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公開対談レポート|動画社内報の導入メリットと人気のコンテンツ

公開対談レポート|動画社内報の導入メリットと人気のコンテンツ

コロナ禍によりリモートワークが進み、社員がそれぞれ離れた場所で働くようになった今、会社とのつながりや、経営トップのメッセージ発信は、これまで以上に強く求められています。その解決ツールの1つとして動画社内報が注目を集めていますが、制作体制の構築や制作ノウハウなど課題山積と感じている企業が多いのも事実です。そこで社内報アワード入賞常連企業様で、動画社内報を活用している2社様にオンラインで意見交換をしていただきました。

【パネリスト】

稲田 充志 様 
ヤフー株式会社 
コーポレートコミュニケーション本部 
インターナルコミュニケーション室 IC1チーム リーダー

下瀬 貴子 様
株式会社マクロミル 
コーポレートコミュニケーション・IR本部 広報・ブランド・マネジメントユニット
ブランドマネジメントグループ長

【ファシリテーター】

浪木 克文
ウィズワークス株式会社
代表取締役社長 兼 CEO 社内報総合研究所 所長

経営メッセージの浸透と帰属意識の保持

浪木 まずは、制作体制と導入のきっかけを教えてください。

稲田 ヤフーでは広報とは別にインターナルコミュニケーション室があり「従業員の活躍と貢献」をミッションに、14人が3チームに分かれ専任で内製しています。映像制作の専門家を採用したのではなく、「好きだ」「やりたい」という人に高スペックのMacを貸与し、ソフトウエアを活用・勉強しながら作っています。

下瀬 年間に何本くらい制作しているのですか?

稲田 今年4月から9月までの半年間に、僕らのチームで80~90本、作りました。撮影・編集だけを外注することもありますが、9割5分は内製です。

下瀬 6人で月に10本以上!驚異的な数ですが、コロナ禍の影響ですか?

稲田 動画社内報のカテゴリとして、イベントなどの中継をする「リアルタイム配信」と、インタビューなどを収録後に編集して配信する「アーカイブ配信」があります。リモートワークになったことで、各部門で行っていたキックオフや朝礼などのイベントを、リアルタイム配信することが増えたのは事実です。

「リアルタイム配信」と「アーカイブ配信」
イベントなどの中継をする「リアルタイム配信」と、インタビューなどを収録後に編集して配信する「アーカイブ配信」で構成

稲田 動画社内報の目的は、経営メッセージの浸透と、それを見た社員の声を経営に届けることです。ヤフーは今、95%の社員がリモートワークなので、帰属意識を保つために重要な役割を担っています。マクロミルさんはいかがですか?

下瀬 マクロミルは最新のデータ&テクノロジーを活用したマーケティング支援企業で、今年創立20周年を迎えました。海外にも拠点がありますが、動画社内報の対象者は国内の1,000人強です。そして動画社内報に限らず、インターナルコミュニケーション全体の目的は「社員のエンゲージメントを高める」ことと考えています。Mission、Vision、行動指針となるValues、そして企業文化の浸透が大きなテーマです。

 動画を本格的に導入したのは昨年です。半年に1回、全社員が集まる場で、全社MVPを発表し表彰していますが、長年同じ形式で表彰していたため、マンネリ化し感動や刺激が薄まっていました。そこで皆の記憶に残り「次は自分が」と思わせる演出を目指し、受賞者の成長ストーリーと、お客様からのお祝いメッセージで構成された動画での発表形式に切り替えたんです。結果、社員の満足度は20ポイント上昇しました。最近ではコロナ禍の背景もあり、動画活用がさらに進んでいます。

 弊社はWeb社内報の『NOW』、紙の『ミルコミ』にも力を入れているので、動画単体というより、それぞれのメディアとどう組み合わせ、連動させるかを考えながら施策を進めています。

 運用方法としてはヤフーさんと同じく、ライブ配信と録画配信の2つです。ツールはMicrosoftのTeamsとStreamを使い分けています。部内のデザイナーが、動画だけでなくWebと紙の制作にも関わっています。

Web社内報、紙社内報と動画をの連動を常に考える
Web社内報の『NOW』、紙の『ミルコミ』と動画をどう連動させるかを考えながらすすめている

登壇者と視聴者の双方向議論が活発化

浪木 動画だからこそ可能になったコンテンツは、どのようなものでしょうか?

下瀬 いくつかありますが、3つに絞ってお話します。

  1. 対話系イベント「わたしのしごと」
    毎回2~3人の社員が登壇して、自分の経歴や身に付けたスキルなどを社員に対してプレゼンする機会があります。コロナ前は社内ホールで開催していましたが、今春からオンラインで配信しています。参加側からするとリアルイベントよりも参加しやすく、登壇者と視聴者の双方向コミュニケーションがより活発化しました。
    例えば会場では手を挙げて質問しづらくてもオンラインならチャットで気軽に発言できることや、仕事をしながら視聴できることから参加者は倍増しました。

  2. 経営メッセージ
    4月に緊急事態宣言が発令され、当社では全社員のほとんどが一斉にリモートワークとなり、先行きの見えない不安感が高まりました。そこで全執行役・執行役員には自宅にて、自分の言葉で社員へのメッセージを撮影してもらいました。
    画質・音質の調整だけで編集しませんでしたが、動画だからこそ、リアルなメッセージをスピーディに発信できたと思います。年に2回、経営層からの情報発信に対する満足度を聴取していますが、指標の1つ「重要な事柄・変化をきちんと従業員に伝えている」が、今回のメッセージ発信もあり直近1年半でもっとも高いスコアになりました。
    社員からはコロナ禍での情報発信に対する感謝の声が多く届き、経営層との距離感を縮め、信頼感を醸成する上で重要なコミュニケーションだったと思っています。

  3. 全社重点施策
    今期から新設したDX推進室のメンバーが様々なTipsを座談会形式で共有する動画です。Zoomで撮影した動画データを編集しStreamに上げています。
    これもリアルなメッセージをスピーディに発信できた施策の一つで、かつカジュアルな雰囲気でスピーカーの人柄も伝えられました。施策の背景にある考え方を地道に伝えることで、全社での文化醸成に繋がると思っています。

稲田 ヤフーから1つ目は「新卒YJ Link」。Zoomを使った対話系イベントです。今年の新卒200人はほぼオフィスに出社していないため、心配した社長からの発案です。事前に社長への質問、社長から新卒への質問に事前アンケートで回答して当日を迎えました。社長は自宅のオープンな場所から登壇し、人柄も見えたのは面白かったですね。

 2つ目は「役員1on1」。ミドルマネジメントの意識改革を目的に、常務が執行役員に対して「リモートワークでのマネジメントにおいて大切なことは?」をテーマに1on1した様子を撮影し、一般社員に公開しました。2人の1on1のZoomにわれわれも参加して撮影をして編集し、映像配信システムQUMUで発信。視聴者は2人の1on1を覗き見している感じの映像に仕上がりました。

下瀬 対話イベントは今後も定期的に実施するのですか?

稲田 2年目社員にもやろうかと検討中です。新卒が後輩として入社しこれから自立というタイミングでリモートワークになったので、先輩に質問しづらいこともあるのではと想定しています。一人暮らしの人を対象にした企画も検討しています。

下瀬 役員の1on1はどのようなきっかけで?

稲田 人事担当常務から、「コロナ禍で働き方が変わり、マネジメント方法を変える必要がある。それをいち早く浸透させるためには、経営層が指示するよりも、執行役員や本部長クラスが自ら気づいて変わることが重要」との話があり、僕らが1on1の撮影を提案しました。

 執行役員がどう変わるべきかを1on1で人事担当常務が引き出し、それを全社員に公開する。副次的効果として、常務は執行役員にコミットさせる目的もあったようです。

下瀬 執行役員からの抵抗はなかったのですか?

稲田 当然あったでしょうが、有無を言わせず「決まったのでご協力お願いします」と(笑)。事前に打ち合わせはしましたが、台本はありません。

視線を合わせて伝えるストレートな思い

浪木 人気コンテンツをご紹介いただくと同時に、お話を聞いている皆さんも実際に動画を見たいとお思いでしょう。差し支えない範囲で拝見させていただけますか。

下瀬 社員の反響やPVから選んだ「人気コンテンツベスト3」を発表します。

株式会社マクロミル 人気動画コンテンツ ベスト3

1位「MVP表彰」

全体で3分ほどの動画。「誰がMVPに選ばれるのか」というワクワク感を醸成しながら、受賞者の入社から挫折経験、成功のストーリーや、お客様からのメッセージで構成。「中には感動で泣いてくれる人もいて作り甲斐がある」(下瀬)。

 

 

 

 

2位「わたしのしごと」
 テーマによっては、参加者がTeamsの上限人数に達することもあり、毎回200名近くが参加。この回のテーマは女性マネジャー。執行役員がファシリテーターになり3人が登壇。約1時間のうち、3人が自分の経歴をスライドで説明しつつ、マネジャーになってどうかや不安はなかったかなどを本音で話した。

 

3位「社内DX推進PJT」

 社員一丸となってDXを推進していくため、Tipsの紹介動画シリーズを週1回、Web社内報で配信。今期から立ち上がったDX推進室のメンバーが中心となり、リモートワークで快適な環境を構築するコツや、WebMTGのマナー等を語る。Web社内報にアップ後、たった1日で週のPV1位を獲得するほど人気が高い。

稲田 全部見てみたいですね。DXとMVPは編集でかなり演出しているようですが、そこまでやる意味合いは、どのように考えていますか?

下瀬 動画は基本的に作り込まなくて良いと思っていますが、MVPなど社内でしっかりとブランディングしたいものには力を入れています。作成した香盤表*を基にデザイナーが数日で制作してくれました。またDX推進室の動画について、初回は編集に数時間かかりましたが、今はアルバイトさん等にも編集の仕方を共有し、編集可能な人数を増やしています。 
*香盤表:撮影本番に向けて、事前に作られたスケジュール表の一種。シーンごとの登場人物や必要な衣装、小道具などが事細かく書かれている。撮影を円滑に行うための重要なアイテム。

稲田 では、ヤフーも3本ご覧いただきます。

ヤフー株式会社 人気動画コンテンツ

■「全社朝礼」

 月1回、ライブで6,000人の社員が視聴。経営層からのメッセージとトピックス。上期は特に働き方系のメッセージが多数。インタラクティブな機能(ライブアンケートツール)を導入し、視聴者がリアルタイムに質問を掲示板に投稿でき、社員がいま何を聞きたいかを可視化。毎回2~300件の投稿があり、60分の朝礼のうち最後の5~10分は社長が5~6問選び回答する時間。社長着用のヤフーパーカーは、視聴者から「購入希望」の投稿により販売が決定。リモートワークで帰属意識が薄まる懸念がある中、自宅で会社ロゴを身に着けることはその解消に役立ち、売れ行きは6,000枚以上にのぼる。

 

■「役員1on1」

 7人の執行役員や本部長それぞれがリモートワークでの新しいマネジメントのスタイルを語り好評。同時に常務の本間 浩輔は『ヤフーの1on1部下を成長させるコミュニケーションの技法』(ダイヤモンド社刊)を出版しているが、そこに書かれた内容をリアルに見たことで「相手から引き出す質問の仕方が参考になった」という感想が社員から多数寄せられ、さまざまな観点の効果があった。

 

■「新卒YJ Link」

 社長からの質問「皆さん楽しめていますか?」に対し、新人が「サボっていると思われないか心配です」と答える場面も。社長は「試行錯誤する中で、コロナ第一世代である皆さんは重要な世代」とエールを送った。

稲田 リアルイベントと違う点は、全員が比較的リラックスして話していることと、カメラ目線なので視聴者は自分に話しかけられている感があることです。広いイベント会場の中では自分と目が合うことはないので。これは新しい発見でした。

動画だからできることの精査と活用

浪木 コロナ禍を受けて動画社内報はどう変わり、今後どのようなことにチャレンジしていきたいですか?

稲田 今までと違ったものを広報できるチャンスだと思います。まだまだできることはたくさんあります。映像はテレビ、YouTube、動画のコンテンツサービスが溢れているので、あまり作り込んでも逆に演出で冷めてしまうかと。生感・リアル感を大事にして社員に届けることだと思います。

 今後チャレンジしようとしていることは、映像でしか表現できないプラスα、つまり3D、VR、ARを使用し、現実にはないことを起こしてしまうほどのリアルな演出です。海外の事例を見ても、非現実的なものをバーチャルで伝えることが可能になっています。映像でできることは突き詰めてみたいと思っています。やり過ぎは興ざめしてしまうので、バランスが難しいですが、映像を見慣れた社員には特別感や驚きを与えることもしてみたいです。

 もう1つは外向け予算の有効活用です。戦略発表会や商品・サービスの発表会での設備をそのままインターナルにも使わせてもらう。しかも外向けよりも先に社内用に撮影させてもらえないかと考えています。

下瀬 コロナ禍を受けての変化ですが、動画数が一気に増え過ぎてしまい、受け手もすべてを見切れていない状況があります。例えば弊社では7月に新しい期が始まり、各事業部からの方針発表を動画で共有しましたが、正直なところPV数はあまり伸びていません。今後は動画で発信するべき内容か否かを精査し、メールやラジオ(音声)などの手段も選択肢に入れ、発信していきたいと思います。

 今後チャレンジしたいのは、「音声」もメディアの1つとして有効な状態に育てることです。最近、社内ラジオ「NOW ON AIR」を始めました。まだ3回しか行えていませんが、社員からは「ながら聞きができて動画より良い」と好評です。リモートワークをする一人暮らしの社員にもニーズがあるのではと思っています。リスナーの認知拡大のために、社員のパーソナリティ起用や、出社できていない新卒とのコミュニケーション機会設定など、全社的に関心度の高いテーマを選定するなど工夫しながら、紙・Web・動画・音声という4つのメディアを活用できる状態にしていきたいと考えています。

浪木 リアルなメッセ―ジをスピーディに発信することで経営に対する満足度や信頼感が上昇する実例、たくさんのノウハウ、また貴重な映像も見せていただきました。今日はありがとうございました。


[両社の事例発表もぜひご覧ください

 

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