社内報制作では、取材や原稿作成を外部委託するケースも多いはず。ライターには、どのように依頼をすればよいでしょう? 取材当日の役割分担は? 良い記事を書いてもらう秘訣は? 仕事を受ける立場である、現役ライターの皆さんに「本音」を聞いてみたら、「良い原稿にしたい!」という思いがいっぱい出てきました。その声に耳を傾けて、上手に依頼してもっと効果を上げる記事を実現しましょう。
取材依頼時、これだけは教えてほしい!
「仕事は準備が8割」といいますが、取材でも事前準備は大切です。事前準備がきちんとできると、取材当日の進行がスムーズにできます。
- その企業が社内報に求める役割、発行目的、編集方針など、基本的な考え方はまず共有してほしいです。
- 企画の一部分の取材協力だったとしても、その企画全体の意図、読者ターゲット、全体構成や予定レイアウトは知った上で取材したいです。知っているのと知らないのとでは、質問内容や原稿のまとめ方が大きく変わります。
- 取材対象者の簡単なプロフィール、「これだけは押さえてほしい」といった最低限の質問項目などを、あらかじめ伝えていただけると、話がスムーズです。
- 取材対象者が過去に社内報や業界紙、雑誌、会社のWebサイトなどで取材を受けているなら、ぜひ事前に共有してほしいです。きちんと予習の済んでいる取材者は、取材対象者から好印象を持たれ、取材の成功につながるからです。
- 文字数や取材後の進行予定などを事前に把握できる方が、取材の精度が上がります。文字数により取材の仕方や所要時間が変わり、必要に応じて取材前に相談やすり合わせができます。
- 著名人取材の場合、「とりあえずこのテーマならこの有名人に聞こう」ではなく、読者にどんなメッセージを伝えたいかを明確にして、ライターにも伝えてください。そうした編集者の意図に沿った話を引き出すように努めることができます。
こんな取材はやりやすい!
ライターは原稿作成のプロですが、社員しか知り得ない情報は、教えてもらわない限りは分かりません。取材対象者とライターの橋渡しをするのが、社内報担当であるあなたの役割です。
- 取材対象者と社内報担当者の事前オリエンテーションが行き届いていると、びっくりするほどスムーズな取材になり、ライティングに集中できます。
- 取材対象者が、取材当日にプラスアルファの資料やデータを用意してくださることがあります。すごく助かります。
- 取材中に社内用語や専門用語が出てきたとき、社内報ご担当者が軽くでも解説を入れてくれることがあり、とてもありがたいです。
- 取材対象者が口の重いタイプだったとしても、企画主旨や読者ターゲットが明確で、取材に同席する社内報ご担当者が改めてそれを取材対象者に説明くださると、話を格段に引き出しやすくなります。
- 実際に取材してみると、取材意図と合わない話が出てくるケースは、よくあります。そのとき、企画意図に合わせるように無理に話を歪めてしまうのではなく、社内報ご担当者が臨機応変に企画意図を調整してくださると、より自然で力強い記事にできます。
こんな取材はやりにくい!
ここまでにお伝えしてきた「事前準備」と「橋渡し」ができていないと、たとえプロのライターと言えども、取材は難航するかもしれません。
- 企画意図や、取材で引き出したい話が固まっていないまま取材に臨むのは、海図なしで船出するのと同じ。できれば目的地を知って航海したいです。
- インタビューの主導者はライターなのか社内報担当者なのか。ここがはっきりしていないと、取材中に気遣いが必要になってくるので、事前に決めて知らせてほしいです。また、ライター主導である場合は、インタビューをしながら頭の中ではその後の展開を考えているものです。できれば質問などは、インタビュー後にまとめてお願いできると、取材がスムーズに進みます。
- 社内報担当者が思いつきで自分の意見を長々と話し始めてしまって、取材の流れを止めてしまったことがあり、立場上、割って入るのも難しくて困りました。取材対象者の方が苦笑まじりで助け船を出してくださいました……。
良い取材・良い原稿にするための心がけ
ライターは、良い原稿を書くために全力を尽くします。たとえ短時間の取材であっても、事前資料を読むなど入念な下調べをして取材に臨みます。
- 会社情報、事業情報、商品やサービスの詳細などは十分下調べを行います。過去の社内報や過去の同企画記事なども、ライターはぜひ読みたいと思っているものです。差し支えない範囲で、事前にぜひたくさんご提示ください。
- 技術的に高度な内容にスポットを当てるなど難しい取材の場合は、あらかじめ基礎知識に欠けていることを正直にお伝えして、資料などをご提供いただくようにしています。また、取材対象者の方にも、分かりやすくお話しくださるようお願いしています。読者に分かりやすく伝えるためにも「平易に表現すること」が必要だと考えるからです。
- 取材ではいつも、オリジナルなエピソードを拾えるよう、虎視眈々と狙っています!
- 取材目的と直接関係なくても、個人的な思いや業界の置かれた状況などまで伺います。原稿に深みが出ることが多いからです。
- 自分がその会社の社内報担当者になったつもりで、「会社を良くしたい」「読んだ社員に元気になってもらいたい」という熱い思いで、原稿を書くようにしています。
- コーナーの長期連載など継続するお仕事になる場合は、新聞や雑誌で企業の記事を見つけてスクラップしたり、社内報担当者に「出ていましたね!」とお伝えしたり、その企業ならではの「文化」まで理解しようと努めます。
社内報の取材・原稿作成を行うライターの皆さんの本音、いかがでしたでしょうか。プロのスキルを最大限に引き出すような依頼をして、企画のレベルアップ、記事の訴求力のアップにつなげてくださいね。
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