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動画社内報歴30年超。媒体の強みを最大限に生かす(キヤノン株式会社)

キヤノン社内報編集部の皆さん
(後列左から)押田秀輝さん、グループ社内報室長 三角潤さん、白石宗矩さん、主幹 本郷隆文さん(前列左から)横山真彩さん、久高真理子さん、高橋裕子さん

 

映像機器、事務機器、医療機器など多角的ビジネスで躍進を続けるグローバルリーデイングカンパニー、キヤノン株式会社。グループの世界本社で社内広報を担うのが、渉外本部広報センター広報部・グループ社内報室。ここで冊子『CanonLife』、イントラネット『G.CIPフロントラインニュース』、動画『CanonLifeビデオニュース』を3本柱として社内広報活動を行っています。中でも今回は、34年前から発行する動画社内報にスポットを当て、編集方針や制作方法について伺いました。

テーマが生きるメディアを見極め、冊子と動画をすみ分け

 グループ社内報室メンバーは、三角室長以下8人。うち5人が冊子とイントラを手がけ、2人が動画社内報を担当。多くの大企業同様、分担制を採る同社ですが、特徴は企画段階で全員が一緒になってアイデアを出しあうこと。半年に1度の企画会議では、冊子の特集と定例コーナー、動画の3カテゴリーについて、各自最低5案ずつ持ち寄ります。

企画会議の様子
企画会議では各自最低5案ずつ企画を持ち寄ることで、アイデアの幅を広げます

 

 その狙いについて、「担当外という客観的な視点を加え、アイデアの幅を広げるため」と話す三角室長。会議では、どの案を採用するかだけでなく、どの媒体にどのテーマを当てはめるかもセットで議論していきます。

 「冊子と映像にはそれぞれに長所、短所があるので、テーマごとにどのメディアが最適かを見極めることが大切です。この作業をすることによって自然にすみ分けができますし、社内報の効果を最大化することにもつながります」と、その理由を語ります。

三角室長
「メディアごとの短所、長所を把握し、最適な選択をすることが重要です」(三角室長)

写真にはない動画の魅力は、人の心に響くストーリー性

 キヤノンの動画社内報の特徴は、制作体制が内製であることが挙げられます。2人のメンバーはともに写真を専門に学んだ、いわばプロ。久高真理子さんは大学の写真科を卒業し新卒で入社、押田秀輝さんはテレビ制作会社から中途入社しています。2人とも写真・映像を撮る専門職として採用されているところは、さすがカメラメーカー。

 映像の特徴として、「人の熱意や思い、人柄が伝えられる」「映像でしか伝えられないテーマがある」「臨場感が伝えられる」の3点を挙げる久高さんは、それが早い時期から動画社内報を採り入れた理由だとも語ります。

久高さん
「映像でしか伝えられないテーマがあるからこそ、動画社内報にこだわっています」(久高さん)

 

 押田さんは、写真と映像の違いについて「映像の最大の魅力はストーリー性。写真は点と点ですが、映像はその間の線を見せることができます。その線の抑揚によってどれだけ人の心に響くものを作れるか、それがカメラワークよりも大事になってきます」と、話します。

映像の出来を左右するのは、撮影技術よりもシナリオ作り

 映像のメリットを生かすために最も重点を置いていることを伺うと、「シナリオ作り」と2人から同じ答えが返ってきました。「私は8割を準備に充てています。何度もシナリオを練り直して完成度を上げていき、出来上がったら大方終わったも同然。撮影は、それを形にしていくだけですから」と押田さん。シナリオのブラッシュアップは、10回以上に及ぶこともあるとか。

押田さん
「何度も練り直し、シナリオが完成すれば大方終わったも同然で、それほどシナリオが重要です」(押田さん)

 

 一方の久高さんがシナリオ作りで心がけていることは「視聴者が知識ゼロでも分かるように作っています。というのも、映像は前だけに進むメディア。冊子のように分からなかったら戻って見直すことができないので、途中で分からないことが出てくるとストレスになるのです。あとは、スムーズな流れになるように組み立てることですね。どちらも視聴者の立場になって考えることが大切で、常に確認しながら進めています」。

フットワーク軽くニュースを追い、すべての作業を1人で遂行

 制作は分担制。年間11本の動画を1カ月交代で制作していますが、シナリオ作りに始まり、撮影の下見、調整、撮影、編集、ナレーションの吹き込みまで、ほぼすべての作業を1人で行っている。急にニュースが飛び込んでくることも少なくなく、それにフットワーク軽く対応できるのが内製の強みだといいます。

動画撮影の様子
動画作成を内製化することで、急なニュースにもフットワーク軽く対応できます

 

 その一例が、今年5月に初の号外として配信した「カメラがつないだ3つの奇跡」というニュース動画。これは東京の大学生が石垣島でダイビング中に紛失したデジタルカメラが、930日間海を漂い、海岸清掃中の台湾の小学生によって発見。カメラは奇跡的に電源が入り、先生が画像をSNSに掲載したところ、持ち主を日本で見つけることができたというエピソードを取り上げたもの。

 カメラを拾った小学生から、持ち主にカメラを返却するセレモニーが台湾で行われることとなり、その情報がセレモニーの直前になって飛びこんできました。押田さんが直ちに調整に動き台湾へ。持ち主を探し当てるまでの秘話や感動的な贈呈式、持ち主の喜びや涙を臨場感たっぷりに収めた6分の映像は、高いダウンロード数を獲得しました。

目標は年間10万ダウンロード! スクラップ&ビルドでマンネリ打破

 作り手として、ダウンロード数は「大いに気になる」と言うおふたり 。

 「動画は、視聴者に自らダウンロードしてもらって初めて見てもらえる、プル型メディア。ですから、ダウンロード数が少ないとそもそもの存在価値が問われるのです」と、心情を打ち明ける久高さん。

 課題としているのは、「マンネリ打破」だといいます。「同じテーマやスタイルでやっていると、すぐに飽きられます。なので、凝り固まった概念を壊したいという気持ちは強いですね。最近はユーチューバー風に撮ってみたり、試行錯誤を繰り返しています」。

ユーチューバー風の動画
マンネリ打破のためにユーチューバー風の動画を作成するなど、常に工夫と進化を心がけています

 

 押田さんは続けます。「テレビやネットの映像でヒットしている要素は、うまく掴んで取り入れるようにしています。ヒットには必ず理由があるので、その理由を探ることは心がけています。社内報だからこの程度でいいという妥協はせず、より時代に合った映像にこだわって作り続けていきたいですね」。

 2人の熱い言葉には、魅力ある映像を1人でも多くの人に届けたいという情熱と、映像制作における貴重なヒントがたくさん詰まっていました。

編集部の皆さま

 

  • 動画社内報『CanonLife ビデオニュース』
    開始: 1984年視聴方法:イントラネットを介してダウンロード
    平均時間:約7分(特集5分+ニュース1分×2本)
    制作頻度:年間11本(7月休み)
  • 会社情報
    URL
    global.canon

 

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