新型コロナウイルス感染症防止策として、テレワークを実施する企業が増えています。働き方改革の施策として、また東京2020開催に向けて、テレワーク導入増加の動きはありましたが、不測の事態により一気に加速しています。
テレワークにより感染リスクから距離を置ける一方で、「通常通りの社内報の発行は無理そう」「ページを減らさなければ対応できそうにない」など、お困りの社内報ご担当者もいるようです。そんな皆さまの悩みを解消するために、テレワークでもスムーズに社内報を発行するノウハウを考えてみました。
(インターネット環境がある中で在宅勤務をする前提での内容となります)
目次
編集会議から印刷入稿まで、テレワークでの対応策
突然、会社からテレワークを指示されたら、業務をいかに遂行するか、戸惑ってしまいますよね。ですが、在宅勤務により共に働く同僚の顔が見えにくい状況だからこそ、社内報をしっかり発行してインターナルコミュニケーションを活性化していきましょう!
ではその具体策です。社内報制作の流れをざっとまとめると、
② 依頼(寄稿または取材)
③ デザイン
④ 校正(取材先への確認も。必要に応じた相手と・必要に応じた回数)
⑤ 入稿~印刷・色校正・配送
⑥ 発行
となります。
テレワークでこれら各工程を進めるには、どのようなツールを使って、どう行えばよいのでしょうか? 工程ごとに考えてみましょう。
① 企画立案・編集会議 → Web会議を活用
事前にアジェンダや各自の企画案を編集会議参加者にWebで共有し(メールやチャット、ファイルサーバ、ファイル転送サービスなど)、目を通しておくことで、会議を効率よく、短時間で済ませることができます。
最終的な企画決定の取りまとめを編集長が行うなら、結果を社内SNS、ビジネスチャット、メールで報告。再度メンバーで詰める場合はWeb会議を開催。
〈スケジュール組みの注意点〉
取材相手や寄稿者など、制作にかかわる人々がテレワークとなっている可能性が高いです。お互いが不慣れな環境で作業していることを理解しあった上で、進行できるスケジュールを組むようにしましょう。すでに制作が進んでいる場合は、臨機応変にスケジュールを組み直して柔軟な対応を心がけましょう。
〈印刷社内報を、社内で配布している企業の注意点〉
新型コロナウイルス感染症拡大の防止策としてテレワークが拡大・期間延長される場合、紙の社内報を社内で配布しても誰も出社していない、ということが起こり得ます。そのケースを想定して、PDFで配布するのか、印刷会社の預かりにするのか(対応の可否と、料金について要確認)など、判断時期も含めて編集会議で決めておきましょう。
② 依頼→メールやビジネスチャット、電話で依頼。回収はメールで
※写真については後述をご覧ください。
- 寄稿 → 依頼から原稿回収まで、通常通り対応できると思います。
- 取材 → Web会議ツールを活用
取材依頼は通常通り、メールと電話で対応可能。「でも、実際のインタビューができない」と思う方が多いようですが、緊急事態と割り切って、「電話取材」「Web会議取材」を検討してみてはいかがでしょうか。不慣れによる不安があるとしても、次のようなメリットもあります。
(1)遠方取材も申し込みやすい
……交通費、移動時間ともに節約できる
(2)アポイント調整が容易
……取材場所の考慮不要、正味の取材時間だけの拘束で済む
(3)取材に便利な機能が活用できる
……録音・録画機能や画面共有機能など、Web会議ツールには取材便利な機能が実装されていることが多い
社外の人への取材は少しハードルが高くなるかもしれませんが、コロナ禍によりリモート取材への理解が進んでいるので、トライしてみる価値はあります。
◆自宅など安全な場所にいる場合は、できればマスクを取りましょう。こちらの表情が伝わって、相手もリラックスできます。
◆対面に比べて傾聴の様子が伝わりにくいので、「なるほど」「おぉ!」など、「あなたの話を聞いていますよ」という思いを声に出すようにしましょう。
◆対面インタビューより、話すスピードはゆっくりと。通信環境や使用するデジタルデバイスによっては、音がクリアに聞こえない場合があります。ゆっくり話して相手の理解を促しましょう。
原稿作成は、これまで通りPCのワープロソフトを使って行います。リモートワークの影響はゼロと言っていいでしょう。
③ デザイン → 従来通り
メールやサーバ、オンラインストレージサービスなどを使って、制作会社やデザイナーとやりとりするのは、出社時と同様です。
④ 校正(取材先への確認も。必要に応じた相手と・必要に応じた回数)
- 社内確認、社内の取材対象者への確認→ 従来通り
- 校正 → PDFなどのデータで確認
プリントアウトして校正作業をしていた方は不便に感じるかもしれませんが、社会全体でペーパーレス化が進む中で、取り組み方を変えるチャンスととらえてチャレンジしてみましょう。
⑤ 入稿~印刷・色校正・配送 → 印刷会社や制作会社に確認を
入稿は従来通りで対応可能。色校正の確認方法は、印刷会社や制作会社に確認を。配送対応を含めて印刷会社のBCP対策も聞いておくと、今後の参考になります。
⑥ 発行 → 編集会議で決定した対応に
「① 企画立案・編集会議」に記載したように、先に対応を決めておきましょう。
※Web会議、社内SNS、ビジネスチャットなどについて。自社で導入済みのシステムがあり、テレワークでも出社時と同条件で業務が可能な場合は、そちらをご活用ください。
※自社で導入されていない場合、または出社時と同条件ではテレワークができない場合は、専用のアプリをご活用ください。無料かつ高機能のアプリが多数あります。ただし、セキュリティ面等を重々検討の上、会社の了承を得た上での利用をお勧めします。会社から禁じられているツールは利用しないよう、ご注意ください。
最大の問題となるのは「写真」。これも工夫次第で解決できる!
さて、テレワークの社内報制作における最大の問題は、写真です。Web会議ツールでインタビューはできますが、画面に映る姿はあまり鮮明ではありません。もしも「写真は、Web会議での取材中に画面に映る画像をキャプチャして掲載します」と言われたら、大抵の人は嫌がるのではないでしょうか。ではどうするか? ここはインタビュイー(取材相手)に協力をお願いしましょう。
●個人写真
ご家族に撮影していただく、または自撮りした写真を送ってもらいましょう。自撮りの場合、三脚とカメラのタイマー機能を活用すれば、背景や表情など、取材対象者が納得いくまで撮り直しができます。三脚代わりになる台などにスマホを据えて、タイマー機能を使って撮ることもできます(多くのスマホにタイマー機能が搭載されていますが、全機種というわけではありません。事前に機能をご確認ください)。
●職場での写真
後日、出社したときに撮影して送ってもらうようお願いしてみましょう。出社日の予定が立たない場合は、イラストやイメージカット、図やグラフで代用できないかを検討してみるのも一案です。
■トップインタビュー
企業のトップに個人写真の提供を依頼するのは難しいかもしれません。その場合は、公式サイトに載っている画像を使う、過去に掲載した写真を流用するなどして乗り切りましょう。今後、撮影する際には、不測の事態に備えていろいろな角度、表情の写真をストックしておくことをお勧めします。
未来型の社内報づくりに着手する
テレワークでも社内報の制作は工夫次第で進められることを、お分かりいただけたでしょうか。不慣れな環境に戸惑いはあると思いますが、臆することなく、そしてこんな時だからこそ、会社と社員、社員と社員を結ぶ情報インフラとして、社内報を有効活用しましょう。
日本が健康を取り戻した先には東京2020開催が控えており、テレワークは今後も拡大・定着していくことが予想されます。テレワークが当たり前の社会において、いかに社内報の発行を継続し、インターナルコミュニケーションを醸成していくのか――。図らずも、新しい働き方にマッチした社内報制作に着手する時機がやってきました。社会を取り巻く重たい空気をかき分けて、未来に向けた社内報の制作体制を作っていこうではありませんか!
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