企業経営においてインターナルコミュニケーションは重要である、との認識が近年急速に浸透しています。そして、インターナルコミュニケーション施策の要となるのが、社内報です。経営の表舞台に立つ経営層と、陰から支える社内報ご担当者の関係は密接でありたいところ。あなたの会社はどんな関係ですか……?
「インターナルコミュニケーション」を再確認
組織を構成する一人ひとりの従業員が、経営方針を理解し、同僚と同じ目標に向かって邁進し、そのアクションが他の従業員にも波及していく。その結果自社の業績は上がり、従業員は自社に対する誇りを抱くとともに就労条件も良くなり、ますますモチベーションが上がっていく。そんな好循環を生み出すのが、インターナルコミュニケーションです。
人間の体に例えるなら、インターナルコミュニケーションは血管のようなもの。体(=組織)の隅々まで行き渡り、血流が良ければ体は健康になりますが、血液が淀んだり血管が詰まったりすれば血流は悪くなり、その結果、深刻な病に見舞われます。
血流が悪いインターナルコミュニケーションのエピソードを一つ紹介しましょう。数年前のことで す。ある企業の社内報のトップメッセージで、社長が社員に対して暴言を吐いていたことがSNSで拡散され、世間から批判を浴びました。「社長独特の言い回し」であったそうです。
掲載の背景はわかりませんが、社内報のご担当者は、制作段階でこのメッセージを読んだ社員の気持ちを想像できなかったのでしょうか。想像できていたのに、トップに対して表現を変えるように提案できなかったのだとしたら、とても残念です。
トップとコミュニケーション、取れていますか?
とはいえ、程度の差はあっても、こうしたことはどこの企業にも起こりうるのかもしれません。
トップメッセージが社員の理解・共感を得るために必要な一要素に、トップと社内報ご担当者の関係性が近いことがあります。インターナルコミュニケーションの重要性をトップが理解し、その目的に向かって社内報を発行しているならば、トップと社内報担当者の距離はおのずと近くなり、意見し合うことができ、トップメッセージは従業員に伝わるものになるでしょう。
そんな関係性なら、トップメッセージの原稿に気になる表現があれば、「社員のモチベーションを下げる恐れがあるので、少し調整してよろしいですか」と相談することができます。前述したエピソードのような「社長独特の言い回し」をそのまま掲載して炎上、といったリスクも回避できます。
優れたICPはトップとの距離が近い
そもそも、社内報のご担当者のミッションは「社内報をつくること」ではなく、経営層と従業員を結ぶ「架け橋」になって、インターナルコミュニケーションという“血流”を良くすることなのです。経営層あるいは従業員の言い分を一方的に伝えていては、社内のコミュニケーションは淀んでしまうでしょう。「社内報ナビ」で、社内報ご担当者をインターナルコミュニケーションのプロデューサー(Internal Communication Producer =ICP)と位置づけているのは、こういう意図からなのです。
トップとの距離感が近く、インターナルコミュニケーション施策を効果的に行っている企業については、これまで「社内報ナビ」でもご紹介してきました。ICPとして活躍している方々は、経営と従業員を結ぶ仕事に誇りとやりがいを感じ、常にPDCAを意識して取り組んでいます。この姿勢なら、社員が引いてしまうようなトップメッセージを掲載することはないでしょう。
ぜひこの方々の言葉から、みなさんもトップとの距離を縮める必要性を感じてください。そして、トップと従業員双方から頼られる存在となってください! ICPたちの活躍は下記の「編集部ピックアップ」からご覧いただけます。
[編集部Pick Up]
■〈公開座談会〉 ICPが果たすべき役割とは
vol.1「ICPって何する人?」
vol.2「ピンチを乗り越え、前へ!」
vol.3「新たな目標へ向かう!」
■ICの積極活用で理念経営を推進 規模拡大による問題にも対応