社内報ご担当者が常に抱えている悩み、それは企画のネタ探しではないでしょうか。「自社の従業員に興味を持ってもらえる企画とは?」「他社ではどんな企画を立てているのだろう」と考え続けるご担当者も多いことでしょう。
そんな皆さまに社内報企画のヒントにしていただこうと、弊社が開催している「社内報アワード」に寄せられた数多くの企画事例を、ジャンルごとに厳選してご紹介します。貴社の社内報をより一層充実させるために、参考にしてください。今回のテーマは「経営戦略」です。
グローバル・ビジネス特集
(日清食品ホールディングス株式会社/グループ報『KITCHEN OF THE EARTH』)
企画
特集(30ページ)/常設・連載/表紙
実施目的
目的は「グローバル人材の育成」。そこに至る背景は次の2点。
①2021年度に新たな中長期成長戦略が始まり、利益ポートフォリオを大きくシフトし海外事業の比率を30から45%に引き上げると表明されたこと。
②役員にヒアリングした結果、グループの課題として「グローバル人材の不足」が上位に挙げられたこと。
『KITCHEN OF THE EARTH』は、インターナルコミュニケーションを通じてグループの戦略を浸透させる「経営サポートツール」と位置づけていることから、若い社員たちの『海外に出て活躍したい』という意識を醸成する特集が必要と思い、本企画を立案した。
読者ターゲット
20~30代の若手社員
内容
複数回掲載の特集企画として展開するにあたり、次のように設計した。
①若手社員のグローバルを志す意識を一年かけて醸成する。
②「人」を起点にして、グローバルに対する若手の興味をひく(認知・理解から、共感・行動へ)。
③CEO、各地域の担当役員、現地社長、駐在員、現地スタッフと様々な方々に登場していただき、多くのレイヤーの話をまとめ、記事の内容に厚みを持たせる。
④現地社員も多く登場させ、現地の雰囲気をストレートに伝える。
⑤海外駐在経験を持つ社員の座談会などを織り込み、駐在のキャリアが今にどう生かされているのか想像しやすくする。
気を付けたのは、単なる現地報告書にならないようにすること。ビジュアル(商品、CM画像、ポスター、小物画像)を多く出して、目を引くようにしたり、地図や図表を多用して、現地法人の戦略を理解しやすいように工夫した。
イチからわかる!○○グループの「決算・中期経営計画」入門
※○○○部分は固有名詞のため伏せ字にしています
企画
web/アプリ/特集(5回掲載)/常設・連載/表紙
実施目的
組織再編やビジネスモデルの変革など、変革期にある自社グループの取り組みやグループ各社の事業情報をタイムリーに発信し、グループの一体感やシナジー効果を高めるという発行目的に沿って立案。
決算に関しては、決算情報に対する抵抗感を下げ、一人一人の取り組みが必要だという気付きを与えること、決算をわかりやすく説明しグループの現状をきちんと理解してもらうことをねらった。
「中期経営計画」の達成については、中計の達成をグループ各社の従業員一人一人が意識しながら業務にあたり、グループとして一体感のある経営を目指すきっかけとなるよう心がけた。
読者ターゲット
グループの全従業員。具体的には「現状の経営改革に難しさや拒否感を抱いている従業員」「会社が発表する経営資料は難しいと敬遠する従業員」「決算などに興味がない従業員」。さらには、部下にうまく説明する自信がない管理職や、自社グループの事業について学びたいが、何から始めればよいかわからないという従業員。
内容
事前に社内調査をしたところ、決算や中計に対する理解度が50%程度と低いことが判明。そこで、過去に実施した記事形式を再考し、広く理解を図るためにQ&A形式を採用した。「単語や数字に苦手意識がある」「開示資料の解説だけでは難しく、情報不足である」という仮説を立て、ポップなイラストや画像・図解をおりまぜながら、初歩的な説明やを心がけた。動画を記事に組み込んだり、関連記事へのリンクを貼るなど、webならではのメリットも活用。
[流通]
中計達成に向けた取り組み
企画
特集(5ページ)/常設・連載/表紙
実施目的
社内での注目度が高い基幹事業が持続的に成長していく道筋を具体的に説明することで、社員に成長戦略を理解してもらい、会社の将来性を実感してもらう。市場成長に対し生産のキャパシティー不足にある現状とその対策を理解している従業員が少ないことから、対策をけん引する立場の方に具体的に語ってもらい、次期中計に向けて一丸となることを目標とした。
読者ターゲット
30代以下の若手社員
内容
中計の数値目標達成への道筋、次期中計に対しての取り組み内容、将来的に目指しているものという展開になるように構成。最初のパートは、社長が「成果」と「今後の課題」について解説。中計の重みを意識してもらうようにした。次のパートでは、成長戦略を踏まえた新製品開発をテーマに対談を実施。どの部署の社員が読んでも理解できるよう、技術に関する深掘りよりも、人との関わり方、プロジェクトの進め方などの方法論やモチベーションなどが話の軸になるように展開した。
[製造]
「DXを推進する組織は、なくなったほうがいい」本部長 ○○○さんの真意は?
(セイコーエプソン株式会社/『HARMONY』)
※○○○部分は固有名詞のため伏せ字にしています
企画
Web/アプリ/特集/常設・連載/表紙
実施目的
自社の長期ビジョン「Epson 25 Renewed」の実現に向けて、「環境」「共創」とともに重要視しているのが「DX」。今回の記事では、社員のDXに関する理解を深めて、認識をそろえること。ひいては、DXに興味・関心を持ち続け、それぞれの業務に取り入れてもらうことで「変革への一歩」を促すことを目的とした。
読者ターゲット
コアターゲットはリーダー・管理職およびDXの動向に高い関心を持つ社員。サブターゲットは、まだDXにそれほど関心を持っていない社員。
内容
DX戦略本部を牽引する本部長のインタビューを通して、DXの本質を理解してもらう内容にした。まずは読者をグッと引き付けるために、本部長の印象的な一言を添えたサムネイルを提示。インタビューカットも、本部長にフォーカス&ぼかした背景で透明感を醸し出した画像を複数散りばめ、記事への没入感を高めた。また、時間がとれないリーダー・管理職が短時間でポイントを理解でき、DXという言葉に馴染みのない社員でも抵抗なく読み進められるよう、図版や箇条書きを用いた、分かりやすいライティングや構成を心がけた。
グループ中期経営計画特集
企画
特集(13ページ)/常設・連載/表紙
実施目的
2022年3月に発表された中期経営計画について、計画の概要や数値目標など全体像を全社員に周知すること、さらに社員一人一人が目標達成のための基本戦略、実行プロセスを業務へ落とし込み、自分ごと化することを企図した。これまで経営計画はトップダウンで各部門やグループ会社のトップへ伝達するのみで、管理職から先の社員、特に若手社員への浸透ができていないことが課題だった。
読者ターゲット
グループ全社員(コアターゲットは中堅・若手社員)
内容
これまでの課題を解決するために、全3回で新中計への理解を深め、共感を促すように企画を設計。単なる中計の詳細解説ではなく、社長や部門のトップ自らが進める浸透策を提示する内容にした。
1回目は、新中計の全体像、把握すべきキーワードを視覚的に認識できるように構成。2回目は、社長と部門トップが各拠点に出向き開催するマネジメント向けの説明会のポイントや質疑応答、今後の展開計画を周知。3回目は、その後開催された社長と若手社員とのライブミーテイングの報告を行った。
[建築]
2023年度新経営体制 ○○社長メッセージ
※○○○部分は固有名詞のため伏せ字にしています
企画
Web/アプリ/特集/常設・連載/表紙
実施目的
2023年度から新体制となり、新社長のもとで新たなステージに進んでいくことになった。社外への発表前に、まずは社内へWeb社内報を使って、2023年度主要組織変更と主要人事異動、執行役員人事を発表するとともに、新社長から社員へのメッセージを発信した。
読者ターゲット
全社員
内容
社員にとっては、経営トップの交代はもちろん、全社的な組織の変更も関心事の高いトピックの一つだ。本企画は、会社が新たなステージに進んでいくための新体制の詳細(具体的にどう組織が変わるのか、新設や位置づけが変わった部門については組織変更の意図)を、社長から説明することで、より一層、経営からの想いや説得力が増すように仕立てた。テキストに加えて動画でのメッセージも発信。経営トップからの言葉を直接社員に伝えることができる点は、社員にとって自社および経営を理解する上でも重要な要素であり、社員のエンゲージメント向上にも直結すると考えた。
[製造]
[編集部Pick Up]
これまでの「社内報 企画のネタ」も参考に。