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エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社 大阪に本社を置く流通グループ。阪急百貨店、阪神百貨店などの百貨店事業や製造、加工から食品スーパーでの販売・宅配などの食品事業を核とし、さまざまな事業を展開しています。社員数は約8,000人、パート・アルバイトを含めると約24,000人が在籍し、関西を中心に地域に根ざした事業を展開しています。 |
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「うめラボ」~うめだでコラボレーション~ エイチ・ツー・オー リテイリング㈱の本社オフィス内(大阪・梅田)に設けられた、グループ従業員の共創を目的としたコラボレーションスペース。大型モニターや可動式のテーブル・椅子を備え、事業紹介や学びの場、交流イベントなどを通じて、部門や事業会社を越えた対話とつながりを育んでいます。 |
大阪に本社を構えるエイチ・ツー・オー リテイリング株式会社。その本社オフィスの中心に、同じグループ企業で働く仲間たちがふらっと出会い、自然なつながりが生まれるコラボレーションスペース 「うめラボ」があります。そこでは、『うめラボフライデー』と呼ばれる、グループ内のさまざまな事業会社の従業員が集う取り組みが、定期的に開催されていました。今回、社内報ナビ編集部は大阪にある同社を訪問し、実際に『うめラボフライデー』を見学。ここでインターナルコミュニケーション(IC)を担うチームの皆さんにお話を伺ってきました。
多様な事業・多くの社員を抱えるグループにおいて、いかにして「従業員同士が出会う場」を設計しているのか。大阪発・大規模グループならではのリアルな実践例として『うめラボフライデー』の取り組みに迫ります。

「あの人、何をしている人なんやろ?」が、次につながる一歩になる
百貨店、食品スーパーマーケット、商業施設など、多様な事業会社を擁する同社オフィスの中心にあるコラボレーションスペース「うめラボ」は、事業会社の垣根を越えた交流を生み出す「リアルな場」として、着実に存在感を高めています。
ICを担うチームは、この場の役割をこう表現します。
「部署や会社が違っても、“あの人、何をしている人なんやろ?”と思ってもらえたら、それが最初の一歩だと思っています」
オンラインで情報が届く時代だからこそ、あえて「リアルな場づくり」に力を入れる。その理由は、グループならではの課題感にありました。
『うめラボフライデー』は、なぜ生まれたのか
オフィス移転から始まった、共創の実験
「うめラボ」は、2022年のオフィス移転プロジェクトの中で構想されたスペースの名称。単なるフリースペースではなく、「会社や部署の違いを越えて、人と人が交わる場所」を象徴的につくることが、当初から意図されていました。
しかし、場所を作っただけでは交流は生まれません。
立ち上げ当初は、一人の担当者の熱量に依存してイベントを回しており、継続性や広がりに課題がありました。
「“その人が異動したら続かへん”という状態は避けたかったんです」
そこで2024年度から、インターナルコミュニケーション推進部を中心としたプロジェクトチームが正式に引き継ぎ、「個人任せではなく、組織として運営できる体制づくり」へとかじを切り、グループ全社を巻き込んだイベント『うめラボフライデー』が誕生しました。
大切にしているのは「参加のハードルを下げる」こと
立ち見もOK。途中参加・退出も自由
『うめラボフライデー』の大きな特徴は、参加にあたって構えなくて良い点です。
- 途中参加・途中退出OK
- 立ち見もOK
- 拠点が複数あるため、遠隔拠点からはリモート参加もOK
- ランチタイムなのでお弁当を食べながらの参加もOK
- プレゼンではなく、対話を重視
スペースはフロアの中央にあり、通りかかるだけで様子が目に入ります。
「選ばれし人だけが来るイベントにはしたくなかったんです。ふらっと来て、気になったら聞いてもらう。それでええねん」
この「ふらっと立ち寄れる設計」が、参加の心理的ハードルを大きく下げています。参加者にとっては、「ちょっと役に立つ話を聞ける場所」として機能しています。
『うめラボフライデー』が生む、ゆるやかな循環
手挙げ文化は、声かけから始まった
『うめラボフライデー』は、テーマとして
- 事業・人物紹介
- 学び・リスキリング
- マーケティング
- 交流会
の四つを軸に、企画が行われています。
イベントの登壇には、立ち上げ当初から自然に手が挙がったわけではありません。

「最初は、私たちから“このようなテーマだと参加者に喜んでもらえるのではないか”もしくは“魅力を伝えられるのではないか”と思う会社・部署に、一つひとつ声をかけて回っていました。例えば、食品事業会社の試食会を外部に依頼する代わりに、うめラボフライデーで実施すれば、多くの社員から率直な意見が集まります。“それ、うめラボフライデーでやりませんか?”と声をかけてみます。」
そんなふうにして開催された『うめラボフライデー』の登壇の様子を見た参加者が、次は自分たちもやってみたいと手を挙げる。そんな循環が、少しずつ生まれています。
「一回見てもらうと、“それだったらうちもやりたい”って言ってくれるんですよね」
部署を越えて運営する、プロジェクト型IC
IC × MR × IR が交わることで、情報は“点から線”になる
運営はインターナルコミュニケーション推進部が中心となり、メディアリレーション、統合レポートなど、異なる役割を担うメンバーによるプロジェクトチームが担っています。2週間に1度のミーティングで、テーマや反応、次の展開を共有しています。
「それぞれが持っている接点が違うからこそ、それを持ち寄ることで、コンテンツの広がりが生まれています」
この体制が、社内報や統合レポートなど他の施策との自然な連動を生んでいます。
『うめラボフライデー』がハブとなって生まれる「共創」
内容は、登壇する側の都合ではなく、「聞く人にとって何が一番役に立つか」を起点に、組み立てています。その結果、部門や社内外の枠を越えた「共創」が、自然に生まれています。
例えば、保険代理店事業を担う事業会社の回では、「保険の話だけでは分かりにくい」と考え、福利厚生を所管する人事部門も登壇に加わりました。制度を組み合わせて説明することで、社員一人ひとりが自分ごととして考えやすい内容へと再設計されました。
また、持ち株制度をテーマにした回では、社内の法務部門に加え、外部の証券会社と連携。投資の基本から解説することで、制度理解にとどまらない実践的な学びの場となりました。
「持ち株の話だけでは興味を持ってもらいにくい。それなら、今注目の投資についても一緒に話してもらおうという発想でした」
社内と社外、異なる専門性を掛け合わせることで、一方通行ではない価値づくりが実現しています。

「参加して終わり」にしない、熱量を育てるアフターフォロー
2024年度は年間で約1,000名が参加。2025年度は上期だけで同規模に達するなど、参加の裾野は着実に広がっています。
一方で、ICチームが重視しているのは数字だけではありません。イベント後、その日のうちにお礼メールとアンケートを送り、参加者の感想や意見を丁寧に集めています。
それにより
- 他事業への関心が高まるなどの意識の変化
- 「グループにこんな会社があったのか」という声
- イベント後に生まれる個別の相談やコラボレーション
といった手応えも感じられました。

「一回つながると、次は声をかけやすいんですよね。顔が見えてるって、やっぱり大きいです」
“終わったあと”を大切にすることで、一過性の関係では終わりません。
情報は、届け方を使い分ける
開催の情報は、「うめラボ」内の大型モニターで常時表示しており、加えてメール配信、PDF報『H2O通信 Monthly』や「社内報アプリ」を使ったWeb社内報、館内サイネージなど、複数のチャネルを使い分けて発信しています。『H2O通信 Monthly』は、PCやスマートフォンを支給されていない店舗の従業員にも情報が届くよう、社員出入り口や更衣室、食堂などへの掲示も行っています。
「見ている人は全員じゃない。だからこそ、どう広げるかはずっと課題です」
誰に、どの手段で届けるのか。
受け手の働き方や環境に合わせて届け方そのものを設計することが、今の成果につながっていました。
次のフェーズへ。メッセージを、どう全社員に届けるか
社員約8,000人、パート・アルバイトを含めると約24,000人規模のグループにおいて、トップメッセージを含む重要な情報を、いかに全社員に届けていくかは大きなテーマです。社長自身も、Web/アプリ社内報を通じてメッセージを発信することに積極的であり、ICチームへの期待は高まっています。
一方で、物理的・時間的な制約から、イベントや情報に触れられていない人がいるのも事実です。

「せっかく良い取り組みをしているので、うめラボフライデーのイベントに来られない人にもどう届けるかは、次のフェーズだと思っています」
日々の地道な取り組みを積み重ねながら、ときには大規模な施策で認知を広げる。その両立をどう実現するか。リアルな場としての価値を守りながら、どのように広げていくのか。
『うめラボフライデー』は今、日々の実践を重ねながら、次のフェーズへ歩みを進めています。
取材を終えて──多様な組織を前にした、ICの現場で感じたこと
多様な事業や働き方、離れた拠点を持つグループ企業において、ICを機能させていくことは、決して簡単ではありません。
エイチ・ツー・オー リテイリング㈱には、グループ内の従業員が集まり、対話が生まれるハブとしての『うめラボフライデー』があります。けれど、その価値を支えているのは、ICチームによる地道で、アナログな取り組みの積み重ねです。
来られない人をどうフォーローしていくのか。
誰に、どう届けるか。
日々考え、工夫を重ねる姿勢が、取り組み全体の土台になっています。多様な組織をつなぐために必要なのは、特別な仕掛けよりも、こうした日常の丁寧なコミュニケーションなのかもしれません。その姿勢には、規模や業種を問わず、多くの企業が参考にできる学びがあると感じました。
次回は、実際に見学させていただいたイベント『うめラボフライデー』の様子をレポートします。
どうぞお楽しみに。

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