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社内報校正第一歩:まずは起こりうるミスを知ろう(2)

恥ずかしい誤りを世に出す前に食い止める校正・校閲の責務を全うするために、とりあえず“敵”を知ろう!というテーマでお届けしている「まずは起こりうるミスを知ろう」のその(2)です。知識不足の誤りについて見ていきましょう。今回は、8問の「校正チャレンジ」付き。ぜひ挑戦してみてください!

前回ご紹介した4つの大分類を再掲します。よろしければ他の項目もご一読ください。

[A]単純入力ミス
[B]語法・用法・敬語など知識不足の誤り
[C]事実誤認・不適切など
[D]体裁上の不備、用語不統一など

[B]語法・用法・敬語など知識不足の誤り

事象としては[A]の単純入力ミスと似ていても、勘違い・知識不足が原因の場合は、思い込みを正さない限り何度でも同じ間違いを繰り返してしまう点でやっかいです。でもこれは裏返せば、一度正しい知識で上書きすれば繰り返さずに済むということですよね。

では早速、ちょっと試みに以下1.~8.に誤りがあるかどうか、素読みしてみてください。勘違いを正す機会になるかどうか…?

  1. 芥川賞・直木賞設立者である、菊地寛
  2. 部長は怒り心頭に発し、受話器を叩きつけた
  3. 信頼回復のために人身一新を図り、内閣改造を敢行した
  4. 目的地までの道は溢路なので、通行に注意が必要だ
  5. その旨、上司にお伝えします
  6. 父は家族の前でほとんど声をあらげることがない
  7. 会長は半世紀以上社に君臨し、経営の采配を振った
  8. どこか新しい土地に移って、新規巻き返しの生活をしたい

【解答】

1.× →菊池寛
「知識不足の誤り」というより、事実確認つまり校閲の範疇の問題だったかもしれません。ATOKをはじめ、最近の日本語入力システムには、かなりの数の固有名詞が最初から辞書に登録されています。つまり、例えば芥川龍之介なら「あくたがわりゅうのすけ」まで打ってから変換した方が、入力ミスの確率を減らせます。…もちろん辞書は万能ではないので、事実確認は必要ですが…。

2. 「怒り心頭に達する」という誤用が広まっていますが、「発する」が正解です。

3.× →○:人心一新。「人身事故」なら「人身」です。

4.× →○:隘路(あいろ)

5.× →○:上司に申し伝えます
社外の方とお話しする際に、上司に敬語表現を使うのはNGです。

6.× →○漢字では「荒らげる」で「あららげる」と読みます。

7.○ 「采配」は「振る」が正解です。…ですが、平成20年度の文化庁の世論調査では、誤った「采配を振るう」を6割の人が使っているとの結果が出ており、将来的には誤用扱いではなくなるかもしれません。

8.× →○「新規まき直し」。劣勢から勢いを取り戻して反撃するのが「巻き返し」です。芽が出ないからま(蒔)き直す、という意味なので、「新規」と来れば「まき直し」。

他にも例えば「役不足」「気の置けない」「失笑」などといった、世に誤用の広がっている語を正しく使えているでしょうか。雑誌でもSNSでもテレビ番組でも、まずは普段から目に触れる日本語に疑問が生じたらすぐ調べるなど、正しい知識をインプットする習慣を身につけたいものです。

社内報校正第一歩:まずは起こりうるミスを知ろう(2)
知識の蓄積には「調べグセ」を付けることが一番

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