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社内報アプリ導入企業が語る インターナルコミュニケーション新時代(前編)

いま社内報の世界では、紙媒体からWebやアプリによる発信へと移行する企業が増えつつあります。それにともない、社内広報の在り方にも変化が起こってきました。そこで「社内報アプリ活用で変わる、新たなインターナルコミュニケーションとは」をテーマに、実際に社内報アプリを導入している企業のインターナルコミュニケーションご担当者にお集まりいただき、公開座談会を行いました。その模様をお届けします。

※座談会本文中は敬称略とさせていただきます。ご了承ください。

 

■座談会参加者■
株式会社パソナグループ

広報部 副部長
兼 インナーコミュニケーションユニット長
中村 遼さん


広報部
インナーコミュニケーションユニット
シニアリーダー
橋本 優子さん


セイコーエプソン株式会社

広報IR部
インターナルコミュニケーションチーム
伊久美 剛さん

広報IR部
インターナルコミュニケーションチーム
高橋 昂平さん


ルートインジャパン株式会社

CSR推進課
平子 友美さん

広告宣伝課
松橋 直子さん

〈ファシリテーター〉
社内報総合研究所 所長
浪木 克文

紙かWebか。どのような形で社内報を発行?

浪木:まず、皆さまの会社では、どのような形態で社内報を発信されているのか、お聞かせください。

中村パソナグループでは個人と組織が直面するさまざまな課題を乗り越え、企業経営をサポートしていくために社内報を運営し、Webとアプリで『働楽人』という社内報を発行しています。現在は原則、火曜日と木曜日の週2回更新して、月間約20本の記事をアップしています。内容は①経営ビジョンやグループのフィロソフィー、②兵庫県淡路島での当社の挑戦に関するもの、③グループ各社の事業・取り組み紹介、④グループ社員紹介という4つのカテゴリーに分けて編集を行っています。

4カテゴリーに分けた記事を、火・木に更新
4カテゴリーに分けた記事を、火・木に更新〈クリックして拡大)

株式会社パソナグループ

創業1976年。従業員数21,789名。人材派遣サービスからスタートし、現在はソーシャル・ソリューション・カンパニーとして、BPOサービスや地方創生などの事業も手掛けている。本社機能の一部を淡路島に移転し、現地での事業を拡大しながら、真に豊かな生き方・働き方の実現を目指している。

浪木:『働楽人』、素敵なタイトルですね。毎週2回の更新というのは苦労も多そうです。セイコーエプソンさんはいかがですか?

伊久美:当社は、社員の帰属意識向上とモチベーションアップを目的に、社内報『HARMONY』を毎月発行し、社員一人ひとりに配布してきました。ところが、コロナ禍で在宅勤務率が上がる中で、直接届けることが難しくなったのです。そこで、2020年の11月、冊子からWebへ完全移行しました。これによりもたらされた変化が、こちらです。

Web/アプリ導入後は、社内報の役割が大きく変化した
Web/アプリ導入後は、社内報の役割が大きく変化した

 この変化を実感したのが、経営戦略部門や個別戦略部門が推進する社内変革のための横断プロジェクトへ、私たち広報IR部 社内広報・インターナルコミュニケーションチームも参加を要請されたこと。さまざまなスキルをもつ社員が、ソフトウエア開発におけるアジャイル的発想で、社内報の企画検討、制作、発行、改善・軌道修正などを繰り返し行っています。かつて、社内報担当者の役割は単に会社の方針を社員に伝えることでした。それが今は、戦略遂行や社内変革の担い手という、経営に深くかかわる役割へと変化したのです。

 冊子からWeb/アプリへの移行とそれに伴う役割の変化を、自分なりにまとめてみたのでご覧ください。

伊久美さんがひも解いた、社内報の役割の変化
伊久美さんがひも解いた、冊子社内報からWeb/アプリ社内報への移行がもたらした社内報の役割の変化(クリックして拡大)

セイコーエプソン株式会社

1942年創業。従業員数77,642名。長野県の諏訪湖のほとりで時計部品の組み立て事業からスタートし、その高度な技術力を活かして、プリンター、プロジェクター、ロボットなどさまざまな製品を手掛けている。現在は約80社(セイコーエプソン含む)のグループ会社がありグローバルに事業を展開する。

浪木:Web/アプリ社内報の導入が、社内報そのものの役割を進化させたのですね。貴社において、インターナルコミュニケーションの大変革期を迎えていることを感じます。さて、ルートインジャパンさんはいかがでしょうか。

平子:当社では現在4名で社内報『ネットワークタイムス』を制作しています。私はCSR推進課で、他の3名が広告宣伝課の所属です。現在は社内報アプリの活用に加えて、紙媒体を年2回発行しています。社内報を運営していく目的として掲げているのが、ルートインホテルズ、ルートイングループ全体の圧倒的 企業価値の向上 と従業員満足度の向上です。

社内報は4名体制で運営
社内報は4名体制で運営

ルートインジャパン株式会社

1977年創業。従業員数15,000名。全国に359施設を直営で展開するホテルチェーン。4ブランドで展開するホテルの総客室数は55,870室。他にも温浴施設や飲食店、ゴルフ場の運営も行っている。また、石垣島や、ベトナム、サイパンでもリゾートタイプのホテルを運営している。

浪木:ウィズワークスでは2017年より「社内報アプリ」をリリースしており、現在はVer.4を提供しています。60社を超える企業で導入いただいて、ルートインジャパン様もその1社です。後ほど、活用事例を伺わせてください。

導入した背景と、導入時に重視したことは?

浪木:ところで、Web/アプリ社内報を導入した背景と、導入時に重視されたことは何でしょう。パソナグループではいかがでしたか?

中村:『働楽人』は、前身の社内報から数えると20年以上、Webで運営してきましたが、今年1月に大幅リニューアルし、システムやデザインを一新しました。その際、最も重視したのは、海外を含めて60社以上あるグループ会社のすべての従業員が手軽に閲覧できることでした。グループには共通のITプラットフォームがありますが、それを導入していないシェアード外のグループ会社の従業員にもIDとパスワードを付与して、スマホから最適化されたコンテンツが閲覧できる環境を作ることで、これが実現できると考えました。
 次に重要と考えたのは、記事のデザイン性向上。さまざまなテンプレートを用意して、自由度の高いデザインの記事がアップできる仕組みを導入しました。3つめは双方向性を持たせること。4つ目は動画コンテンツへの対応で、自分たちですぐに動画をアップできることを必須条件としました。

社内報アプリを導入した背景と重要視したポイント
パソナグループが社内報アプリを導入した背景と重要視したポイント

高橋:セイコーエプソンでは、冊子社内報の配布対象全員が、Web/アプリになっても変わらず閲覧できること、そして、オンラインの特徴を生かして、働く場所や時間にとらわれず、必要な情報が得られることを大前提としました。読者対象者はグループ社員と内定者、OB・OGですが、当社のイントラサイトは社員しかアクセスできません。そこで、Web/アプリ社内報では外部のクラウドサーバーを利用しています。その際、セキュリティ、コスト、双方向性、閲覧促進機能、閲覧ログ分析機能という5つの点を重視し、システム部門にも協力してもらいながら、業者の選定を行いました。

 

導入に当たり重視した5点とそのポイント
導入に当たり重視した5点とそのポイント〈クリックして拡大)

松橋:当社がウィズワークスの社内報アプリを導入したのが2019年です。その背景には、15,000人いる従業員の8割がパート・アルバイトで、イントラサイトに直接アクセスできない方や、日頃PCを使っていない方が多くいることがありました。そんな方々にもタイムリーに情報を行き渡らせるには、全従業員が気軽に見られるツールがあればいいと、取締役から提案がありました。ウィズワークスの社内報アプリにした決め手は操作性です。画面は使いやすく、デザインに詳しくなくても発信できることは大きなメリットでした。さらに、プッシュ通知機能にも惹かれました。

浪木実際に使っていただいている企業様からの“生きたご意見”は本当に貴重で、お褒めの言葉もお叱りもすべて糧にして、Ver.4が完成しました。

Web社内報がもたらした変化

浪木: Web/アプリ社内報の導入によって生まれた、ポジティブな変化や難しさを感じた点があれば教えてください。社内報アプリのバージョン更新を経験されているルートインさんはいかがですか?

平子:Ver.2からVer.4への移行により、約5,500人いたアクティブユーザーが一時リセットされてしまい、その時は大きな危機感を抱きました。そこで全社でさまざまな働きかけを行ったところ2カ月足らずで6,000人超えし、結果的には移行前以上のユーザー数を数えました。

リセットされゼロになったユーザーが、2カ月足らずで超回復
一時はリセットされゼロになったユーザーが、2カ月足らずで超回復

 ポジティブな変化としては、社内の各部署からアンケート実施や取材の依頼が増え、従業員からのコメントの書き込みが増加したことです。加えて、経営層からも、使い方や取り組みに対して提案をいただくことが増えました。また、読者アンケートやプレゼント企画、参加型の企画も定期的に行っているのですが、応募人数も増えています。単なる情報ツールにとどまらない楽しみが確立されてきて、双方向のコミュニケーションツールとして大きな役割を果たし始めていることを実感します。

中村:パソナグループでは、閲覧数の伸びが、はっきりと見て取れます。新しいシステムを導入した後のPV数は、導入前に比べて1.5倍になっています。システム自体が使いやすいため記事の配信がしやすく、結果的に配信数もぐんと増えています。音声などコンテンツのリッチ化も功を奏して、人気コーナーも複数生まれてきましたね。

 一方、今後の課題は2つあります。一つは閲覧者数で、閲覧可能者の3~4割が社内報を見ていない現状があるため、その層を分析して閲覧者数を拡大していこうと考えています。もう一つは双方向性の促進で、記事に対する「いいね!」やコメントの数を増やしていきたいです。プレゼント企画を実施する、コメントへの丁寧なリプライをするといった工夫を重ね、閲覧してもらいやすい環境を整えたいと思っています。

さらなる成果を生み出すために、課題の洗い出しと対策を行う
さらなる成果を生み出すために、課題の洗い出しと対策を行うパソナグループ

高橋:セイコーエプソンではポジティブな変化が4つあります。1つは情報の速報性がアップした点です。任意のタイミングで発信できて、反響もすぐに確認できるのがいいですね。2つ目は動画の活用。やはり冊子とは情報量が大きく異なると感じています。3つ目がデザイン性の向上で、文字数や画像数の自由度が高いことの効果と考えています。4つ目が迅速なPDCAで、アクセスログから効果測定を行い、次の企画にすぐに活かしています。紙の時代には数カ月かかっていたことが、Web/アプリ社内報ならすぐできる。これは本当に大きく、強力な変化です。

Web/アプリ社内報導入後のポジティブな変化
セイコーエプソンにおける、Web/アプリ社内報導入後のポジティブな変化(クリックして拡大)

 課題は、記事を見てもらうためのサムネイル画像やタイトルの工夫の重要性を痛感しています。海外のグループ会社もある中で、いつ公開すれば閲覧率が最大になるか? タイミングをつかむのも難しいです。また、紙の社内報が好きだという社員も存在し、その方々にWeb社内報を見ていただける魅力的なコンテンツを発信することが必要だと思っています。

 

 

 「社内報アプリ導入企業が語る インターナルコミュニケーション新時代」の前編、いかがでしたか? 後編では、座談会時に寄せられた視聴者からの質問と、各企業の回答もご紹介します。

後編はこちら


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