2021年10月5日(火)~8日(金)に開催した「社内報アワードONLINE EVENT 4DAYS」では、ゴールド賞受賞企業10社による、社内報制作の事例発表を行いました。「社内報ナビ」では、各社の発表内容を紹介していきます。
第6回は、グリー株式会社様。「社内報アワード2021」では、Web/アプリ社内報部門 媒体全体でゴールド賞に輝きました。新しいWebメディアを立ち上げるに至った理由や経緯、リリースまでのプロセスやこだわり、工夫点についてお話をいただきました。
グループを包括する情報発信ツールがない!
当社は創業16年、「インターネットを通じて、世界をより良くする。」をミッションに、ゲーム、メタバース、広告・メディアの3つの事業を柱に展開するIT企業です。一般にはモバイルゲームの印象を持たれることが多いですが、年々事業領域を広げ、経営は事業ごとに子会社を設立して行っています。
そのため情報発信も、基本的に子会社ごとに行っており、グループ全体を包括した発信ができていないことが、広報体制上の大きな課題となっていました。
今広報グループは外部向けのコーポレート広報チームと、社内向けのインナーコミュニケーションチームに分かれていますが、特にインナーチームの課題として、
●家族や社員への情報発信の場がない
●グリーグループ全体のファン作り
●一部のステークホルダーに経営方針などの情報が届けられていない
●デザインやコンテンツの自由度がない
など多くの課題がありました。
コーポレートサイトの「公式ブログ」で発信を行っていたものの、主にメディア(記者)を対象にプレスリリースの補完やイベントレポートの掲載に留まっていたため従業員からの関心が低いこと、またサイト配下にあることで、デザインやコンテンツの自由度がないことが問題となっていました。
ポップでカラフルに、親しみやすく
そこで、これらの課題を一気に解決する手段として、公式ブログを「オウンドメディア」としてリニューアルすることにしたのです。
立ち上げに当たってまず着手したのはコンセプト作りで、以下の3点を目的に設定しました。
オウンドメディアの目的
- もっとも重要なステークホルダーは従業員。従業員のモチベーションやグループへの帰属意識を高める情報を発信するメディアとして、当社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を浸透させるコンテンツ作りを行う。
- 従業員のみならず、家族や取引先企業、一般ユーザーへも情報を届けることで、グループの活動への理解を促すとともに、採用活動の活性化やグリーグループのファン作りも目標とする。
- 発信したコンテンツそのものが企業の財産となる。
次に取りかかったのが、コンセプトをいかに読者に届けるかという設計です。なかでも一番重要視したのは、記事やサイトデザインの軸となるテーマ作りで、チーム内で何度もブレストを重ねました。その議論の際、設定したのが「グリーグループの従業員とは〇〇である」という問い。この〇〇に入れるワード(社員像)を100個ほど出しあったのですが、その結果わかったのが、「人々の毎日をより楽しくするためにモノ作りをする人が多い」「職人気質でこだわりが強い従業員が多い」ということでした。その両者に共通する要素として「真剣」というワードが導き出され、そこから、テーマは「グリーグループの真剣を伝えるオウンドメディア」とすることに。
また、名称は、ユニークでありながらグリーグループらしさを出すため、創業サービス「GREE」の由来となった「Six De“gree”s of Separation」(「次の隔たり」という意味で、人は自分の知り合いを6人辿っていくと、世界中の人とつながっているという概念)をもじった「6 deGREEs」(シックス ディグリーズ)に決めたのですが、やや長く覚えづらいので、「6D」と略称し、社内外に告知しました。
続いて、ワイヤーフレーム作り。まずはグリーグループの真剣を伝える6つのカテゴリーを作ることを決め、他社のオウンドメディアや自社のコーポレートサイトを参考にしながら仕様を組み立てていき、並行してデザインの設計にも着手しました。これまでのサイトがシンプルだったので、そのイメージを一新し、親しみを持ってもらいたいとの思いから、「ポップでカラフル、丸みのあるデザイン」をコンセプトに据え、6つのカテゴリーごとに色を変えることも決定しました。
用意周到な準備が、成功の鍵
こうして2021年1月に船出した「6D」ですが、スタートからスムーズに流れるよう、強く意識したことがあります。それは、運用フローをきっちり固めること。簡単に言えば事前の準備ですが、そこを抜かりなくしっかり組み立てたことが今回の受賞につながったように思います。リリースまでの工程は9つ。以下に各工程での実施内容をまとめました。
「6D」リリースまでの9工程
1. 企画会議
翌月のラインナップを検討。広報チームやグループ内の人脈を総動員してネタ探しをする。人事部にも、最近活躍している人や最新タイトルの担当者などを聞く。
2. 取材前ヒアリング
記事になりそうな事柄をピックアップし、取材対象者とミーティングを行い、詳しい内容をヒアリングする。
3. 企画書作成
ヒアリング事項を基に構成などをまとめた企画書を記事ごとに作成。概要、目的、ターゲット、メイントピック、真剣ポイント、取材概要、記事構成の要素からなる。
4. 取材打診・企画書のアップデート
企画書を出し、改めて取材を打診。本人やチーム内のフィードバックを通じて、懸念点などを解消する。
5. サムネイル作り・取材
取材前に、サムネイルを作成。事前にサムネイルのコンセプトを決め、社内のデザイナーと大まかなデザインを決定した後、撮影に臨む。取材当日は、ディレクションおよび取材・撮影のサポートを行う。
6. 執筆・編集・校正
誤字脱字を正すだけでなく、目的を果たせる内容か確認し、必要であれば追加取材を行う。
7. 掲載
インナーコミュニケーションチームで完結できるようCMSを使用。
8. 告知
社内ポータルやSNS、各子会社のSlackチャンネルまで活用して、周知活動を徹底。
9. 計測・振り返り
一定期間の掲載後は、Google Analyticsを用いた数値分析など、定量・定性ともに振り返る。
ここが肝心! 3つのポイント
このうち、特にこだわりを持っているポイントは、企画書作成、サムネイル作り、計測・振り返りの3点です。
なかでも一番力を入れているのは、大元となる企画書。丁寧に作り込む理由は、伝えたいメッセージは何かをブレさせないためです。まずは、メイントピックを設定し、それを伝えるための想定構成をしてから想定質問を記載。その後、チーム内で「これで本当に面白いのか」「この構成でちゃんと伝わるのか」などのフィードバックを受けます。また、人に相談する、取材対象者に追加ヒアリングをすることも。そうやって適宜アップデートし、ファイナライズしています。かなり骨の折れる作業ではありますが、取材対象者にも「やりやすい」と好評なうえ、これまでを振り返っても、企画の段階で目的や構成がぼやけていると良い記事にならないと痛感しているので、非常に重要なポイントだと考えています。
次にサムネイル作りですが、イメージを伝えるには、やはり言葉と絵が大事。記事の内容がわかる、取材対象者の人柄や業務でのこだわりが反映されたサムネイル作りを心がけています。実際、ファーストインプレッションは大切です。
3つ目の計測・振り返りですが、私たちはここを疎かにしないようにしています。記事は出して終わりではなく、反省や分析から次につなげることこそが重要です。計測については、1週間ごとのPVを主な指標にしており、流入元やサイト内の周遊も分析。良い・悪いの要因は何なのか徹底的に洗い出し、記事ごとに資料にまとめます。そして改善すべきことは改め、あるいは告知の方法を変えるなど、随時アップデートするようにしています。
努力と研鑽で、質も量ももっと上げていく!
リリースから1年が経とうかという今、おかげさまで従業員はもちろん、ステークホルダーの方々にも広く認知されるメディアに育ちつつあり、目標PV数を上回る記事も増えてきました。また今回は短期間でゴールド賞をいただくという栄誉にもあずかり、大変光栄に思っています。
しかしながら、まだ不慣れなことも多く、課題もたくさんあります。その筆頭は、発信頻度の低さ。現在月に3、4本に留まっているため、もっと本数を増やしていきたいと考えています。それとともに、質を上げていくことと、グリーらしさを出していくことも目標です。最近だと、当社のバーチャルライブ配信アプリ「REALITY」を使って人物をアバター化したところ、大好評だったので、そうした新しい試みにも積極的に取り組んでいくつもりです。
そのためには、もっともっと勉強や研究をしていかなければなりません。より多くの方に読んでいただけるよう、今後も企画探しやコンテンツの策定、周知方法の模索など、あらゆる面で努力を重ねていきたいと思っています。
- Web社内報『6 deGREEs(6D)』
創刊:2021年1月
閲覧対象者:正社員、契約・派遣社員、パート・アルバイト、OB・OG、家族、顧客、内定者、株主、官公庁
閲覧環境:私用PC、デバイスからのアクセス可、家族・OB・OGもアクセス可
発行頻度:毎月3、4本
会社情報:https://gree.jp/
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