Web社内報の充実に力を入れているカルビー株式会社、野村ホールディングス株式会社、株式会社日立ハイテクフィールディング(※五十音順/以下、本文中は略称にて掲載)の3社をお招きした座談会を、2回にわたりお届けしています。前編では、複数あるツールの使い分けや、各社それぞれの個性が光るコンテンツについて語っていただきました。後編では、悩みや課題、見てもらうための工夫や今後の展望などを伺いました。
読まない人に読んでもらうには
――現在、悩んでいることや、課題としていることをお聞かせください。
野村 英語ページのアクセスが伸びないことですね。基本日英併記で記事を掲載していますが、英語版を見る人は少なくて。人手が十分とはいえない中、頑張って英訳しているので、多くの社員に見てほしいです。
日立ハイテク 日英併記を始められたきっかけは?
野村 弊社は国内外でイントラの運営が別で、国内では一部の記事だけ英語対応をしていました。でも国内にも海外出身者が多く、英語で記事を読みたい人もいるだろうということで、昨年から原則日英併記で掲載するようにしました。
カルビー 英訳は内部でされているんですか?
野村 そうです。部内のネイティブと英語が得意な社員の実質2名で英訳しています。
日立ハイテク 閲覧数が少ないのはつらいですよね。英語ではないですが、私たちもそこは悩みです。読んでくれている人には好評ですが、はなから関心のない人にどう読んでもらうかが課題です。
野村 アクセスデータは取られていますか?
日立ハイテク はい。大体毎月、従業員の7、8割が読んでくれています。
カルビー 弊社では少しでも読者に読んでもらおうとキャッチコピーを工夫したり、プレゼントを記事に付けたりしています。具体的には「あの芸能人が」「あの有名社長が」など、タイトルに名前を入れず、「あの」で興味を引くなどです。
それと、時には「炎上」というのも新たな読者を増やす要因となります。もちろん故意で起こしたわけではないですが。
アクセスアップのためにしていること
野村 弊社もビジネスがメインのせいか、なかなか読んでもらえなくて。アクセスが多い記事もあるんですが、やはり柔らかい話題です。例えば農業をやっている野村アグリプランニング&アドバイザリーというグループ会社のものとか。そこで育てたコーンやアスパラの社内販売は、即完売します。
ビジネス関連への関心をどう高めるかが課題ですね。皆さんは、アクセス数を上げるために何かされていますか?
カルビー 更新をお知らせするメールを火曜と木曜に出しています。最初は金曜日でしたが、金曜だと週末を挟んで忘れられてしまうため、木曜に変更しました。これによってPV数も少し上がったのですよ。
日立ハイテク メール配信は弊社も行っています。
野村 弊社もやっていますが、慣れてしまうと開封率が下がりますよね。
カルビー うちも同じです。なので、タイトルの工夫はやはり必須ですね。ほとんどの社員が配信メールから記事を読んでいるとアンケートから分かったので、キャッチーなタイトルを付けるよう心がけています。
野村 困っていることとしては、「載せてほしい」という依頼が多くて、コンテンツが膨張していくことですね。
カルビー それも同じです。定期的な情報発信をしたいという依頼が各部署から来るので、新たにカテゴリーを追加したりして、どんどん増えていきます。随時見直しはしているのですが。
野村 結局、何かを増やすと何かを減らさないといけません。増え続けるとカオスになってしまい、忘れ去られるものも出てくるので。コンテンツの整理は必須です。
さらに「使えるツール」を目指して
――今後、取り組みたいことや強化したいことはありますか?
野村 動画に力を入れたいですね。弊社には動画の専門部署があって、今もいくつか掲載していますが、撮影器材やセットが本格的過ぎるので、今後は広報部でも撮影して、簡単に掲載できればと考えています。経営陣のメッセージも、テキストより顔が見える動画のほうが伝わりやすいように思います。
カルビー 同感です。うちもトップメッセージを中心に動画を増やしたいと思っています。今、リニューアルを計画中で、来年には実行するつもりです。
日立ハイテク 自席で再生する場合、音は気になりませんか?
カルビー イヤホンで聞いている人が多いですが、普通に音を出して見ている人もいますよ。
野村 そこは企業風土もあるかもしれませんね。
カルビー それから、工場の人にもっと見てもらえるように、仕掛けていきたいです。工場はパソコン環境が整っていないので、イントラがあることさえ知らない人もいて。今は、トップのブログだけ出力したものを壁に貼ってもらっています。
日立ハイテク 工場のパソコン台数を増やすことを検討されているのですか?
カルビー いえ、それは難しいので、個人のモバイルで見られるようにしたいですね。セキュリティの問題などはありますが。それともう一つ、来年は70周年なので、周年にふさわしい企画を何か考えたいです。
――周年といえば、野村さんは2年前、90周年企画で「社内報アワード」ゴールド賞を受賞されましたよね。カウントダウン企画で、90日前から毎日いろいろなグループが登場されるものでした。
野村 今もここに載せています。あの企画は、「90周年のロゴを持ってメッセージを送ってください」とリクエストを出したんですが、予想以上に応募が殺到しました。
日立ハイテク どのように募集されたんですか?
野村 新着情報に「募集します」という記事を掲載、メールも送信しました。申し込みはアンケートツールを使いました。
――たしか、あまりにも集まりすぎて、終わってからも継続されたんですよね?
野村 そうなんです。第2弾という形で。
カルビー どうしてそんなに集まるんですか?
野村 最初は、集まるのかな? と心配していましたが、アクセス数が増えるに従って、出たいという人も増えていきました。グループを部署に限らなかったのも良かったのかも。趣味の仲間や有志のグループなども多かったですから。
カルビー ぜひ真似させていただきたいです(笑)。
野村 弊社は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会をゴールドパートナーとしてサポートしています。本番に向けてまたカウントダウン企画もできるかなと思っています。ただ、同じことをやっても面白くないので、何か工夫をしなければいけませんね。
座談会を振り返って…
――最後に、本日の感想をお聞かせください。
日立ハイテク いろんなお話を伺って、私たちは思い込みが多かったかもしれないと反省しています。動画は見てもらえないとか、ブログやコメント欄の設置は管理が大変だとか。再考の必要性を感じましたし、勝手に決めてしまっていた「当社らしさ」を見直すいいきっかけにもなりました。
カルビー 両社さんとも完成度が高く、大変参考になりました。私たちも、今の楽しい雰囲気は残しつつ、もう少しステップアップしていけたらと思います。
野村 弊社のWeb版は、ビジネス寄りにしていることもあり、皆さんの楽しそうなページと比べると、あらためて硬いなあと思います。コンテンツは真面目でも、もう少し柔らかい雰囲気があってもいいのかなと思いました。
3社のWeb社内報が社内広報ツールとして確固たるポジションを確立している様子は、お話の端々から伝わります。それでも、各社各様にお悩みはあるとのこと。また、今後取り組みたいことについても、たくさんの課題感や希望をお聞かせくださいました。社内報ご担当者の皆さんが、役割期待のいよいよ高まるWeb活用に取り組む際には、こうした先進事例をぜひ参考にしていただければと思います。
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