2023年がスタートして、早くも1カ月。コロナ禍もたらしたニュー・ノーマルの中で、2023年のインターナルコミュニケーションのテーマをどう設定すべきか、企業価値の向上に寄与する社内報の企画はどのようなものか、日々熟考なさっていることと思います。
これらを考える際のヒントとなりそうな「2023年のキーワード」を、社内報総合研究所 所長の浪木 克文がお届けします。ウィズワークス株式会社で社内報制作をお手伝いしている企業様の新春号「TOPメッセージ」から浪木目線でキーワードを選り抜き、ランキング形式で発表いたします。
社内報総合研究所 所長
浪木 克文
波乱万丈の2022年を乗り越えた、今年の指針は?
ロシア・ウクライナ紛争や世界的な物価上昇、円安進行、中国のゼロコロナ対策、米中対立など、コロナ禍3年目となった2022年は、企業経営に関わる未曽有の事態が次々と起きた波乱万丈の年ではなかったかと思います。
社会不安や読めない経済情勢を抱えて2023年がスタートしました。社内報で発信されたTOPメッセージでは、今年の注力ポイントが示されたと思います。そのメッセージは大きな指針となり、従業員とのエンゲージメントを高めたのではないか――、そんな考えから、2023年1月発行の社内報に掲載された新年のTOPメッセージ約170社分を熟読してキーワードを収集。私の目線でテーマ別に分類し、2023年TOPメッセージ・キーワードランキングを作成しました。ご覧いただければ幸いです。
※各ランキングにある〈●words〉内の数字は、約170社分を熟読して収集したキーワードの数です。1社に1回登場したら1カウントとしています(複数回登場しても「1」)。同じワードは〈登場ワード〉内には記載していないため、〈●words〉の●の数字と〈登場ワード〉にあるワード数は一致しないことをご了承ください。
第1位:未来志向〈42 words〉
いろいろな表現でメッセージが発信されていましたが、「イノベーション」「チャレンジ・挑戦」「新事業・新商品」など、未来に向けて変化するという意図を含んだ言葉が最も多く発信されました。
既存の事業や商品、社内体制や社員意識では、未来へ対応できない。そんな中、従業員の皆さんに向けて力強く発信されていました。その数は42ワードと断トツの1位でした。
〈登場ワード〉
オープンイノベーション/イノベーション創出/イノベーション共創/新規事業/新商品創出/新商品開発/新たなビジネスモデル/イノベーション/付加価値アップ/新しいビジネスへの挑戦/新商品づくり/変化対応/新たなチャレンジ/チャレンジ/背伸びした挑戦/チェンジ/変革にチャレンジ/新事業創生/ベンチャー精神/夢をもって変革を/進取創造/新たな価値の創造/革新的なモノづくり/挑戦/構造改革/事業ポートフォリオの再構築/業態変革/次なる創造/明るく挑戦/新たな視点/変化の時がチャンス/再チャレンジ/新たなバリューチェーン/新たなチャンス/創造性/新たな時代/新規開拓
第2位:サスティナビリティ〈30 words〉
サスティナビリティ、カーボンニュートラル、持続的な成長、環境対策、SDGsなどは、ここ数年じりじりと増え、今年は30ワードに。多くの経営者がメッセージに使っています。企業経営にとって切り離せないテーマとなりました。
〈登場ワード〉
カーボンニュートラル/サスティナビリティ/ESG経営/社会課題への貢献/SDGs/CO2排出削減/サスティナビリティ経営/持続的な成長/推進持続的な成長/環境変化対応/外部環境への適応/継続的な成長/持続成長の実現/社会への貢献/CO2排出量削減/CSR推進/地域共創型サスティナビリティ/サスティナビリティ元年/ESG/持続可能な基盤づくり/環境保全/環境配慮/社会課題の解決/地域社会への貢献/環境対策
第3位:人材〈29 words〉
人材育成、ウェルビーイング、社員の幸せ、多様な働き方など表現はさまざまでしたが、企業経営において人材の重要性が注目されています。
働き方が多様化する中、自社の従業員の幸福度を上げていくことが企業の業績へも大きく影響していきます。
〈登場ワード〉
キャリアプラン/人材育成/従業員エンゲージメント向上/ウェルビーイング/人的資本経営/人財/多様な働き方/働く場所の柔軟性/雇用形態の多様化/デジタルスキルの向上/学びなおし/社員満足度向上/社員の幸福実現/働き方改革/社員の幸せ/ヒトの力/全員経営/自己実現と成長/自律/自分に指を向ける/健康経営/情熱/変化対応力/職場環境改善
第4位:戦略〈16 words〉
上位3位までとは少し差がありましたが、16ワードで4位となりました。数年前まで1位or2位にランクされていたのが、この数年で入れ替わりました。
コロナ禍では業種によって企業業績に明暗が出ました。また昨年の企業を取り囲む経営環境の大きな変化によって戦略もまちまちでした。既存事業の強化、生産性向上、他社との差別化など、2023年は自社なりの戦略を模索する年になりそうです。
〈登場ワード〉
生産体制革新/業績の回復/黒字化/勝てるビジネスモデル/コスト管理/伝統と革新 /圧倒的な優位性/事業価値拡大/既存事業強化/V字回復/ナンバーワンブランド/効率的なソリューション/生産性向上/競合他社との差別化/コアビジネスの深化/事業成長
第5位:DX推進〈14 words〉
データサイエンス、IoT、DX技術活用などは、特にコロナ禍に入ってから大きく躍進したワードです。DX化は企業経営にとって必須のテーマとなりました。
〈登場ワード〉
DX推進/DX技術活用/データサイエンス/ロボティックス/テクノロジーの活用/IoT/会社の芯までデジタル化/デジタル/デジタルフル活用
第6位~第10位はこちら!
第6位:経営〈13 words〉
経営に関わるキーワードとして、中計達成、経営改善、経営の効率化などが並びました。また企業理念の徹底、年輪経営、良い会社など経営の本質をメッセージする経営者も見られました。
〈登場ワード〉
新中経/中計達成/経営資源の選択と集中/経営の効率化/経営の多角化/経営改善/らしさの追求/ONE●●/基本理念の徹底/良い会社/年輪経営
第7位:安全・危機管理〈12 words〉
今回調査した約170社には、製造業も多く、災害発生ゼロ、安全第一、安全と健康など多くのキーワードが挙がりました。
〈登場ワード〉
災害発生ゼロ/新型コロナ感染防止/安全/リスクマネジメント/安全第一/パンデミック対応/安全・安心/安全最優先/安全と健康/危機管理
第8位:ダイバーシティ〈10 words〉
ダイバーシティ、女性活躍推進、多様な個性、多様な人材確保などのキーワードが近年目立ってきています。今後の事業活動においてダイバーシティアンドインクルージョンは企業の競争力の源となります。
〈登場ワード〉
多様性(ダイバーシティアンドインクルージョン)/多様な個性/女性活躍推進/多様な人材確保/女性管理職比率/ダイバーシティ/チームワーク
第9位:顧客・マーケティング〈9words〉
顧客視点を起点に企業戦略を考える企業も多いかと思います。そんな中でマーケティング活動の重要性や顧客満足度は重要な指標となります。
〈登場ワード〉
マーケティングDX推進/マーケティング視点/マーケティング強化/新たな需要の掘り起こし/顧客満足強化/顧客への貢献/顧客志向/消費者起点
第10位:飛躍・脱コロナ〈8words〉
ひとまとめにしてしまいましたが、卯年でもありますし、コロナを脱却して跳躍・飛躍と行きたいところですね。
〈登場ワード〉
跳躍/飛躍/コロナ前を超える/飛躍の年/コロナ禍終焉/脱コロナ
その他、多かったキーワード
これに続く言葉は、「コミュニケーション」「コンプライアンス」など。コロナ禍も3年が経過し、改めてコミュニケーションの機会創出が注目されています。対面でのコミュニケーション、対話でのコミュニケーションなど直接的な熱い対話を求めているようです。また、コロナ禍での新たなコンプライアンスやガバナンス強化が必要になっています。
ほかには、「スピード」「地方創生」「グローバル」「アスピレーション」「断捨離」「情報開示」「柔軟性と拡張性」などが見られました。
いかがでしたでか? 他社のTOPメッセージに登場した言葉たちを見たうえで、皆さんの会社のTOPメッセージを改めて見返し、自社が2023年に進む道の理解にお役立ていただければうれしいです。
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