新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、社内報制作の現場でもリモート取材の導入が進んでいます。1人に対するインタビュー、複数人で行う座談と、どちらも話を聞くことはできるし、録音も可能なのですが、問題は写真。インタビューカットはパソコンの画面をキャプチャするという方法が現状での最善策ですが、仕上がりがイマイチ……。この問題を少しでも改善できないものか? と、社内報ナビ編集部で実験してみました。
目次
あらためて考える「自然なインタビューカットとは?」
改善策を考えるにあたり、まずは「自然なインタビューカットはどういうものか」を、改めて考えてみました。
[自然なインタビューカット] ※一般的なカットの前提
① 身体の大きさは、ウエストアップからバストアップくらい。向きは、少し斜め。
② 顔のアップというのは、あまりない。
③ 背景がすっきりしているか、ぼかして、被写体に焦点を合わせている。
④ 暗すぎず、明るすぎない適度なバランス。
⑤ 企画に合った表情(笑顔、真剣なまなざし、など)。
①と②は連動していて、企画意図に沿って敢えてアップにするケースはあるものの、一般的なインタビューカットはウエストアップからバストアップくらい、ではないでしょうか。また、体は正面よりも、少し左右どちらかに振り、視線をカメラから外している方が、インタビュー中の写真らしくなります。
③は、対面での取材のときには、写り込まないほうがいいものは取材開始前に移動しておきます。
④は、暗い場合は画像補正である程度明るくできますが、明るすぎると調整が難しくなるので、テスト撮影で確認してから本番に臨みます。
⑤は、企画とデザインを踏まえて、必要な表情を撮るようにします。
上記は、リアルな取材時の撮影の基本となるので、ぜひ覚えておいてください。
Web会議システムを使ったリモート取材での見え方の特徴
次に、Web会議システムを使ったリモート取材での画面の見え方をまとめてみます。上に記した[自然なインタビューカット]の番号とリンクさせたので、比べてみてください。
[Web会議システムを使ったリモート取材での画面の見え方]
① 身体の大きさは、人によってまちまち。バストアップ、ウエストアップなど、個々で違う。ほとんどの人が正面向き。
② 顔がかなりアップの人もいる。
③ 背景は参加者によりバラバラ。
④ 画面の映り具合は、明るい人もいれば暗い人もいる。
⑤ 表情も人それぞれ。
リモート取材の場合、会社から参加する人、自宅から参加する人など、背景や採光状況がさまざまで、さらには、デスク・PC・話者の位置関係、使用するカメラもノートPC内蔵のものやWebカメラなど人それぞれといったこともあり、一人ひとりの見え方は、どうしても統一感を欠くことになります。さらには、カメラに向かって話すため、全員が正面を向いているという、リアルな取材ではあり得ない状況が基本となります。
リモート取材でも自然なインタビューカットを撮るコツ
では、リモート取材で、できるだけ自然なインタビューカットを撮るためにはどうしたらよいのか? 社内報ナビ編集部では、「顔の大きさと体の向きの調整」に着目して実験をしてみました。
【調整ポイント】
- カメラ(PC内蔵ならPC)から少し距離をとってもらい、顔の大きさ、体の大きさを調整する。(バストアップやウエストアップなど、ほしい画像に合わせて)
- カメラ(ノートPC内蔵、Webカメラとも)が目の位置に来るよう、高さ調節をしてもらう。方法は、本や箱などの上にノートPCを置く、パソコンスタンドを使うなど。事前に依頼しておくとスムーズに運ぶ。
- カメラ(同上)の角度を調整
下から煽り気味または上から俯瞰気味に映っていたら
→ノートPCの開き具合やWebカメラの角度を調整してもらう。 - 位置のセットができたら、「身振り手振りを交えながら話す」ことを、下記A)~C)のパターンで各10秒くらいやってもらう。この時、「ほしい表情」もお願いする(「笑顔でお願いします」「真剣な表情で」など)。
A) 正面を向いてカメラ目線
B) 体を少し右向きに。顔も正面は向かない(カメラ目線にしない)
C) 体を少し左向きに。顔も正面は向かない(カメラ目線にしない)
リモート取材時は、インタビューがひと通り終わった後にキャプチャ撮影タイムを設け、取材対象者が大きく映し出されるモードに設定したうえで、上記の調整を行います。
座談会の場合の写真は、「参加者の顔の大きさを同じくらいにそろえる」ことも加味してみてください。また、参加者により背景が違うことに違和感がある場合は、切り抜きで使用するデザインを検討してみてもよいかもしれません。
取材対象者に協力してもらいながら、クオリティを上げていこう
実験してわかったことは、自然なインタビューカットを撮るためには、取材対象者の協力が必須、ということでした。スムーズな進行のために、事前に必要事項をお伝えし、理解をお願いしましょう。
また、取材の様子は必ず録画しておきましょう。最初に書いたように、インタビューカットは、画面キャプチャから作ります。録画しておけば、取材終了後に録画データを見て、良い場面で画面を止めて、キャプチャを撮ることができます。
「リモート取材に不慣れで画面のモード設定が不安」「思ったような設定で録画できているか心配」という場合は、「取材中にキャプチャを撮り、その場で確認しながらほしいカットを撮っていく」という方法もあります。
新型コロナウイルス感染防止を機に働き方の多様化が進み、在宅勤務の人を取材する、あるいは自宅から職場にいる人をリモートで取材するという機会が増えると思われます。加えて、リモート取材なら、時間節約と経費削減をかなえながら遠方の人を取材できるというメリットもあります。
このようなことから、今後定着していくであろうリモート取材。写真問題も工夫を重ねて、少しずつクオリティを上げていきましょう! 今回の実験では明るさの調整や背景問題は解決に至りませんでしたが、社内報ナビ編集部では、今後も課題を乗り越える方法を模索していきます。
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