャリアを考えるための参考になるよう動画をつくろうと話し合いました。
今までにもマネジメント層に焦点を当てた「MUFGスピリッツ」という動画を掲載していたのですが、業務のイメージが湧きにくく、若手のキャリア動画としては不向きでした。自分たちが若手だったころを思い出しながら議論を重ね、2、3年目の社員が近い将来を考えるなら、先輩社員である30代前半くらいの中堅社員を取材するのがいいのではないかという結論になりました。バリバリと業務をこなしている社員も多く、若手が憧れるようなかっこいい先輩の姿を伝えられると同時に、これからのMUFGを担う人々の言葉からMUFGの未来を知ることができるのではないかと考えました。
そこで出てきた企画が「今の自分を形づくる『現在の仕事=My job』」です。中堅社員のインタビューを通して、仕事に対するさまざまな思いや情熱を自身の言葉で語ってもらい、MUFGの未来像を描く動画を気軽に見られる3分に凝縮しました。人物を通して業務を知り、キャリアを考え、MUFGの未来を想像できる、そして、若手以外の社員が見てもモチベーションが上がる動画をつくろうと思いました。
受賞企画である、「My job 02 GCB部 S.K」の動画の一部をご覧ください。
※個人情報保護のため、部署名・個人名はイニシャルにしています(受賞作品紹介部分、同様)
My job 02 GCB部 S.K
「GCB部で、パートナーバンクと呼ばれる海外商業銀行の出資先5行を所管する部署にいます。パートナーバンクの経営管理、業務管理をする部で会議運営や戦略の立案、計画策定を手掛けています。このネットワークはMUFG独自のユニークなもので、他行と比べて非常に優位だと考えています。一行だけではなかなか解決できない問題でも6つの銀行が一緒になって考えて、より良いソリューションを見つけることができると思っています。MUFGに新たな風を吹かせる存在になりたいと考えています」(S.Kさん)
実質1時間で撮影し、編集して3分に
彼らがどんな職場でどういった仕事をしているのか、イメージできたでしょうか。「My job」はナレーションなしの、ほぼインタビューで出来上がっています。そこで、一番のカギとなるのが部署選びと人選です。現在の業務と部署の役割についてしっかり話すことのできる人をチョイスすることが、この動画の成功の8割を占めていると言っても過言ではありません。
まず、各部門の企画セクションと相談し、部署の選定を行います。人選については、年齢は30代前半の役付き者、自分の仕事がしっかりと理解できている着任1年以上の人で、ご自身の業務を熟知し、しっかりと語れる人を探しました。さらに、周囲の方々からの評判なども参考に徹底的にリサーチして絞り込みました。
また、お話しいただく場所も映像ではとても大事です。いつもの会議室や応接室ではなく、MUFGの未来を語るにふさわしい場所を探し、イノベーションを創出する場として生まれたMUFGスパークという新しいオフィスを使用しました。
基本的に撮影と編集はビデオ制作会社に委託しています。どういったコンセプトで、どういう映像をイメージしているかなどの打ち合わせを何度も行い、撮影方法などを決めていきました。
普段ニュースの撮影などを行うときには、こちらで原稿を作成して、それに沿ってインタビューしますが、「My job」では、より視聴者の心に響くよう、ご自身の言葉で自由にお話いただくようにしました。事前にヒアリングシートをお渡ししますが、文章を戻してもらった後、広報では特に修正は入れません。撮影時のインタビューを編集会社に委託することで、専門用語などを避けて話すような環境づくりにも気をつけました。
編集のポイントは以下の3点です。
- 飽きずにテンポよく気軽に見られる3分動画
- パーソナルな部分を間に入れ込み変化と親しみを
- 3曲の音楽とテロップの効果的使用
最後に視聴者からの声をお伝えします。「どういう仕事をする部署なのかざっくりまとめられていてイメージをつかむのにちょうどよい」「次のキャリアの参考にしたい」「スマホで見られるのでとても便利」「MUFGの未来が伝わってきた」などの言葉をいただきました。
今後もできるだけ多くの部署を取り上げ、若手社員のキャリアやモチベーションアップにつながる動画を作っていきたいです。今MUFGの社員に有益な情報を適切なタイミングや手段で届けられるように努めてまいります。
- 動画社内報『My job』概要
創刊:2020年
発行サイクル:コロナのため次回発行未定、今後は月1本程度で掲載予定
平均時間:約3分 - 会社情報
URL:https://www.mufg.jp/
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