緊急事態宣言が5月末まで延長となり、新型コロナウイルスの終息が未だ見えない今(2020年5月中旬現在)、 社内報では自社の状況をどんな企画で伝えていけばいいのでしょうか。伝えるべきことは、何なのでしょうか。
誰も体験したことのない未曽有の事態の中で、懸命に手探りを続ける社内報ご担当者を少しでもサポートできればと、社内報ナビでも企画のヒントを考えてみました。「ヒント」としたのは、各企業で社内報企画の実施目的は異なるから。ここに挙げたヒントを入り口に、貴社社内報の発行目的や媒体特性に合わせ、アレンジしてご活用ください。今回は「テレワークにフォーカス編」です。
※「現場にエール」編(感染リスクの中で働く仲間を応援する社内報企画 7案)も、ぜひご覧ください。
目次
今、何より従業員に伝えるべきは、「安心感」
新型コロナウイルス感染への恐怖。景気悪化による仕事の先行き。さまざまな不安にさいなまれる従業員に伝えるべきことは、自社で安心して働いてもらうためのメッセージではないでしょうか。
そのメッセージが発信できるのは、なんといっても経営トップです。加えて、会社からの具体的なサポート体制も気になると思われます。「それを払しょくする」ことを目的にした企画案です。
TOPメッセージ
特集TOPブランディング
誰もが自社の経営状況悪化や自分の生活に不安を抱いている。その不安を取り去り、高いパフォーマンスを発揮してもらうためのメッセージを、TOPが発信し続ける。日々刻々と情勢が変化する中で、タイムリーな内容を継続的に発信することが重要。
また、入社式や社内表彰式が延期になっている場合は、そのフォローコメントも入れると、従業員の気持ちが上がりそう。
掲載する写真は、「自身もテレワークに対応している」「テレワークしている社員を応援している」ことを訴求するために、あえて個人で撮影した写真をご提供いただく。この点が、通常時のTOPメッセージ企画と異なる「今ならでは」のポイント。
社員の不安、会社はこうサポートしていきます
特集ブランディング
全社アンケートをメールやインターネット(テレワークでも使用可能ならイントラネット)を駆使して行い、「会社に対してどんな点に不安を感じているか」「○○というサポート体制があることを知っているか」など、自社の状況を浮き彫りにするアンケートを実施。その集計結果に対して、会社側がどうサポートしていくのか、回答を示す。
ピンチをチャンスに変えて、新しい働き方の扉を開く
近年、多くの企業で取り組んできた「働き方改革」の一つが、テレワークです。期せずしてテレワーク導入が一気に加速したわけですが、こうなって初めて見えてきた問題点と、想定通りに進んだ事柄、両方あるのではないでしょうか。今の状態が喜ばしいとは全く言えませんが、この際、ピンチをチャンスに変えましょう。
現○○○(自社名)の働き方改革 × COVID-19
特集働き方
これまで社内報で発信してきた自社の働き方改革に関する施策の数々。コロナ禍により見えてきた長所と短所をもとに、自社の働き方改革を再検討する。 何がうまくいき、何を改善すべきかを、これまでの社内報の誌面を提示しながら、関係部署の担当者にWebインタビューをして今後の課題を訴求する。
テレワーク中の従業員へのアンケートや、テレワーク中の部署から数名をより抜いてWeb座談会を開催して編集すると厚みが増す。また、テレワークができない部署における働き方改革問題も取り上げる。
過去の掲載誌面を使い、Webインタビュー対象者には自撮り写真を提供していただくことで、デザイン面の問題はクリアできる。
リアル「働き方変革」がやってきた!
特集働き方ナレッジ共有
テレワークとなり、通勤・出社・顔を合わせての会議という、これまでの「当たり前」が一変。あまりにも突然やってきた「働き方変革」の現実に、従業員はどう対応しているのか? 実施してみてわかった「goodな点」「badな点」を従業員にアンケートして発信。
「badな点」に対しては、編集部から解決のアドバイスを提示する。編集部では担いきれない課題は、担当部署にWeb会議システムや電話を使ってインタビュー。
※前述の「○○○(自社名)の働き方改革×COVID-19」との違いは、テレワークを実行した従業員個人の感想にフォーカスする点。
〔例〕
- good:夜型人間だったのに、テレワークになり自律の気持ちが強くなった。朝の通勤代わりに近所を散歩し、帰宅したらコーヒーを一杯。それが仕事開始のスイッチになり、集中して業務に取り組むことで効率がアップ。退勤も早くなり、早寝早起きの健康的な生活になった。
- good:働く父親の姿を家族、特に子どもに見せることができている。その姿から、仕事のやりがいや大変さを知るという、社会勉強になっているなら、うれしい。
- bad:家にこもり続け、気分転換ができずにストレス三昧。ちょっとしたことでイラっとする自分に落ち込む。
- bad:独り暮らしなのでずっと一人。会社のランチタイムが懐かしい……。
+αとして、「テレワークになって『変わったこと』『変わらなかったこと』」の切り口もあると、おもしろい。
テレワーク成功術 ~みんなでナレッジ共有~
ナレッジ共有コミュニケーション
初めての一斉テレワークとなり、「どうもうまく対応できない」という方が多そう。一方で、スムーズに移行できている方もいるはず。どうすればテレワークで高効率に業務遂行ができるのか? みんなでナレッジを共有していく。アンケートなどで工夫を大募集。
〔例〕
子どもも休校で家にいる中で、在宅勤務。外に遊びにも行けず、何かと絡みついてくる。そこで大きなタイマーを購入。親子で遊ぶ時間を昼休み中の「30分」と設定し、「ピピピって鳴ったら、お仕事に戻るよ」と言い聞かせ、習慣づけた。
ぜひ知りたい! 「あの人」のテレワーク
ナレッジ共有コミュニケーション
最近社内表彰された「あの人」は、どんなふうにテレワークに取り組んでいる? 営業部の「あの人」は? 総務部の「あの人」は? 社長は?? 上長は??
社内で注目されている人にオンライン取材をして、1日のタイムスケジュールや、上手にテレワークするコツを伺い、在宅勤務の様子を伝える。テレワーク中の姿や、役立つアイテムの写真も提供してもらう。
リアルな姿が見えないからこそ、同僚の顔や声を届ける
同僚とのちょっとしたやりとりや、仲良しとのランチ、緊張する会議――。
数か月前までの「日常」を、ICTを駆使して取り戻しましょう。リアルとは少し様子が違っても、それは「慣れ」ていくはず。新しい時代に乗り遅れないためにも、ぜひトライを!
まだ見ぬ先輩たちへ ~新入社員からごあいさつ~
コミュニケーション
コロナ禍で一度も出社することなく在宅勤務となった新入社員と、全社員とを結ぶ企画。
自社でやってみたいこと、現状に対する不安を、自撮りした写真とともに紹介する。その不安に対して、人事部などが次号で回答。双方向の企画にすることで、新入社員の紹介、不安払しょく、コミュニケーションが可能に。
グッド・クラスター・コンテスト
コミュニケーション
在宅勤務となり同僚の顔が見えづらくなった状況でも、インターナルコミュニケーションを活性化するための企画。グループ(個人の集まり、部活動、部署など、なんでもOK)で取り組む、オンラインでのコミュニケーション活動を募集し、社長が審査員となり入賞グループを決定・表彰する。
コロナ禍ではマイナスイメージながら、誰もが知ることとなった「クラスター」という言葉を明るく活用して、企画を印象付ける。
〔例〕
- 我が課では、毎日15:30からオンラインでラジオ体操を実施。参加者が近況を一言ずつ報告することで、離れていても共に働いていることを実感しています。
- 会社公認のバレー部では、オンライン・ランチ会を定期開催しています。今はリアルな活動はできませんが、今後の練習メニューを相談したり、以前の対戦を振り返ったりする会話が、気分転換になっています。
チャットde座談会!
連載コミュニケーション
「在宅勤務をしてみた実感」「半年前の自分へのアドバイス」など、テーマを決めてグループチャットしたログを、そのまま掲載。参加者の顔写真は自撮りを送っていただく。グループ分けは、同期入社、同じ部署、あるいはまったく部署が異なる人など、自社が抱える課題に沿って設定。
チャットというツールは、実は個性が現れるもの。一言のコメントに込めた感情や、状況の理解度、仕事に対する姿勢、同僚への思いやりなど、チャットならではの世界を連載することで、同僚の意外な一面が垣間見られ、興味深い企画となりそう。
ちょっとした情報企画が、今は一人ひとりの心の支えに
巣ごもり続きでお疲れ気味な心に、いつもと違うゆったりとした時間の使い方のアイデアや、癒しのおすそ分けをする企画はいかがでしょう。公募企画が多くなりますが、「こんな時だから、同じ会社で働く誰かのために、小さなサポートを」と呼び掛けてみましょう。
stay homeの今こそ! 自分を磨く! 鍛える!!
自己啓発健康
テレワーク、外出自粛で、圧倒的に長くなっている自分の時間を、自身のために有効活用しましょう、という提案企画。事業ごとに「あると有利な資格」を紹介したり、「今、自社に役立つ書籍」を案内したり。家でできるトレーニングなども。編集部発信でも、経営層や新入社員に取材しても、アンケートで回答を募ってもOK。
癒しのフォト特集
連載コミュニケーション
コロナ疲れがたまる時期に、ホッと癒される写真を募集して掲載。stay homeの中でみつけた心が和む瞬間――子どもの笑顔、庭に咲いたきれいな花、ベランダから見上げた空に泳ぐ鯉のぼり etc.――の写真に、応募者からの一言コメント(写真の説明&全社員へのメッセージ)を添えて。テレワークできない部署の人々への応援メッセージもよさそう。
afterコロナにやりたいこと
連載コミュニケーション
ONもOFFも激変。早く元の生活に戻りたい、と誰もが思っている。新型コロナウイルスの感染が終息し、普通の暮らしに戻ったらやりたいことをアンケートなどでリサーチして紹介する。
在宅勤務のランチタイム
テレワーク連載コミュニケーション
在宅といえども勤務は通常通りで、お昼休みは1時間。でも子どものご飯を作らないと!
そこで、1時間でもおいしくできる、オリジナル時短レシピを募集して紹介。
臨時号「COVID-19 クライシス」
臨時号働き方テレワークコミュニケーション
ここまで紹介してきた企画を組み合わせて、終息後に「新型コロナウイルスに立ち向かった自社の記録」として臨時号を発行。終息時のTOPからの発信、感染対策の始まりから終息後までの自社の動き、テレワークをはじめとした働き方改革の見直し、同僚へのエールなど、硬軟組み合わせて、この非常事態をいかに乗り切ったかを記録として残す。
インターナルコミュニケーション・プロデューサーの本領を発揮
「社内広報は不要不急の業務で、優先順位が低いとみなされています。自分自身のモチベーションも揺らいでしまい……」「景気の先行きが見えない中で、社内報が果たすべき役割は何なのでしょう」。この現状に、社内報ご担当者の思考もマイナス・スパイラルに陥りがちです。
しかし、従業員同士の顔が見えない今だからこそ、社内インフラとしての社内報が真価を発揮するのです。この事態をどう乗り切ろうと経営層は考えているのか。社内で一目置かれる人は、この非常時にどんなふうに業務に邁進しているのか。いつも自分を励ましてくれるあの人は、どんなふうにテレワークしている? ……今という状況の中から湧き上がってくる小さな疑問のすべてが、社内報の企画の種であり、先々大きな実を結ぶ可能性を秘めています。
経営層と従業員。従業員同士。社内報担当者であるあなたが、社内のタテ・ヨコ・ナナメを結ぶインターナルコミュニケーション・プロデューサーとして、今こそ自社をひとつにまとめ上げましょう!
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