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なぜ社内報には、発行目的と編集方針が必要なのか

もしも、社内報の発行目的と編集方針が明文化されていなかったら……。地図を持たずに登山をするようなもので、道迷い(目的地に到達できずにウロウロ)や滑落(結果を出す前に廃刊)といった深刻なアクシデントを起こしかねません。また、たとえ明文化されていたとしても、社内報編集部がその内容をきちんと咀嚼・腹落ちできていない場合も同様です。

「わが社の社内報、なかなか効果が現れなくて」という状況に陥っているなら、発行目的と編集方針が本当に自社の組織課題解決につながっているか、今一度確認してみましょう。

組織課題と、それを解決するためには何が必要か?

 社内報を創刊するきっかけは、ある日突然トップダウンで命じられるケースや、社員からの声を受けてなど、企業によりさまざまです。立ち上げの経緯をつぶさに知っているならばさておき、ある日突然、社内報担当を拝命した場合は、社内報を「発行すること」が目的になってしまいかねません。

 でも最も大切なのは、社内報を発行する目的と編集方針です。「自社にはどんな問題があり、それを解決するためには何が必要か」をじっくりと考え抜いた上で発行目的を定め、それを実行するための編集方針を打ち出す。社内報創刊のきっかけは企業によりけりでも、発行のスタート地点はどの企業も共通なのです。
 
 もし現状の社内報の発行目的が曖昧なら、以下枠内を足がかりに、自社の社内報に適している目的を探究してみるのはいかがでしょうか。

発行目的の例

経営層と社員間の相互理解を深める
会社の経営理念・方針、事業戦略を的確に分かりやすく伝えるとともに、従業員に対しては経営層の考えを、経営者に対しては従業員の持つアイデアや考えを伝えることにより、経営層と社員間の相互理解を深める。

 

● 課題解決のための行動を促す
会社が目指すべき方向を明らかにし、目的達成のためには従業員は何を考え、どのように行動して行けばよいかを導き出し、課題解決のための行動を促すきっかけを与える。

 

モチベーション向上とコミュニケーション促進
多くの従業員の考えや、元気に働く姿を丁寧に拾い上げることで、仕事に対する誇りとモチベーションを向上させ、従業員同士の相互コミュニケーションを促進する。

 

公式情報(経営情報、経営戦略など)の共有
経営者や従業員が知るべき公式情報(経営情報、経営戦略など)の共有を進めるとともに、事業の公式記録の収集、保管の一翼を担う。

目的を果たすためのアプローチ、それが編集方針

 次は編集方針の立て方です。編集方針とは、発行目的を果たすための手法、アプローチです。

 具体例を一つ挙げてみましょう。発行目的が「経営層と社員間の相互理解を深める」の場合。この目的を果たすためのアプローチ=編集方針を打ち出すとしたら、一例として、「経営情報に接する機会の少ない20代社員をコア・ターゲットとし、経営者の話を噛み砕いて、分かりやすく紹介する」などが考えられます。

 具体的なイメージが描けない場合は、いったん「目的」「方針」という言葉から離れ、もう少し自由に考えてみましょう。

 例えば、「社内報のありたい姿」「社内報で備えていたい特性」「社内報でやってみたいこと」をブレスト方式で出し合ってみるのです。次のようなシートを使うと、自由で柔軟な発想が出てくるかもしれません。

発行目的・編集方針を考える棚卸しシート
発行目的・編集方針を考える棚卸しシート

例えば……

 being :ありたい姿。抽象的でも構いません。
発行を待ち望まれる社内報
社内で話題になる社内報
会社の文化を変える社内報 など

 having :自社の社内報として具体的に備えていたい特性。
雑誌のようなスタイリッシュなテイスト
新入社員でも初読で理解できる、分かりやすい文章・ボリューム
インパクトのあるタイトルと写真 など

 doing :編集者や関係者がやりたいこと。
たくさんの社員を掲載したい
実際のコミュニケーションにつながる企画
文章力、企画力を上げたい など

 まずは思いつきレベルのキーワードでいいので、社内報担当者の思いを言葉にしてみること。きちんとした文章にするのは、後回しで構いません。

 次に、それらのキーワードが、設定した社内報の発行目的にどう紐づくかを熟考します。being、having、doingはすべて、発行目的を実現するためのアプローチつまり編集方針になるものですから、3つの要素がバラバラでは効果が上がりません。

  下の緑枠内に、「発行目的を設定し、それを実現するための編集方針(being、having、doing)を検討・調整した結果例」を記しますので、参考にしてください。

発行目的と編集方針の一例

■ 発行目的
自社と所属部署、そしてともに働く社員に対するエンゲージメントの強化

 

編集方針(前述したキーワードを発行目的に紐づくよう再検討した結果が、「」の後)

 

 being 
発行を待ち望まれる社内報 読むと元気が出る社内報
社内で話題になる社内報 同僚はもちろん、知らない社員に対しても興味がわく社内報
会社の文化を変える社内報 → 社内に潜むマグマのような情熱を引き出す社内報

 

 having 
雑誌のようなスタイリッシュなテイスト → 自社ならでは雰囲気を醸し出し、他のオウンドメディアと統一感のあるテイスト
新入社員でも初読で理解できる、分かりやすい文章・ボリューム → このままで!
インパクトのあるタイトルと写真 → 取材対象者の人となりがダイレクトに伝わる見出しと写真

 

 doing 
たくさんの社員を掲載したい → 役職や部署にとらわれずに、偏りなく多くの社員を登場させる
実際のコミュニケーションにつながる企画 → 編集部と社員で共につくる
文章力、企画力を上げたい → 表面的ではなく、もうひと掘り・ふた掘りする努力を継続

未来を見据えて、編集方針の見直しを

 社内報の発行目的は頻繁に変わるものではありませんが、編集方針は年に一度の頻度で見直しすることをお勧めします。なぜなら、会社の経営目標も1年ごとに見直されるからです。また、働き方改革や社会情勢などを踏まえる必要もあります。わかりやすい例が、コロナ禍。感染防止策としてテレワークが導入され、定着したことで、社員間に心理的・物理的距離が生まれ、社内報の発行目的達成のためのアプローチが変わったという企業も多いのではないでしょうか。
 
 社内報は経営に不可欠な重要ツールであり、会社の動きと連携しない社内報はあり得ません。会社の現況を把握し、未来のビジョンを描きながら、社内報の発行目的と編集方針を深く、深く、考え抜いていきましょう。


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