前編に引き続き、「社内報アプリ活用で変わる、新たなインターナルコミュニケーションとは」をテーマに開催された公開座談会のレポートをお届けします。後編では、Webやアプリを活用した「読まれる社内報」を作る秘訣についてトークを展開します。さらに、視聴者から寄せられた質問に、参加企業がお答えします。
※座談会本文中は敬称略とさせていただきます。ご了承ください。
■座談会参加者■
株式会社パソナグループ
広報部 副部長
兼 インナーコミュニケーションユニット長
中村 遼さん
広報部
インナーコミュニケーションユニット
シニアリーダー
橋本 優子さん
セイコーエプソン株式会社
広報IR部
インターナルコミュニケーションチーム
伊久美 剛さん
広報IR部
インターナルコミュニケーションチーム
高橋 昂平さん
ルートインジャパン株式会社
CSR推進課
平子 友美さん
広告宣伝課
松橋 直子さん
〈ファシリテーター〉
社内報総合研究所 所長
浪木 克文
Web/アプリ社内報を読んでもらうための工夫
浪木:この座談会を視聴している方々が大きな関心を寄せているのが、閲覧促進につながった運用面での工夫や、人気の企画だと思います。パソナグループではどのような工夫をなさっていますか?
橋本:IT部門の全面的なバックアップをいただき、出社してPCを起動すると社内報の画面がポップアップで表示される設定をしています。また、各拠点や部署の朝礼で、社内報アプリの操作方法の周知や注目記事の紹介をお願いしているほか、新卒・中途入社員の研修でも社内報閲覧の周知をするレクチャーを実施しています。企画面では、やはり身近な人が登場すると閲覧数がアップするので、グループ各社のメンバー紹介の記事を増やしました。
高橋:弊社では、まず社内報への導線を改善しました。全社の共通イントラだけではなく、グループ各社や事業部が持っているポータルサイトに、社内報の入り口となるバナーやリンクを置かせてもらったことで、アクセス数アップにつながりました。企画面では、グループ会社の社員の閲覧率を上げるため、その方々がメインで登場する企画を発信しています。国内製造拠点とそこで働く社員にスポットライトを当てた企画では、オンラインではなく現地で取材し、臨場感を伝えるようにしています。
平子:ルートインジャパンでは、大きく分けて「企画」と「仕様」という2つの取り組みを行っています。「企画」については、「知る」「つながる」「好きになる」という3つのテーマに分けて、伝え方を工夫するようにしています。例えば「知る」では、経営トップの方針などなかなか準社員まで伝わりにくい情報を、わかりやすく噛み砕いて発信することで、準社員にも浸透させることができるよう努力しています。
「仕様」では、タイトルやサムネイルに注力しています。例えばタイトルでは、「会社をもっと楽しむレシピ」や「あの人この人解体新書」など、目を引くように工夫しています。また、キャラクターも活躍してくれています。記事の合間に登場することで、テンポよく読めるようなつくりにしています。
読者アンケートとその活用も重視していて、どのような記事を希望するのか意見を募集し、Webのメリットである即時性を活かして、すぐにその声を企画に反映するようにしています。また他部署と連携し、遅延や不足のない発信ができる仕組みづくりも。とれたてホヤホヤの鮮度を大切に、15,000人に届けるという、熱い気持ちでつくっています。
浪木:ちなみにサムネイルはどのように作っているのでしょうか
平子:専門的にデザインを学んだメンバーが担当し、それぞれのカテゴリーにマッチした、どの年代でも読みたくなるものを目指しています。社内から「面白いサムネイルだね」と声をかけられることも多いです。
浪木:グループ会社や各事業部を巻き込むコツがあれば教えてください。セイコーエプソンさん、パソナグループさん、ルートインジャパンさんの順でお願いします。
伊久美:長年の積み重ね、関係つくりが大切だと思っています。発信する側の本気度や真剣さを何度も伝え、掲載後には取材対象部署に読者の感想を送ったりしています。今は、戦略部門と一緒に悩みながら、巻き込み策を考えています。
中村:広報部自体が社内で存在感を発揮し、頼りにされる部署になることが大事だと考えています。例えば、現場で情報発信に困っている人に対して、どのような切り口で社内外に発信すればいいのかアドバイスするなど、常日頃からしっかりとコミュニケーションをとる。それにより、グループ各社や現場との間に「何かあったときは広報に相談しよう」という関係が築かれていくと思います。今では情報提供だけではなく、記事を作成しWeb/アプリ社内報へのアップ作業までやってくれる部署もあるんですよ。
松橋:他部署だけでなく、社長を含む経営層も味方につけて、いろいろなインターナルコミュニケーション施策に関わっていただくことです。プレゼント企画に社長は社長にもご協力をいただき、注目を集めました。
皆さんからの質問にズバリ回答!
浪木:貴重なお話をありがとうございました。ここからは、視聴者の皆さんからの質問にお答えいただきます。
セイコーエプソン・高橋さん
「Web/アプリ社内報のシステムの面でいうと、セキュリティ、コスト、システムや運用の機能、そして導入後のサポートの4つのポイントで選んでいます」
パソナグループ・橋本さん
「当社の場合は60社を超えるグループ会社が、みんな同じ条件で見られるという点を一番重視しました。とくにこだわったのはシングルサインオンが可能である点ですね。それにデザイン性と双方向性も合わせて、三拍子揃っていたところが大きな選択基準になっています」
ルートインジャパン・松橋さん
「操作画面のわかりやすさとプッシュ通知機能が決め手でした」
セイコーエプソン・高橋さん
「Web/アプリに完全移行しましたが、もし紙媒体の特性が有効な情報を発信する場合があれば、一時的に紙社内報を発行する可能性はあります。紙からWeb/アプリへの移行という点では、全社にその旨をアナウンスし、認知を図りました。社内システムへの組み込みという点ではシステム部門と連携して導入に向けた検討を進めました」
パソナグループ・中村さん
「現在、紙媒体での発行はしていませんが、何か号外的に伝えるべき情報があれば、壁新聞的に張り出すとかチラシを配るとか、そういった対応はあり得ると思います」
パソナグループ・橋本さん
「閲覧対象範囲ですが、当社では雇用形態に関わらず、社用PCを持っている人全般が閲覧できるように設定しています。また、業務的にPCに向かう環境にない人たちに対しても、今回スマホアプリで見られるようにしたことで利便性が高まりました」
セイコーエプソン・高橋さん
「質問後半への回答ですが、当社は製造業なので、工場勤務の方などPC の前で作業しない方が多くいます。そのため、個人のPCやスマホからもアクセスできるようにしています。またまたWeb/アプリ上でのお知らせだけではなく、社員食堂や建物内の掲示板を活用することで、リアルでもお知らせを受け取れるようにしています。就業管理については、人事部と調整して、社内報を閲覧する時間がどういった就業管理にあたるかを、ルール化して運用しています」
ルートインジャパン・松橋さん
「社内報の閲覧対象は全従業員と定めていますが、個人の端末やスマホ利用が9割超という状況です」
ルートインジャパン・松橋さん
「当社はWeb/アプリと紙のどちらも使っていて、冊子社内報は年に2回発行しています。基本的には、テーマが短期的なものや一時的なものは冊子には掲載はしないようにしています。またWeb/アプリは従業員だけが閲覧可能、冊子は従業員の家族にも配布しています。なので、冊子社内報は社外に出ることを意識して情報を取捨選択し、制作しています」
浪木:ご回答をありがとうございました。視聴者の皆さん、今回の座談会でのお話を、自社の社内報にお役立ていただければ幸いです。
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