ウィズ・コロナが日常化し、先が見えない日々が続いています。社内コミュニケーションの機会減少、エンゲージメント低下の危機が高まる状況で、社内報でコロナ関連トピックをどう扱うか、企画立案に悩むご担当者は多いことでしょう。
そんな皆さまのお力になるべく、「社内報アワード2020」でゴールド賞に輝いた企業様にご協力いただき、実際の掲載事例を2回に分けてご紹介。ゴールド賞受賞企業はコロナ禍をいかに企画化したのでしょう? 好事例からぜひヒントを見つけ出してください。
※2回目は、2021年1月上旬に公開予定です。ぜひご覧ください。
優秀事例4企画の中から、UACJ様とディーバ様をご紹介
「自社の企画が多くの企業様のお役に立つなら」と事例紹介をご快諾くださったのは、「社内報アワード2020」の紙社内報部門(特集・単発企画/8ページ以上)でグランプリを受賞した株式会社UACJ様、東京地下鉄株式会社様、豊田合成株式会社様、Web/アプリ社内報部門(企画単体)でゴールド賞とシルバー賞を受賞した株式会社ディーバ様です。
今回は、株式会社UACJ様と株式会社ディーバ様の事例をご紹介します。
【事例1:株式会社UACJ 『ALUMINIST』37号】
企画名:「コロナ禍でUACJができること アルミニウムで社会貢献」
(常設企画「あるみにすと食堂」内に掲載)
- ツール:印刷社内報
- 企画の目的:従業員から始めた社会貢献活動を掲載することで参加者の達成感の醸成とグループ従業員への社会貢献への理解につなげることを目的として掲載。
- 読者ターゲット:従業員とその家族
- 制作面での工夫点:携わったメンバーや状況を伝える写真を、多く掲載。グループ会社間のつながりとともに、活動が明確にわかるような誌面にした。
- 反響:読者からは、「社会貢献活動を身近に感じることができた」「自社の仲間を誇りに感じた」との反響が寄せられ、掲載された従業員からは、「改めてグループで協力したことを感じ充実感を覚えた」などの声が届いた。
【企画を振り返って】
「ウィズ・コロナで厳しい環境が続くなかで、企画・取材・編集に悩むことは多いかと思います。このような時だからこそ社内報は重要だという気持ちを強く持ち、制作を楽しみましょう」
(株式会社UACJ コーポレートコミュニケーション部 兼 新しい風土をつくる部 浅香 梢さん)
【事例2:株式会社ディーバ 『SmileNews』4月号】
企画名:「在宅勤務特集」
- ツール:Web社内報
- 企画名:「在宅勤務特集」
- 企画の目的:
●みんなの心配・不安・関心をみんなで共有して、不安感・孤独感をなくし、一体感を醸成する。
●心配・不安・関心を収集・開示し、共感して、ともに答えを探し、考え、社員に寄り添う双方向のコミュニケーションが成立する、頼りになる社内報となる。
●災い転じて福となすべく、働き方改革の一環として在宅勤務が定着するきっかけとなる記事を提供する。 - 読者ターゲット:在宅勤務に不安・孤独を感じる社員
- 制作面での工夫点:全員在宅勤務での閉塞感を打破するべく、全体的に癒しとなるような5つの記事構成とした。
- 反響:アンケート結果を受けて、在宅勤務の宅内設備を整えるための一時金と、毎月の光熱費等を補うための在宅勤務手当が導入された。また、在宅勤務が恒久化された。働き方改革を担う独立委員会として、大いに目的を達成できたと自負している。
① 『在宅勤務でのお客様サポートって、電話どうするのでしょうか』
社内で誰もが感じつつも、自分で答えを探すほどではない疑問である「カスタマーサポート部門が在宅勤務でどうやって仕事をするんだ?」という、比較的ゆるく興味喚起できる話題で、癒しの提供を目指した。記事のトップ画像を、テレビ会議で談笑するインタビュー写真にすることで、在宅勤務で明るくコミュニケーションが図れるイメージを打ち出した。
② 『在宅勤務アンケート 2020年3月』
事前に実施した社員アンケートの集計結果により、数値的に在宅勤務がどの程度支持され、どこに改善点があるのかを提示。働き方改革を実現するための独立委員会として経営側へ改善点を促すとともに、働き方改革の一環となるように、在宅勤務を肯定する文章で締めくくるようにした。
③ 『在宅勤務の問題の解決策を考えてみた件』
②の記事では掲載されなかった、アンケートの自由回答を紹介。在宅勤務への不満、イヤホンマイクの使い方から在宅での光熱費の上昇問題、在宅での夫婦喧嘩まで、幅広い問題について一緒に対処法を考え、「あなたはひとりではない。あなたには我々がついている」というメッセージを暗に打ち出すことで、コロナと在宅勤務による閉塞感の打破を狙った。目的はあくまで“共感する”ことであり、実際に対処することではないので、同様の趣旨の北方謙三さんの人生相談風に振り切り、真面目に解決する趣旨ではないことを明示し、癒しの提供を目指した。
④ 『あなたのオフィスをみせてください(●●さん編)』
この記事では、在宅勤務での設備不足に愚痴を漏らすよりも、積極的に自ら改善することを暗に提案した。押しつけがましくならないように、社歴が長く知名度の高いメンバーに協力をお願いした。
⑤ 『あなたのオフィスをみせてください(山城編)』
④の宅内設備の問題点の改善に対して、この記事では、「そもそも家庭内で仕事することが困難」というケースでの改善案を提示。どのような環境でもアイデア次第でなんとかなることを、ネタ的な記事にして、笑いと癒しを提示した。具体的な改善案=自家用車をオフィスにすること、として、記者自らが実験台となった。
【企画を振り返って】
「大多数が在宅勤務という状況においては、各社員が孤独を感じるとともに、コミュニケーションが断絶しがちになることから、『仕事さえできていればそれでいいや』という態度になり、会社への帰属意識が希薄になりがちです。『会社員でありながら、フリーランスと何も変わらない状態ではないのか?』という疑問さえ生じてきます。
この状況こそ、社内報がもっとも必要とされる状況だと思います! 紙の社内報では、どのように配布するのだという問題に行きつきそうですが、DX全盛の昨今、社内報のWeb化が一層進みそうですね」(株式会社ディーバ プロダクト開発部 山城 章仁さん)
コロナ禍でも、社内報で自社と従業員をしっかりつなぐ
いかがでしたか? テーマは似ていても、どう企画に落とし込んで何を伝えるかは、企業それぞれ。「このテーマで、こういう切り口もあるのか!」と、今後の参考にしていただければ幸いです。
まだまだ出口が見えないコロナ禍で、従業員間のコミュニケーションが希薄になりがちですが、全国の社内報担当の皆さん! 社内報が自社とたくさんの従業員をつなぐ“シナプス”になるよう、頑張っていきましょう!
次回もお楽しみに!
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