「社内報アワード」に動画社内報部門が新設されて以来、今年で6年。この部門の応募数は年々増加しています。働き方の変容により、社内コミュニケーションのカタチが変わったこと、YouTubeやTikTokに慣れ親しむ若手社員の登場などにより、社内報をはじめとしたインターナルコミュニケーション(以下、IC)での動画活用は、今や珍しくなくなりました。
今回は、「うちの会社も始めたい」と考えているご担当者に、導入前に知っておきたい基本情報をお伝えします。
動画にもメリット・デメリットがある
動画社内報を始めるにあたり、きちんと理解しておくべきこと。その1つは、ICで動画を使うメリットとデメリットです。印刷社内報やWeb社内報との違いを踏まえて、まとめてみました。
メリット
- ビジュアルと音を使うことで、大量の情報を伝えられる
- つくり手や登場人物の熱量や、働く現場の臨場感を与えることできる
デメリット
- 印刷社内報・Web社内報の記事より、制作に時間がかかる(制作側)
- PCやスマホなどのデバイスがないと視聴できない(視聴者)
(印刷社内報と比較した場合)
また、動画の公開範囲やプライバシー設定にも注意が必要なため、YouTubeの限定公開(※)や、VimeoやJストリームなどプライバシー設定機能の充実した動画プラットフォームを利用する企業もあります。これらのサービスにより、動画を公開するハードルが低くなる傾向が感じられます。
※YouTubeの限定公開は、公開側で検索対象とならず、関連動画として紐付けられないというだけで、例えば動画のURLがSNSなどで拡散すれば誰でも視聴できてしまうため、厳密なプライバシー設定とはいえません。
理解しておくべき2つめのポイントは、企画・制作における基本ルールです。
企画・制作における基本ルール
- 1動画1メッセージ(詰め込みは逆効果)
- ターゲットが絞られている(すべての人向けは、結局誰にも刺さらない)
- 動画の用途(どこで掲載する動画なのかで、構成は変わる)
特別なケースを除けば、視聴者に響く動画というのは「伝えたいことが、わかりやすく、コンパクトにまとまっている」ものではないでしょうか。あれもこれもと詰め込んで長尺の動画をつくった結果、「で?何が言いたいの?」という反応をもらう羽目にならないように注意しましょう。
「企画」と「構成」は、制作の前段階でしっかり設定
さて、押さえておくべきポイントが理解できたところで、次は動画制作の流れです。
このようなフローで完成へと向かいます。この中の、「企画」と「構成」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
※撮影、編集、完成については、別の機会にご紹介する予定です。
動画制作:企画と構成の5ステップ
<企画>
- STEP1:目的やゴールを明確にする
この企画は、何のためにつくるのか? - STEP2:ターゲットと配信先を決める
従業員の中の、どの層に、どの場で発信していくのか? - STEP3:コンセプトを決める
取り扱う題材の、何を伝えるのか?
<構成>
- STEP4:構成を考える(流れをつくる)
STEP1~3を実現するためには、どういう展開が最適か? - STEP5:絵コンテをつくる
構成を具体的に表現するために、どんなシーンが必要か?
企画の中でもSTEP1とSTEP2はわかりやすいと思いますが、STEP3のコンセプト決めはじっくりと考えてみてください。その際に忘れてはならないのが、目的・ゴールとの紐付けです。
例えば、「先輩社員から新入社員へのメッセージ」というのは、企画の概略にはなってもコンセプトにはなりません。「先輩社員から新入社員へのメッセージ」を通して、「自社らしい、フランクな人間関係を伝える」のか、「品質にとことんこだわる、という伝統を発信する」のか。企画を通して伝えたいこと、それがコンセプトです。
次に構成ですが、上記にあるように、STEP1~3を実現するためには、どういう展開が最適か? その大まかな流れをつくります。先ほどの「先輩社員から新入社員へのメッセージ」企画を例に考えてみましょう。コンセプトは、「自社らしい、フランクな人間関係を伝える」とします。
例:
① 「先輩社員からのメッセージ」タイトル画面
② PCに向かって仕事をする○○さんが、顔を上げて
③ 「今年入社か? 俺、釣りが趣味なんだ。今度一緒に行こうよ」と語りかける。
④ 「いきなりのお誘い!?」とテロップ
⑤ 「うちの会社は、みんなそんな感じ。・・・・・・・・。おーい、□□□□さん!」とインタビューに答えつつ、□□□□さんに呼びかける○○さん。
⑥~⑨ □□□□さんコメント&インタビュー→別の社員へ、と5名ほど展開
⑩ カメラに向かって登場者全員の笑顔と、新入社員へ「ようこそ」的なメッセージ
いかがですか? どんな映像になるか、なんとなくイメージできませんか? 「でもこの構成を絵コンテにする? 難しそう」というときは、ネットでリサーチし、ヒントになりそうな動画をお手本にチャレンジしてみてくださいね。手書きはもちろん、フリー素材などの写真を使っても、もちろんOKです。流れがわかればいいのであって、決して“上手な作品”が必要なわけではないので、焦らずに!
5W1H1Cで、事前の準備を万全に
ちなみに、企画と構成は、動画制作前に決め込んでおくことです。印刷の社内報もWeb/アプリの社内報も同様ですが、動画社内報も、いかに準備をしっかり行うかが、完成時のクオリティに大きく影響します。
次に挙げる「5W1H1C」は、事前準備に必要な内容をわかりやすくまとめたものです。前段で述べた企画と構成にがっちり紐づく内容もありますが、つまりそれほど重要だということです。
5W1H1C
- Why:目的=「企画」のSTEP1
- Who:ターゲット=「企画」のSTEP2
- What:メッセージ=「企画」のSTEP3
- Where:場所(媒体)
社内イントラ、Web社内報内、オンライイベント、リアルイベントなど、発信場所は明確にしておく(発信場所により、構成や動画の長さが変わることがあるため) - When:撮影日(公開日)
制作スケジュールを建てる上でも明確にしておく - How long:動画の尺
Why・What・Who・Whereに適した尺を設定 - Call to action:視聴後の行動
どんな行動変容につなげたいかを明確化
スタート後に最も大切なこと、それは……
ここまで、動画社内報を始める際の基本的な情報をお伝えしてきましたが、いざスタートしたら何より気にかけてほしいことがあります。それは、更新頻度です。動画社内報で成果を上げている企業のご担当者に話を聞くと、「立ち上げ当初は、週1更新をマストにしていた」というケースがとても多いのです。
その理由は、「動画社内報が始まった→更新される→見る」という、編集側(担当者)と視聴者(つまり社員)側双方の習慣づけが必要だから。「完成度よりも、スタート当初は更新頻度を重視すべき。続けるうちに動画の制作スキルは磨かれていくものだから、まずは更新すること」とのことでした。
今回は、動画社内報を始めたい方に向けた、スタート準備編としてお届けしました。動画社内報では長編大作より、業務の合間に見ることができる短尺な企画が好まれる傾向があります。撮影や編集といった作業は、慣れるまでに苦労が多いかもしれませんが、短尺な企画を繰り返し制作・更新することで、次第に手応えを感じるようになるといいですね!
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