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より早く、効率の良いグローバル報発行を目指して(株式会社クボタ)

グローバル報を制作している企業は、どのような発行目的で、どういった体制で取り組んでいるのでしょう。一歩先を行く株式会社クボタにお話を伺いました。1年の準備期間を経て、2012年から英語版を発行しています。

山本祐人さん(左)、入江美帆さん(右)

(コーポレート・コミュニケーション部 広報室 山本祐人さん(左)、入江美帆さん(右))

 

紙版社内報とWeb版との住み分け

 私たちは、紙媒体での日本語版社内報『My KUBOTA』を年6回発行しているほか、この3月までPDFの英語版社内報を年2回発行してきました。Web社内報(ポータルサイト)も日本語版と英語版があります。社内報の読者対象はすべての従業員。ただ、英語版は、対象を主にマネージャー層としています。

 『My KUBOTA』は、「読んで、気づいて、行動へ」という目的をもって特集記事などを企画し、読み物であることを意識して編集しています。

 たとえば「クローズアップ現場」という企画記事。最近は事業展開のスピードが速く、最前線の現場の動向が把握しづらくなっています。クボタの考え、動きなどを背景から丁寧に説明し、なぜ今その取り組みがなされているのかを理解してもらうよう努めています。

 PDFの英語版は、日本語版を抜粋し英訳しています。一方、Web社内報では新規性のあるニュースや通達の発信、業務ツールの共有などを行っています。

久保田さんの社内報の表紙 久保田さんの社内報の誌面

▲『My KUBOTA』表紙と中面。紙版の社内報を隔月で作りながら、半年ごとに海外版を編集していたがタイミングを取るのが難しかったため、2016年4月から紙版と同じタイミングで英語版を発行。『My KUBOTA』も同年5月号から、より分かりやすくお伝えするために、デザインをリニューアル。

現地に2人ずつ通信員を配置

 英語版の社内報をつくる場合、海外からの情報をどう集めるかが一つの課題です。当社は、約50社の海外の各拠点に2人の通信員を配置して情報を集めています。海外拠点では、どうしても駐在員に仕事が集中しがち。駐在員の負担を減らす目的で、駐在員とは別に、日本語か英語のできる現地スタッフに通信員を担ってもらうようにしています。

 情報は3カ月に1度、シートに記入して提出してもらっています。自由な形式で書いてくださいというと、かえって書きにくいだろうという考えのもとです。ただし、出すネタは自由。事業ニュースや社会貢献の話題など、さまざまな情報が集まってきます。

 これまでは、日本語版の社内報3号分の中から、海外とも共有したい企画やニュースの掲載ページを選び、英訳。英語版用の表紙・もくじページを新たに作り、冊子のように見立てた編集をしてPDF化するという流れで制作してきました。ですが、このプロセスだと、掲載内容には最長半年のタイムラグが発生していたんです。

  そこで、英語版については、2016年4月から冊子見立ての編集を廃止。日本語版の『My  KUBOTA』を発行後すぐに記事をピックアップし、英訳ができた記事から順次Webに掲載することにしました。これにより、ニュース記事で1週間、企画記事でも2週間のタイムラグに留めることを目標にしています。

久保田さんの英語版社内報の表紙 クボタさんの英語版社内報の誌面

▲紙版を抜粋した英語版。翻訳会社に依頼し、1週間ほどで納品してもらう。そのあとに部内の英語が堪能な社員にチェックしてもらい完成する。

海外拠点に「社内報文化」をどう浸透させるかが課題

 海外拠点の通信員とのやり取りは、英語が多いです。でも、私たちはネイティブではないので、やはり言葉の壁を感じますね。それに、社内報の制作についても、日本と海外拠点では意識の差があります。

 クボタの日本語版社内報は歴史が古いので、国内の通信員には「どんな情報が必要で、どう発信すればいいか」ということが浸透しています。ところが海外拠点には、その意識がまだ根付いていません。海外にはそもそも社内報文化がない、という地域もあるわけです。本来なら海外通信員に意識付けを行いながら、情報の深掘りをしたいところ。でも、ここで言葉の壁がネックになるんです。やり取りが不十分なために、編集意図を伝えきれない、海外読者のニーズがつかみきれないことも、これから解決すべき大きな課題の一つです。

 現在、英語版を含めて2人体制で社内報の編集を担当しています。以前は、年6回の日本語版作りの間に、英語版の編集を行っていました。その際、英訳は翻訳会社に依頼していたのですが、社内から「直訳しすぎではないか」との指摘がありました。要するに、意味は分かるが心に響かない。ニュース記事などは事実が伝われば良いのですが、社長のメッセージなどは意をくんだ表現が必要です。ですから2016年4月から、当社の理念・方針を理解し、専門用語やノウハウを蓄積しながら作業していただける翻訳会社と契約し、英訳の課題解決を目指しています。

さらに配信のスピードアップを図りたい

 問題や課題はあるものの、海外通信員による情報収集は軌道にのっています。その理由は、紙媒体の日本語版社内報『My KUBOTA』を長年にわたって作る中で、情報収集から制作までの流れがきちんと構築できていたから。具体的には、社内報に対する国内従業員の理解も定着していますし、通信員制度もしっかりとした形ででき上がっています。

 こうしたベースが国内にあるからこそ、そのやり方を海外にほぼ転用できたのだと思います。国内と海外で体制に違いがあるとしたら、海外は通信員2名体制であること、海外のほうが情報収集のスパンが長いということだけです。

 社内報は、最新情報の発信だけでなく、グループ企業全体に企業精神を浸透させる役割を担っています。いまはまだ国内に偏っていますが、より良いグローバル報作りを目指し、ようやく体制を整えつつあります。どこまで効率よくスピーディーに発行できるか、今期が勝負です。

 

【企業概要】

株式会社クボタ

本社所在地:大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号

東京本社:東京都中央区京橋二丁目1番3号 京橋トラストタワー

UEL:http://www.kubota.co.jp/

 

※『コミサポプラス』2016年6月号より転載

 

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